NEWS
2018年02月10日 09時44分 JST | 更新 2018年02月10日 12時06分 JST

一式9万円の「アルマーニ標準服」 泰明小の校長「価格の条件付けず、交渉もしなかった」

「お任せしたので…」

HuffPost
泰明小学校の和田利次校長

高級ブランド「アルマーニ」がデザイン監修をした服を、公立小学校が標準服にしたことが波紋を広げている。その「アルマーニ標準服」を率先して導入した区立泰明小学校の和田利次校長が2月9日夕、中央区役所で記者会見した。

和田校長は、アルマーニ側に「価格条件を出さなかった」と語り、いくら以内で作ってくれといった具体的な条件・要望を出していなかったことを明かした。着替えやベストなども合わせて一式そろえれば9万円、という価格が判明した際にも「高いと感想は伝えたが、値下げ交渉はしていない」と語った。

保護者から異論が出ていることについては、「きちんと話を進めてくればよかったのかなと、いまは、反省している」と述べた。しかし、「後付けではございますが、少しずつご理解をもらっている」として、導入を見直す考えはないと和田校長は語った。

そもそも、「アルマーニ標準服」は、どんな風に誕生したのか。

もともと、「名の通ったブランドと協力したほうがいい」と考えていた校長は、2015年の夏から秋にかけて、銀座にある一流ブランドに声をかけ始めた。

最初に話をもちかけたのは「おそらく......バーバリーさんかと思います。相談というより、電話をして...。学校の標準服を請け負ってくれるような組織はありますかと、そんなような依頼をしたと記憶しているんですけども...」。

「バーバリーさんとシャネルさんに連絡したかなあと思う。エルメスさんにも連絡したかなという気がしています」。

そう、校長は語った。

いずれも、世界に名だたる高級ブランドだが、交渉は校長が直接電話をかけたのだという。こうしたブランドからは「お話しとしてはわかりました。お待ちくださいといって、そのままのところがほとんど」だったという。

また、松屋や三越にも相談。三越には「できませんと、お断りされました」と話した。

アルマーニはどうだったのか?

ただ、アルマーニについては、知人を通じて紹介を受けた社員に連絡。この社員が学校を訪れたことから、交渉が始まったそうだ。

交渉は、校長が「一人でやっていた」という。

アルマーニとの交渉は、日本の支社が本社(ミラノ)にひとつひとつ確認を取りながら進めるため、「ダメになるかと思うぐらい時間がかかった」と校長は語る。

校長はしかし、2017年の夏前までは、教育委員会に事態の経緯を報告しなかった。PTA役員などに説明したのも、「おおよそのことが決まってから」(校長)だった。その理由については、「アルマーニから、ハッキリしない話は外には出さないでくれと言われていたので、話ができなかった」と、校長は釈明した。

HuffPost
泰明小学校の和田利次校長

価格「条件出さず」

校長はアルマーニとの交渉で、「具体的な価格の条件は出さなかった」と話した。

「現行の価格表をお示しして、あまり高くない方がいいという話はしました。そのため、価格がどのぐらいになるかは、わかりませんでした」

いざ、現在の価格が示されたとき、どう感じたのか。

校長は「価格が示されたとき、正直、安くないな、高いと思いました」と語る。

「もう少しなんとかならないのかな」と要望したが、「アルマーニのデザインとしては、妥当な価格だ」と言われたという。

校長は「アルマーニのデザインで、素材や色合いが現状の標準服よりはるかによい。トータルでみたときにこのぐらいするのかな」と語った。

ただ、デザイン料や素材の原価など、金額の内訳については「聞いていません」という。

アルマーニとは、どんな契約を結んでいるのか。

「アルマーニさんとは、契約はございません。アルマーニの名前を標準服以外には使いませんとか、そういう覚え書きはございます」と語った。この覚え書きには、アルマーニと校長のサインがあるという。

また、販売元である松屋については、「松屋さんとは長い付き合いです。契約書も覚え書きもあったのかどうかも...。いまはもうないと言った方がいいのかもしれません」と語った。

「非常識なことはしていない」

記者からは「価格の条件を出さないというのは、公立校の交渉としては、手順が違うのではないか」という質問が。

これに校長は「こちらからこれぐらいの価格でやってくれと言えればいいが、今回はアルマーニさんにすべてデザインをお願いした。製造販売のルートも含めて松屋さんにお任せしたので...」と回答。

「非常識なことをしたとは思っていない」と語った。

保護者の負担になるのでは、という質問には「各ご家庭の経済状況を把握しているわけではありません」「どの程度の負担になるのかわからない」としつつも、「本校の保護者の方なら、それぐらいは出せるんじゃないかと思っております」と回答した。

会見では、ほかのブランドと交渉する手もあったのではないかという指摘も出ていたが、「私には思い浮かばなかった」と話した。

また、ある記者が「公立校の標準服は、貧富の差を学校現場に持ち込まないという側面もあるのでは。高価なアルマーニの標準服が、本当に適しているのか」と質問すると、校長は次のように返した。

「私は適していると思ったからこそ、話を進めてきました。非常に生意気な言い方をさせていただきますが、泰明小でなければ、私はこういう話は進めません。銀座の街にある学校だからこそ進めてきたんです。アルマーニデザインの標準服が、泰明には合っている」

ちなみに...校長は「アルマーニの服は、一着も持っていない」そうだ。