「エア花見」「インドア花見」が増殖中? 桜の名所・上野公園にもちょっとした変化

エア花見 vs リアル花見、どっちが好き?
Taichiro Yoshino

花見シーズン真っ盛り。しかし今年は、屋内で花見の雰囲気を味わう「エア花見」「インドア花見」が流行のようです。そんなご時世だからか、桜の名所、東京・上野公園の花見にもちょっとした変化が。

まず「エア花見」って何?ということで、実際にのぞいてきました。

Taichiro Yoshino

3月20日夜、東京・五反田。料理レシピ動画サイト「kurashiru」を運営する「dely」のスタッフ約20人が、オフィスの床に青いシートを引いて車座になり、料理や缶ビールを味わっていました。

壁にはプロジェクターで桜の動画が映し出され、ケツメイシの「桜」など、定番の音楽もスマホでかけています。

昨年まで目黒川のほとりで花見を開いていましたが、今年から「エア花見」に切り替えたのです。

パソコンで動画を再生しながらスマホで音楽もかける小林夏美さん(右)
パソコンで動画を再生しながらスマホで音楽もかける小林夏美さん(右)
Taichiro Yoshino

幹事の小林夏美さん(27)は「やってみると意外に『お花見感』ありますね」と満足げ。「私、花粉症なので、そもそも外のお花見は嫌でした」と動機を語ります。

小林さん、昨年は入社前で準備を手伝いましたが「タクシーで買い出しに走ったり、場所取りしたりするのがメチャクチャ大変で。オフィスなら冷えたビールが冷蔵庫から出てくるし、音楽もかけ放題で周りを気にする必要もない」。

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オフィスなので入れ代わり立ち代わり、仕事の合間にのぞく人が出入りします。午後9時に小林さんが「撤収!」と声をかけ、全員でゴミの整理や掃除機がけなどをして、5分ですっかり元のオフィスに戻りました。

■「室内ならば行きたい」予約は10倍増

レンタルスペース仲介業「スペースマーケット」が会員1313人を対象にした調査では、「花見に行きたい」89.5%に対し「行きたくない」は10.5%。「混雑が嫌」「花粉症が辛い」「寒いのが嫌」が主な理由でした。「行きたくない」人の65.9%が「室内ならば行きたい」と答えたとのこと。

同社への「インドア花見」の予約件数は、昨年の10倍以上に増えているそうです。

「屋外でのお花見への課題感に加え、ホームパーティー人気の高まりもあると思います。リアルな花でなくていいから、花を飾ってパーティーで季節感を楽しみたいという方が増えました。大勢で団体で、というお花見の定番から、楽しみ方は多様化していると感じます」と、同社の広報担当者。

■上野公園のお花見がいつもと違う

そんな傾向を反映したのか、週末の花見にも、今年は異変が。

Taichiro Yoshino

3月23日午後10時、上野公園。満開の週末を前に、例年なら学生や企業のグループが場所取り合戦を繰り広げるのに、今年はほぼ、いないのです。雨が降っていたり、例年よりピークが1週間早かったり、理由はいろいろ考えられますが...

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上野公園内の人気スポット・清水観音堂近くで唯一、レインコートにくるまって青いシートを広げていたのは「ハフポスト日本版」の久世和彦さん(46)でした。出版社を経て入社以来、花見のために毎年、この付近で徹夜で場所取りをしています。

「例年なら雨でも場所取り合戦になるのに、こんな簡単にいい場所が取れるなんて...。みんなインドアに行っちゃったのかな」とやや不安げ。

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翌日、気温が上昇し、桜は満開に。例年通り人でごった返す上野公園ですが、明らかに団体さんは影を潜め、少人数のグループが中心でした。

楽天リサーチの調査で「誰と花見に行きたいか」という質問に対し「勤め先の同僚・先輩・上司」と答えたのはわずか8.1%(ちなみに「家族」は74.9%でした)。会社のお花見、実は歓迎されないのかも。

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「徹夜で場所を確保してこそ花見です。先輩から受け継いだ魂を継承しないと」と力説する久世さんですが「同僚からは『花見のためにそこまでしなくても』と言われるんですよねえ」。

今年もお疲れ様でした。

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