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エジプトはアルジャジーラのジャーナリストを保釈すべき 再審されるべきではない

2015年01月14日 19時46分 JST | 更新 2015年03月15日 18時12分 JST
ASSOCIATED PRESS
Canadian-Egyptian acting Al-Jazeera bureau chief Mohammed Fahmy appears in a defendant's cage in a courthouse near Tora prison along with other defendants during a trial on terror charges in Cairo, Egypt, Saturday, May 3, 2014. Fahmy made a rare appeal to the judge from outside of the defendants' cage, at the end of which the judge wished him a "happy" World Press Freedom Day. In his brief plea Saturday, Fahmy stood directly before the judge's bench. Fahmy said journalists have to speak to all sides to do their jobs. (AP Photo/Hamada Elrasam)

2015年1月4日、エジプト破棄院(最高裁に相当)はカタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」のジャーナリスト、モハメド・ファハミ氏の上訴を支持する判決を下し、懲役7年の有罪判決を破棄した。その際、破棄院は最初の公判で法的な過失があったことを認めた。しかし、同裁判所はファハミ氏を釈放せず、再審を命じて同氏の保釈を拒否した。同裁判所の論拠と再審の行方は、数週間以内に公になるだろう。

ファハミ氏は誤ったニュースを報道し、イスラム組織「ムスリム同胞団」を支持したとして有罪判決を受けたジャーナリストである。この疑惑は真実ではなく、公判では証拠による裏付けがなかった。ファハミ氏はムスリム同胞団を一切支持していない。公判では、同氏が報道を捏造したり、故意に誤った供述をしたという証拠は示されなかった。同氏は、単にニュースを報道しただけで厳しい刑に服しているのだ。

再審は長期にわたり、その見通しは不透明である。また、新たな訴訟により最初の公判の不備がどのように是正されるかも定かではない。告訴そのものがエジプト法や国際法が定める表現の自由の権利に違反しているのだ。犯行が確定する前に裁判員が適正な手続きを尊重したり、有力な証拠を要求するという保証はない。このため、再審で公正で迅速な判決は期待できない。

したがって、ファハミ氏の法廷弁護団である私たちは協力の精神のもと、事件を迅速かつ公正に解決するためにエジプトとカナダの当局に協議を持ちかけている。私たちはエジプトの大統領、法務大臣、外務大臣、検事総長に対して、同氏の恩赦と釈放を書面で求めており、その回答を待っている。

エジプト憲法第155条のもと、シシ大統領はいつでもファハミ氏と同氏の同僚のジャーナリストたちに恩赦を与える権限を持っている。同大統領はすでに本件から手を引いており、ファハミ氏に逮捕状が出されたのは自身が大統領になる前だったと述べている。また、シシ大統領は、ファハミ氏と同僚のジャーナリストたちは裁判にかけられるべきではなかったと述べている。大統領は、本件がエジプトにネガティブな影響を与えたことに遺憾の意を表明した。そして、本件について恩赦を与えるか、または他の解決策を模索していると述べている。シシ大統領は裁判手続きが進行している間に恩赦を与えない意向だが、現在上訴が確定しており、司法は法令違反があったことを認めているから、同大統領が踏み込んだ決断を下すことを望んでいる。

また、カナダへの移送も可能だ。カナダ政府からは公式に受け入れを表明している。私たちは、カナダの法廷弁護士ローン・ウォルドマン氏と共にオタワの当局者たちと連絡を取っており、現在ファハミ氏の公判の移送の条件をカナダ外務省と協議する機会を積極的に模索している。私たちは、ベアード外相と会合したいという私たちの要請について同相が検討しているという報告を受けている。同相が1月中旬に予定しているカイロ訪問の前にこの会合が実現することを心から願っている。また私たちは、恩赦や、移送の条件へさらに取り組むことへの要請に対するエジプト当局からの公式な回答も歓迎している。

その一方で、恩赦の判断やカナダへの移送に関する交渉がさらに遅れるのであれば、エジプトの刑事訴訟法に準じて少なくともファハミ氏を健康上の理由で仮釈放するべきである。2014年10月、エジプトのジャーナリスト連盟が検事総長に対して人道的保釈を要請し、その後これは法廷弁護団やカナダの領事館員たちから支持されている。元の要請書に添付された医療報告書によると、ファハミ氏はC型肝炎やその他の疾患を患っており、これらは拘留中に適切な治療が受けられるものではない。拘留はファハミ氏の健康状態にとって深刻なリスクになるため、保釈の要請は処理中だが、同氏は直ちに保釈され治療を受けなければならない。

ファハミ氏は1年以上拘留されている。この裁判では、エジプトやその他の国の多くの傍聴人の良心が傷つけられた。私たちは近日中にエジプトとカナダの当局者と前向きに力を合わせ、一刻も早く同氏の保釈が認められることを願っている。

最後に、もうひとつ付け加えておくことがある。2015年1月2日のガーディアン紙に、「ファハミ氏を弁護するアマル・クルーニーが当局者たちからエジプトで逮捕すると脅迫された」という記事が掲載された。この事件から、2014年初めのある出来事が思い出される。国際法曹協会(IBA)の人権研究所は、クルーニー氏も共著者として加わった報告書の出版を企画した際、出版の相談をもちかけたエジプトの事情に詳しい専門家から次のように警告された。「クルーニーとその同僚がもしカイロで報告書を出版すれば、報告書に記載されている批判内容や、エジプトの司法、政府または軍を侮辱したことなどを理由とする『犯罪』の最近の起訴状況を鑑みると、クルーニーらは逮捕される危険がある」。こうした警告を受けたIBAは、カイロでの出版は危険だと判断し、著者らは代替案としてロンドンでの出版を余儀なくされた。この出来事はクルーニーがファハミ氏の訴訟に携わる前のことで、現在の大統領の就任前であり、本件とはまったく関係がない。その後、ファハミ氏は本件に関して記事で誤解を招く表現をしたことを謝罪しており、対応として文章を訂正した。さらに重要なことがある。今、目を向けるべきは弁護士やジャーナリストが過去に直面したリスクではない。目を向けるべきなのは、今日のエジプトで自由に表現することに対するリスクである。私たちは、シシ大統領がファハミ氏に恩赦を与えることを考慮すると述べたことは明るい兆しだと考えている。当局が同氏をカナダに移送することに同意すれば、それは明るい兆しとなるだろう。ファハミ氏を解放すれば、それは最終的にエジプトのジャーナリストたちは単に自分の仕事をしただけで服役することにはならないというメッセージを送ることになるだろう。これは、新たな、そしてより進歩的なエジプト社会を求めるデモ参加者の熱意に敬意を表することになるのだ。

アマル・クルーニー

マーク・ワスフ

モハメド・ファハミ法廷弁護団

このブログはハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。