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常夏のミャンマーで感じる「四季」

2017年05月31日 14時23分 JST

ミャンマー南東部に位置するカレン州は熱帯性気候に属し、年間を通して高温多湿、大きく分けると季節は雨季、乾季と酷暑季があるといわれていますが、基本的にいつも半袖で過ごせます。

季節によって気温も天気も大きく異なり、衣替えをする日本に比べると、それほど季節の移り変わりを感じることは少ないかもしれません。5月の今は酷暑期、連日暑さに見舞われています。そんな季節の過ごし方を駐在員の久保田和美が紹介します。

季節の小さな移ろい

常夏のカレン州の州都パアンに来てもうすぐ3年。年中、Tシャツとロンジー(ミャンマーの老若男女の日常着)という恰好で過ごしながらも、少しずつ、気温の高低や天気の変化だけでない、カレン州に移ろう季節の変わり目を、現地の人々とともに楽しめるようになってきました。カレン州で一年を過ごしていると、現地の人々がそれぞれの季節を受け入れ、生活に取り入れているのを感じます。

6月ごろから10月ごろまでは、バケツをひっくり返したような雨が降る雨季で、洗濯物の乾かない日々が続きます。外に出るのが億劫になりそうですが、一年の約半分という長い雨に慣れっこの現地の人々は、豪雨の合間に訪れる小雨の瞬間を見計らって、街に出かけていきます。

そんな長い雨季の終わりを告げるのが「春」。安居(僧侶の修業期間)明けのお祭りです。街のあちこちに、お札やお寺に寄進するための洗剤の小袋やお皿などの日用品をぶら下げた「寄付の木」が立ち並び、お寺への寄付を運ぶ車の行列で道路が溢れます。

街中が生き生きとにぎわい始める様子は、日本の春に新緑が一気に芽を出し始めるかのようです。

この季節、カレン州では州を上げた盛大なお祭りが5日にわたって催され、州内各地のダンスチームが競うカレンの伝統芸能「ドンダンス」のコンテストも開かれるため、地方から大勢の観客が州都のパアンに押し寄せます。

このように季節の変わり目を盛大に祝い、楽しむことがカレン州の人々にとって大切な習慣になっています。

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花が咲き誇るようにお札や洗剤の小袋がぶら下がる「寄付の木」

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ドンダンスは、男女32名のグループで、太鼓と笛に加えて掛け声をあげながら30分にわたって踊り続けるカレンの伝統芸能です

にぎやかな春の後には、なんと、ここカレン州にも「冬」がやってきます。11月半ばから2月末は、暑すぎず、乾燥しているため一年で最も過ごしやすい季節です。

冬と言っても日中は強い日差しが降り注ぐため、暑い日が続きますが、朝晩は冷え込み、街の人々はここぞとばかりに冬支度をします。

日本の冬を知っている私にしてみれば、それほど寒くはないのですが、スタッフの中にはゴワゴワのコートや耳あてをして通勤する人もいて、皆、冬の服装を楽しんでいるように見えます。

そんなつかの間の過ごしやすい季節が過ぎると試練の季節、酷暑がミャンマーを覆います。連日35度以上の高温が続き、日中に街を歩く人の姿もまばらになります。

3月から5月のパアンは酷暑季の真っただ中。体も頭も溶けてしまいそうな暑さのパアンで、街の人はどうやって過ごしているのでしょう。

何をしても暑い真昼間、停電も多く家の中は蒸し風呂のような状態。そんなとき、街の人々は家の外の木陰に座っておしゃべりをしたり、昼寝をしたりして時間を過ごしているようです。

週末となると、パアンで唯一の冷房の効いた小さなスーパーマーケットは涼を求める人々で混みあいます。水浴びの回数を増やしたり、家の前に水を撒いて涼を呼んだり、極力何もせずにベッドでじっとして過ごす、という人もいるようです。

そんなどうしようもなく暑い4月の昼食時、事務所の近所の家族がお昼ご飯をご馳走してくれました。

献立は豆のドライカレーとご飯と大きな氷。暑いこの季節、ご飯を氷水に浮かべて冷やし、味付けの濃いおかずと一緒に食べるのだそうです。この季節に開かれる水祭り(ダジャン)のころに食べるご飯(タミン)なのでダジャンタミンと呼ばれていて、お祭りの期間中、街のあちこちで振る舞われます。

氷水に浸けたご飯の中におかずを入れて食べたところ、それではご飯がぬるくなっちゃうからだめだと注意されました。冷たいままご飯だけを口にいれ、そこにおかずを放りこみ、口の中でハーモニーを楽しむのだそうです。

言われたとおり、冷たいご飯を口に入れ、豆のカレーを口に入れると・・・脂っこいカレーもなぜかさっぱりと感じられ、食べれば食べるほど涼しくなるような気がしました。

日本の暑い夏に氷水に素麺を浮かべて食べたことを懐かしく思い出しながら、氷がなくなるまでたくさんいただきました。

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近所の女性に作り方を習いながら一緒にダジャンタミンをいただきました

AAR Japan[難民を助ける会]の活動するカレン州の村々は、例年酷暑季は井戸も涸れ、水不足に悩まされています。カラカラに乾いた水田のあちこちに、セイン・パンというきれいな赤い花が咲き、この花が酷暑季の訪れを告げるのだと現地職員が教えてくれました。

この赤い花が見られるころが、パアン事務所が取り組んでいる活動の一つである井戸の修繕作業の正念場。水位が下がったこの時期にできるだけ掘り下げて、乾季でも干上がらない井戸の整備を行います。

いつかこの赤い花が水不足の心配の象徴ではなく、楽しい夏休みの思い出になるように願っています。

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酷暑の訪れを告げるセイン・パン。「ダイヤモンドの花」という意味です

執筆者

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ミャンマー・パアン事務所 久保田和美

大学で国際関係学を学んだ後、イギリスの大学院で開発学・教育学を専攻。在カンボジア日本大使館勤務を経て、2009年から2011年までAARでミャンマーでのサイクロン被災者の支援などに携わる。政府系開発援助機関勤務の後、2014年9月より再びAARへ。趣味は旅行。千葉県出身

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