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いよいよ来日へ トランプ大統領が拉致問題を重要視する理由とは?

トランプ政権が拉致問題に言及する機会が増えているとの指摘もある。

2017年11月04日 11時12分 JST | 更新 2017年11月04日 11時12分 JST

AbemaTIMES

いよいよトランプ大統領が就任以来初となるアジア歴訪に出発する。6日には最初の訪問国となる日本で安倍総理との日米首脳会談が予定されており、懸案の北朝鮮問題などが議題に上るものとみられている。

現代アメリカ政治が専門の上智大学総合グローバル学部の前嶋和弘教授は「ロシア疑惑、税制改革、ニューヨークのテロなどのほうが重要で、日米首脳会談についてアメリカ国内ではあまり報じられていない。まして、女性会議に出るだけのイバンカさんの話に時間を割く余裕はない」と話す。

前嶋教授によると、日米首脳会談が大きく報じられるのは、日米貿易摩擦など、両国に大きな問題がある場合で、その意味ではアジア歴訪での山場は中国なのだという。

トランプ大統領は5日午前に日本に到着し、昼間は安倍総理とゴルフを行う予定だ。今年2月にフロリダ州で行われた会談の際も、トランプ大統領と安倍総理は27ホールを1日で回っている。

「トランプさんはゴルフが好きなだけでなく、ヨーロッパやスコットランドのゴルフ場のオーナーでもある。だから、これを使って外交もしようと考えている。ブッシュさんと小泉さんのキャッチボールのようものは過去にもあったが、これだけ密接に、昔からの友達のようにというのは、あまりなかった。それだけトランプさんと安倍さんの距離が近いことを意味してるのだと思う。何か困ったことがあったら安倍さんに電話で聞くという形になっているようだ。今回、トランプ政権は、安倍政権が選挙で勝つことを前提条件で動いていた。そもそもトランプさんにも相談をして解散をしたと言われている」。

9月19日に国連本部で行われた演説で「私たちは愛くるしい13歳の日本の少女が母国の海岸から拉致され、北朝鮮のスパイに日本語を教えることを強要されたのを知っている」と強い調子で北朝鮮を批判したトランプ大統領。首脳会談の後には、横田さん夫妻を始めとする拉致家族と面会する見通しだ。前嶋教授によると、核・ミサイル問題と比べ、拉致問題への米国内の認知度はそれほど高くないというが、トランプ政権が拉致問題に言及する機会が増えているとの指摘もある。

「北朝鮮の核、ミサイルの話は、トランプ政権の外交の中でも最も重要な課題だ。もしかすると、トランプ政権の外交の明暗を分けてしまうような大きなもの。もし北朝鮮と戦争になった場合、アメリカ国内での世論が大事になってくる。その時に、北朝鮮というのは若者たちを拉致するようなとんでもない国だという印象づけをする必要がある。その意味で、拉致問題は議会対策の一つにもなる。また、これまでの政権が取り組まなかったことでもあるので、自分がやりたいという側面もあるのだろう」(前嶋教授)

その一方で前嶋教授は、今回のアジア歴訪では、対北朝鮮問題だけでなく、自由貿易協定や中国の南シナ海進出など、それぞれのテーマで各国の思惑の違いが浮き彫りになりそうだと指摘した。

■米国内ではロシアゲート問題に関心

日本では注目を集めるトランプ大統領の来日だが、アメリカで吹き荒れているのは大統領選干渉疑惑に端を発するロシア疑惑の嵐だ。

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10月30日にはトランプ陣営で選挙対策本部長を務めたマナフォート氏ら元幹部2人が、ロシア疑惑に絡む資金洗浄や脱税の罪で起訴され、翌31日にはIT大手のFacebook、Twitter、Googleの幹部が米上院司法委員会の公聴会に呼ばれ、ロシア政府によるSNSを使った情報操作の疑惑についての証言を求められている。

これまでの証言によると、ロシア政府に近いとされる団体がFacebookなどのSNS上に民主党のヒラリー・クリントン候補を攻撃する大量の投稿を行っていたことが明らかになっている。クリントン陣営に対する偽の情報や、トランプ大統領が有利になるような情報が、ロシアに近い所から一般の人へ向けて流された。その影響は、総数で1億2000万人の目に入った可能性があるとも言われている。選挙という民主的なプロセスに外国が関与したことが立証されれば、アメリカにとって大変な事態となる。

前嶋教授は「捜査がだいぶ進んできたということだ。ロシア疑惑の話はメディア主導。トランプさんをよく思っていない省庁の人たちがリークした。その本丸の一つがSNSで、どうやってロシアが偽広告を出していたのかを解き明かしていこうとしている。疑惑が深まれば弾劾になる可能性もある。これから色々な人が逮捕・訴追という流れになってくる」と話す。

「ロシアは、アメリカは言論の自由がある国だということをうまく使おうとしたのかもしれない。アメリカの人口が3億3000万人いて、そのうちの1億2000万人が投稿に影響を受けたとすれば大問題だ。一人ずつ訴追をする中で、どんな形でロシア政府と絡んでいたのかを割り出していくので、やはり時間がかかる。そんなに簡単にわかってくることではない」。

来日中のイバンカ氏の夫・クシュナー氏も捜査対象になっているとされるトランプ政権。アジア歴訪後の動きにも注目だ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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(2017年11月3日「Abema TIMES」より転載)