バングラデシュでの大変な家探しの思い出と、インテリア বাসা খুজঁতে গিয়ে সমস্যা এবং আমার সাজানো বাসা

私はある一点の条件で、どの家も断られ続け家探しに苦労しました。

思えば、バングラデシュの首都ダッカで今の場所に部屋を借りて、この10月でまる一年になりました。この国に暮らし始めて4年目となる私にとって、ここが最も長期間借り続けているお部屋になりました。

この国で起こるさまざまな理不尽や葛藤からは少しでも落ち着きたくて、この7つ目のお部屋は、大好きだけどなかなか行けない農村部の風景を散りばめたインテリアにしてみました。

「TO-LET」

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まず、バングラデシュではどうやって住居を探すのか。写真にある無数の貼り紙、「TO-LET」がその目印です。英語で「貸家あり」という意味で、時に「SUB-LET」=貸室あり、 というものも見かけます。日本のように便利な賃貸情報サイトや、しっかりした不動産屋があるわけではないのです。

正直な話、「TO-LET」を初めて見た頃は本気でトイレだと信じ込み、「そこかしこに貼ってあるよ......」と不思議に思っていたのも、今となっては思い出です。その後、同じことを私に打ち明けてきた日本人の友人がいて、「私だけじゃなかった! だよね~」と笑いました。

私の家探しは、「このあたりに住みたい!」 といった地域を決定して、その周辺の道を歩き回り、外観を見たり、この貼り紙を見つけて情報を得るところからいつも始まります。

イスラム教圏の国 × 女子のひとり暮らし

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なんとなく「いいな」と思う外観を見つけて、その物件の門番さん(記事の終盤で触れますが、ほぼすべての建物に門番さんがいます)に空室の有無や、いつから空くか、何階か、エレベーターがあるのか、家賃は間取りは......といった情報を聞くまでは簡単です。お部屋も門番さんがすぐに見せてくれます(まだ住人がいても!)。

大変なのは、目星をつけた後に、大家さん(だいたい建物の2、3階に住んでいる)と話す時です。私はある一点の条件で、どの家も断られ続け家探しに苦労しました。それは、「女子のひとり暮らし」ということです。

この国では、大家が入居を嫌がる条件ベスト3ときっと言えるほど、女性のひとり暮らしは嫌がられます。これにはイスラム教国であることが大きく関係していて、感覚的に未婚女性でひとり暮らしなどありえない、ということらしいです。

また借主が外国人というのも、セキュリティ面で心配されて断られたり、怪しい店(売春宿?)を開くのでは......と疑われることもあります。そんな毛嫌いしなくてもと思うくらい、ひとり暮らしのことを告げた時点でアウト! すごく嫌な顔をされて、どんな話も打ち切られてしまいました。

このために、前の家を出る日まで次の家が見つからず、飼い猫2匹を連れて数日間 家なき子になったのも、今となっては思い出です(でも日本と違って良いのは、ペットお断りの大家さんはほぼいない!)。

ちなみに、これは首都ダッカでも中心地から離れた下町エリアの話です。大使館やオフィスの集まる中心地では外国人が暮らすことも増えていますし、そこの大家たちは感覚も現代化されてきているので、女子ひとり暮らしという条件の難易度は、いくぶんか軽減されます。

家族仕様の広い間取り

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バングラデシュではまだまだひとり暮らしなんて皆無。そのため、ひとり暮らしタイプの物件すらありません。ある部屋はどれも家族用のものばかりで、間取りはリビング+3部屋+トイレ兼バスルーム2つ+キッチン(+ベランダ)というのが定番です。「小さくてもいい」と思っても、そうはいきません。

上の写真は、前に住んでいたお家です。こちらの家の壁はピンクや水色、緑など派手なのも多く、もちろん塗り替えも少額で簡単に頼めてしまうのですが、私は最初からこのレモンイエローの壁が気に入ってここを選びました。

こういった話をしていると、では「田舎から出てきた学生や、単身者の人はどうしているの?」と疑問が浮かぶかもしれませんね。学生は2パターンあり、こうした大きい部屋を3~6人(一部屋にふたり入る)で住んでいたり、学生寮が日本よりもかなり機能しているので、そこで暮らします。

大学寮ではルームメイトならぬ 「ベッドメイト」 と呼ばれるスタイルがあり、1フラットをシェアするどころかシングルベッドをふたりで共有することも! 私も以前 寮にお泊まりしてベッドメイトしたことがあるのですが、大声で寝言を叫んで泣いて、真横の子によしよしされたのを覚えています(笑)。ローカルの子にとっては、農村部でもこうした寝方は一般的だそうで、窮屈というよりは安心できるのだそうです。そう考えると、なおさらひとり暮らしなんて論外ですよね。

家賃は、場所や部屋のクラスによって大きく異なります。スラムから大豪邸まであるバングラの中では私の住む部屋は中級クラス(中の下)といったところでしょうか。

私のインテリア - 1. ブッダ プルニマ

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上で述べたように、バングラのお家は基本的に広いので、ひとり暮らしをすると使わないスペースも多いです。そこに作ったくつろぎスペース......テーマは、大好きな「チッタゴン丘陵地帯」。

天井の丸いライトで、あの地域で大切に想われているプルニマ「満月」を表現して、右奥の縦長のライトでは、ブッダ プルニマと呼ばれる日に、夜空へ放たれるランタン「ファヌーシュ」を描いています。

ところで、実はこの物件、私の入居前まではベンガル人男子が12人も同居していました(正確には、入居日にもまだ寝転がっていました......)! その部屋の使い様を見かねて、大家さんも「ひとり暮らし女子」を受け入れてくれたのでしょう(笑)。

私のインテリア - 2. カプタイ レイク

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続いてこちらは、名付けて「カプタイ ホエール」! 現地農村部に「カプタイ レイク」と呼ばれる大きな湖があります。

1962年、先住民の人々の声をほぼ無視して造られた発電のための人造湖で、チャクマ民族の王宮や慕われた僧侶の記念碑、そして10万人の家々が沈む(人々は難民となった)悲しい過去をもちます。だけども、人々も少しずつカプタイがある生活に馴染み、湖も元からある山々に馴染んでからは美しい存在でもあります。そんな湖で泳ぐ子どもたち、チャを飲みながら水辺に佇む人々、写真を撮る写真家たちも今はたくさんいます。

そんな写真家の友人たちが撮ったカプタイの写真をパッチワークのようにして作ったカプタイ ホエール。泡もカプタイからできていて、部屋に風が吹くとゆらゆら揺れます。

私のインテリア - 3. 竹の家の光、現地の絵、竹煙草「ダバ」

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村の家や製品は竹作りが主流で、特に私は、竹で編んだ家の編み目から外の光が入り込む雰囲気が大好きで、それをどうにか再現したく、150円ほどのゴザを買ってきてカーテン代わりにしたのが写真左上。ほんの少しですが、編み目の光が床のゴザにも落ちているのが分かりますか? 大成功ではないけれど、気に入っています。

それから、自分で製作した写真集や、現地の友人が描いてくれた風景画など。

そして写真下は「ダバ」という名前の竹煙草です。村ではおばちゃんたちを筆頭に、みんなに愛飲されていて、私もそこにいる時は吸うのですが、自宅ではこんなオブジェと化しました。

電気、ガス、水......ないと最も困るのは?

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私にとっては当たり前になりましたが、ここでの「停電」「ガス停止」「断水」はしょっちゅう! でも私、実はこれらが起こる暮らしをそう嫌ってはおらず、むしろ生活レベルでは気に入っている......そんな変わり者です。

停電の時は、作業の途中だと「チッ!」と一瞬思いますが、それを言い訳に休憩しようと暗闇の中ボ~っとします。停電ではファンも止まってしまいやや蒸し暑くなりますが、そんな時、外の風を浴びようと表に出ると虫の音や蛍と遭遇したり、空の星がきれいなことにも気がついたりします。

たいてい30分~1時間後には電気が戻りまが、その、ファンが再び回るときのあの歓び! そして周りの家や道から聞こえてくる「電気きたー!」の歓声や雄叫びに、なんて楽しいのだろうと思います。

ガス停止の時は、正直あんまり何も感じません。強いて言えば、こちらの食べ物は火を通して食べることが必須(外国人は生野菜でも湯通ししたほうが良いという意見も)なので、料理に困るくらいでしょうか。

そして断水......。これが私には最も辛いです。

断水は、この蒸し暑く、土埃で汚れる国にあっては大きな試練です。ふだん、こちらではほぼ一年中 水シャワーを浴びています。暑い時にそれができないことや、衣類やお皿が洗えなくて溜まることで、すべての活動や意欲を止められてしまいます。

あと、バングラあるある(?)な失敗のひとつとして、断水中に蛇口をひねったままで忘れてしまい、そのあいだに水が復旧したことで帰宅後、家中水浸し! というものもあります。溜まっていた洗い物のせいで排水溝が塞がっていて、こんな事態が起きてしまったのです。水がふつうに出る時は幸せを感じますし、おかげで水を溜めておく癖もつきました。

写真左は、バングラの短い冬、さすがに水シャワーに耐えられなくなり、お鍋に沸かしたお湯を水と合わせてぬるま湯にして沐浴する、の画です。日本では考えられませんが、これも私の小さな幸せです。

紹介が遅れましたが、実はこの猫2匹もチッタゴン丘陵地帯から私の家へ一緒に暮らしに来てくれた仔たち。名前は茶が「ビジュ」(チャクマ民族のお正月)、白が「ジョゴラ」(チャクマ民族の地酒)です。やっと紹介できました。今後ともよろしくお願いします。

門番さん(と野良猫)

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バングラデシュでは、建物の一階に必ず「ダロワン」(ベンガル語で門番さん)がいます。写真のようなおじいさんであることが多いです。彼らは一日中同じ場所にいてベッドも脇のほうに置いてあるので、そこで門の管理、荷物を運ぶお手伝いやいくつかの作業、こちらのお願いをきいてくれたりもします。

私が幸運なのかもしれませんが、「門番さん運」だけは良く、今まで悪い門番さんとは出会ったことがありません。バングラデシュ、悪い人もやはり時にはいたりしますが、この猫も「門番さんは大好きニャ......」と思っているはずです♡

Ambassadorのプロフィール

Natsumizo

Natsumizo

1985年、宮城県女川町生まれ、青森県育ち。日本大学藝術学部映画学科在学時に、ドキュメンタリー制作のためバングラデシュを訪れる。卒業後、Documentary Japanに務める。2014年、学生時代作品への心残りや日本よりも居心地の良さを感じていたバングラデシュに暮らし始めることにし、作品テーマや自分の役目(仕事)を再び探すことに...その中で出会ったこの国の少数民族に魅力とシンパシーを感じて、彼らと共に生活していきたいと思う。ドキュメンタリー作品『One Village Rangapani』(国際平和映像祭2015 地球の歩き方賞および青年海外協力隊50周年賞受賞 http://youtu.be/BlxiN2zYmjE)、カメラ教室、クラウドファンディングや写真集『A window of Jumma』の制作などを行ってきたが、この地で映像作品制作を続け、この先は映画上映会(配給)や映画祭などの企画にも挑戦していきたいという夢を抱いている。