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【マレーシア・現地採用】「採用してもらうのか、させてあげるのか」問題

本気で海外でキャリアを築いていこうとしているガチの人間は、「採用させてあげる」くらいのレベルにまでなってほしい。

2017年10月08日 13時36分 JST | 更新 2017年10月08日 13時36分 JST

ABROADERSコラム、久しぶりに書いております。マレーシアに住み始めて10年目に突入しているかっしーです。10年とか言うと、何かと構えられることもあるので、最近はマレーシア初心者のフリをしたりもしています。どうかお許しください(笑)。

さて、今回は現地での就職と採用のお話です。

駐在員から現地採用枠への切り替えが加速

柏村信光

私の住むコンドミニアム屋上からの風景

ここ1年くらい、日系企業の方から、

「かっしーさん、こういう人知っていたら紹介していただけませんか」

「こういうポジション募集があって、どうしても見つからないのですが、良さそうな人いませんか」などといった相談を結構な頻度でもちかけられます。

私は人材紹介会社をしているわけではないのですが、その頻度も決して少なくないことから、マレーシア全体の日系企業のあいだで一種の人材難というか、採用に苦労している会社は少なくないのでは、という印象を受けます。

そのような話があった際には仕事内容や給与体系など、大枠だけは参考程度に聞くようにしています。

昨今のマレーシア経済の弱さを考えると、多くの企業で駐在員枠を現地の採用枠で代替えしたいという意図は至って自然な流れだと思いますし、少なからず、外国の地で「日系らしさ」を保ちすぎてきたことの限界も見えてきているのではないかと思っています。

「良い人材はいつでも欲しい」という企業は多い。これは事実です。

良い人材の特徴を私なりに挙げてみると、

* マレーシアに住んだことがある or ガチで住む気がある

* 英語がそれなりにできる or そうなる気がある

* マレーシア人の中に入って仕事ができる or できるようになる気がある

* 基本何でも自分でどうにかできる or できるようになる気がある

など、他にも求めることは色々あるでしょうが、まとめると「腰掛け」ではなく「ガチな人」を日系現地法人は求めている、と言えると思います。こういう人は各々の会社で確かに活躍していますし、企業側も満足しているのではないでしょうか。

企業が欲しいのは「ガチな人」

柏村信光

KLの公共交通機関も徐々に便利になってきています

ここまでは企業側の観点ですが、今回の本題となる「現地で採用されうる個人」観点での話をします。

私は本気でこう思います。

「腹決めさえしていれば、就職先はいくらでもある」。

マレーシアに自己決定で来ている20代・30代の方のモチベーションは

・ 本気で海外で一度挑戦してみたいと思った

・ 海外でのキャリアを積んでいきたい

・ とりあえず1年だけ働いてみたい

・ 日本での仕事が嫌になった

など、さまざまです。別に後者が悪いとも思いませんし、十人十色です。今のマレーシアの経済状況であれば、個人によっぽどの問題がなければ当地で就職機会を得ることはそれほど難しくないはずです。

20代・30代のうちに海外で本気で働いたことがあるというのは、将来の日本経済の先行きを考えると非常に価値の高いものになると思います。

しかし、この海外で働きたいというモチベーションは、搾取されることもあります。

ワーキング・パーミット(就労許可証)の取得上、外国人の最低給与基準は月給5000リンギット(約13万円、2017年7月現在)ですが、実際まだこれに近い給与を提示している会社があります。

確かにルール上に沿って言えばそれは間違いではありませんが、一体何年前の物価水準に合わせているのか疑問です。マレーシアでは毎年3~5%で物価が上がり、現地の人々の平均給与も大幅に伸びてきているにも関わらず、外国人の現地採用者の最低月給は5000リンギットが基準として依然変わらない。

ここで私が何を言いたいかと言うと、腰掛け気分や「どうせすぐ帰るし」という人は月給5000リンギット付近でいいかと思いますが、もし「ガチな人」ならもっと報酬を得る権利があると思いますし、企業側も多少なりともそれに合わせられるはずです。

日本人の美徳としての謙遜は、確かに人間として尊い性質だと思いますし、欲しがらない、という思考が好きなのであれば、そのままで良いと思います。

ただ、私が客観視した時に「もっともらって良いのに」と思う人もいます。現地での採用で月給10000リンギット(約26万円、2017年7月現在)を超える人もいますし、事実、それを払う気のある会社も存在しています。

本気で海外でキャリアを築いていこうとしているガチの人間は、「自分はこれくらいできる」「自分にはこれぐらいの価値がある」という思考に達して、「採用してください」ではなく「採用させてあげる」くらいのレベルにまでなってほしい。そして、そういった人が少しでも当地に多くなればいいな、と望んでいます。

Ambassadorのプロフィール


柏村信光

柏村信光

英系資産運用コンサルタント会社 Infinity Financial Solutions の Country Mannager。1986年、青森県生まれ。2008年に来馬。マラヤ大学アジアヨーロッパ研究所で修士号取得。マレーシアで初の金融庁公認の日本人資産運用コンサルタントとなる。マレーシア日本人商工会議所や業種別MD会などで、定期的に講演を開催。クアラルンプールで80年代の人が交流するKL80年会の総幹事。好きな言葉は「気合い」。