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キャリアチェンジの理由から見る、フィリピン人の仕事観5選

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今回は、人事として約3500人のフィリピン人から採用を行う中で感じた、日本人と異なるフィリピン人の仕事観について5つご紹介します。

もちろん、職種や会う層によって仕事観も異なるかとは思うのですが、ここでは私が見てきた英語の先生と管理部門スタッフがキャリアチェンジをする理由に基づいています。

統計を取っていたわけではなく、私の超大雑把な肌感の数字とともにお送りします(信じすぎないようお気をつけください)。

※フィリピン人の勤続年数

平均勤続年数は半年と言われています。まだまだ仕事のほうが足りていないため、履歴書の数を集めるだけなら困りません。

ただ、早い人は数日で辞めます。今まで出会った人の中で、一番長かった人の勤続年数は7年(ダントツ1番!)!

2、3年働いていたら長いと感じるのですが、3年以上の人は肌感で全体の0.3%。それだけでも感動に値します。

フィリピン人のキャリアチェンジ、決断ポイント5選


1. フレンドリーな環境が一番!

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面接を受ける人も、会社のメンバーの雰囲気、面接官の雰囲気もよく見ているなと感じます。実際、ほとんどの企業が年に数回パーティーやチームビルディングを実施しています。

また、転職理由として、「マネージメントが変わって厳しくなったから」という理由も聞きます(肌感3%)。

セブ在住の日本人に、フレンドリーなマネージメントをする方が多いようなのと、そもそも日本人に好印象を抱いている(「日本文化が好き」、「日本人の仕事の仕方を習いたい」という理由)ため、「日本人のマネージメント」を求めて面接を受けに来る人も多いです(肌感30%)。

2. 平日昼間に働ける、ということ

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▶子どもから高齢者まで、大人数で外食をしているのをよく見かける

平日昼間に働いている人からするとごく当たり前のことなのですが、この「当たり前」を求めて転職する人もいます。

フィリピン人は非英語圏での英語ランキング世界一となっており、コールセンターの売り上げも世界一。オンライン英会話も増えており、夜間や土日に働く人も多いです。

お給料は良かったり、トレーニングもしっかりしていたりするため、平日昼間以外で働くのにトライする人は少なくないのですが、家族や友人との時間が取れず寂しくなったり、体調を崩してしまったりする人もいます。

そのため、夜間勤務はなかなか長続きしません。

英語講師の肌感8%はコールセンター経験があるのですが、コールセンターでの仕事後に面接に来た人の中では肌感90%が、このスケジュールを転職理由として挙げます。

そして、実際に平日昼間に一緒に働いていると、終業時間になるなりさっと帰る人が多いです。

その後、友人と出かけたり、帰って家族との時間を過ごしたり、別の仕事へ向かったり、大学へ行ったり、それぞれが大事にしていることに対して、有意義に時間を使っているなと思います。

3. 家から職場への距離

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▶多くのフィリピン人が使う交通手段、乗り合いバスのようなジプニー

これには、大きく二つの理由があります。

ひとつ目は、大切な人のため。

仕事後、家族や彼氏が職場まで迎えに来たり、逆に子どもや奥さんをお迎えに行く人も多く、日々心が温まるのですが、職場が遠いとそれが難しくなってしまいます。

二つ目は、交通事情。

フィリピンは、交通事情で世界ワースト1位を記録するほど、車の増加に対してインフラがまだ整っていません。

時刻に正確な日本の電車のような、時間を守るために頼れる交通手段がフィリピンにはありません。

渋滞時にはジプニー(乗り合いバス)も人で溢れ、タクシーに乗りたくても捕まらず、ただ渋滞を避けて、早めに出発する以外にできることがないのです。

本来、職場から車で40分の距離に住んでいる同僚は、いつも仕事が始まる2時間半前に家を出ていると話していました。

大切な人と過ごす時間を少しでも長くするため、職場の近さは彼らにとってとても重要な要素なのです。

4. ファミリービジネスは家族がかりで助ける!

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▶これも小さなファミリービジネス

なんとか生きていこうというバイタリティからか、家族が何らかのビジネスをしている人はかなり多いと感じます(肌感8%)。

「家族のビジネスを助けるために、会社で働くのは辞めた」、「家族のビジネスが落ち着いてきたから、また会社で働き始めたい」という話もよく聞きます。

フィリピン人の場合、「家族」という括りの中に、日本人からすると遠い親戚にあたるような人も含まれていたり、「ビジネス」という言葉が、日本人が想像するほど硬くないもの(家庭を養う程度)ものも含まれているため、広い意味になっているには違いないのですが、20代前半の人からも同じ話をよく聞くので驚きです。

例え実家がビジネスをしていたとしても、20代の若いうちから家族と一緒に働く経験をする日本人って、そんなに多くないのではないでしょうか。

5. もう一度、大学へ

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▶セブの大学。塀で囲まれておらず、街中に突如現れる建物もある

進学のためにキャリアをストップしたり、または、学校に通いながら働けるシフトの仕事を一時的に選び、学位を取得し終わった後にがっつり働くために戻ってくる人もいます(キャリアを学業のために変更したことある人の数は肌感15%)。

人口は1億人超えも、失業率も6.3%(アジアワースト2位)と高いフィリピンでは、資格や学歴のフィルターは日本以上に厳しいです。

大学を出ていないとスーパーのレジ打ちすらできなかったり、大学院を出ていないと学校の先生になれなかったり。

金銭的な問題で「大学を卒業したいが途中でストップしなければならない」、「大学院に進学したいができない」ということがよく起こる(フィリピンの平均的な大学の学費は年間18万円前後)ため、自分でお金を貯めてから、キャリアの途中で大学や大学院に戻る人が多いです。

むしろ、そのまま大学院に進めるのはごく限られたお金持ちの家庭という印象。

ただ、一度大学をストップしていても、大学に戻った際にその単位を使えたり、夜間や週末に通って学士や修士を取得できたりするので、そういう制度は素晴らしいなと思います。

もちろん、日本人とかぶる価値観も


日本人と異なる部分をたくさん紹介しましたが、もちろん、日本人と同じような理由もたくさんあります。

自分のキャリア成長のため、契約が終わったため、前の雇用が不当と感じたため、子育てのため、などなど。基本的に成長意欲が高い人が多いと感じています。

家族を大事にしつつ、縛られない自由な選択


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▶モアルボアルのサンゴ。見ていると、心が洗われるよう

フィリピン人にとっては、まず何より家族が大事。

仕事の選択にも、家族は大きく影響します。稼いだお金も、家族を助けるために使う人はたくさんいます。

日本人の場合、自分自身が結婚をしたり、子どもができた時に、やっと家族の重要性が増す人が多数なのではないでしょうか。

日本のように、レールに乗って生きなくても息苦しさを感じず、自由な選択ができるため、個人的には非常に素敵だなと思う価値観です。

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ライター
高寺 優子/Yuko Takadera

東大機械工学科卒、東大院を半年で中退。南米・アジアを半年かけてバックパックし、「ガンジス川でバタフライ」を文字通り実行。強靭な体とタフさが武器。休学中にインターンとしてNexSeedの立ち上げ最初期から参画し、中退後は社員としてジョイン。Administrative Managerとして、経理、法務、労務、人事などバックオフィス全般を幅広く担当。約3年半務めた後、現在絶賛フリーター中。今後は、ものづくりとBOPを絡めた事業で地域の人々にも笑顔を広げたい。

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