ピンチをチャンスに! 人手不足から生まれたカンボジアの人気ハーブジャム

多くのお客様に好評ですが、実はこんなアクシデントから生まれたのです。

こんにちは。

カンボジア産ハーブ製品の製造販売をしている西口です。

前回、NGOの職員としてかかわった診療所の現金収入を生み出そうとハーブ事業を始めるまでを書きましたが、いよいよ独立して本格的に製造販売をするとなると、ハーブの品種をある程度集める必要がありました。

ピンチ、人手が足りない!

そのために、パートナーとなって、ハーブの生産に参加してくれる農家や団体を探し始めました。

診療所の近くで農地をもつ人が、ぜひ自分も参加したいと言ってくれたのは、2014年の7月ごろでした。

この農地は、ハイビスカスティーの原料であるローゼルが自生していたため、まずはローゼルを育ててみよう、ということになりました。

土地を整備してローゼルを植えると、さすがに自生している植物だけあって、種をまいただけで、あとは何もしなくても、ぐんぐん成長しました。

▶ローゼル

順調に収穫期が近づいた12月、問題が発生しました。

収穫したローゼルを乾燥させる人手が確保できなくなったというのです。

収穫期はすでに始まっていたため、急遽プノンペンの事務所でローゼルを受け入れ、種を取り除く作業をすることに。

乾燥はプノンペンではできないので、ティーではなく「ハイビスカスジャム」を作ることになりました。

わが社のハイビスカスジャムは、添加物なしで、ローゼルの果肉と砂糖、シナモンだけで作られています。

多くのお客様に好評ですが、実はこんなアクシデントから生まれたのです。

休み返上で作業

事務所には、12月中旬から毎日のようにローゼルが届きました。

雇った人員だけではさばききれず、私も含め総出でのローゼルの種除き作業とジャム作りが、お正月明けまで続きました。

生のローゼルは放置すればどんどん痛むので、クリスマスやお正月だからといって、休むわけにはいきません。

幸い、カンボジア人には1月1日よりも4月のクメール正月のほうが大切なので、アルバイト要員の学生たちも多く確保できました。

▶ハイビスカスジャムクラッカー添え

「失敗から学ぶ」という言葉がありますが、この経験以来、委託した農家が処理しきれる量から始めることを徹底するようになりました。

良い農家との出会いが成功のカギ

▶OEMファームでのバタフライピーの収穫作業

良い出会いもありました。

作業には、多くの学生がアルバイトで参加してくれたのですが、その中に1人、寡黙にひたすら作業をするまじめな女の子がいました。

アルバイトを雇っていると、当日になって「突然休みます」という子がよくいますがこの子だけが、1日も休むことなく来てくれました。

ちょうど大学を卒業したばかりで、就職活動中ということでしたので、わが社で働いてもらうことに。

それが、Lay です。

Layの実家はバッタンバン州の農家。

正規雇用して数ヶ月後、「私の兄の農地でも、ハーブを育ててもいいですか」と聞いてきました。

そこで彼女の家の遊閑地で栽培してもらうことにしました。

収穫期が来て、事務所に届けられたハーブを見てびっくり。

収穫処理の仕方も、乾燥のさせ方も、文句のつけようがないほど高品質だったのです。

▶乾燥させたローゼル

Layは仕事で私と一緒に栽培地をまわり、どんな風に収穫すると見た目が悪くなってしまうのか、どんな状態だと、良いものになるのかを学び、それを実家のお兄さんに伝授したようです。

新しいパートナーの場合、作り方をトレーニングした後、まずはサンプルを作ってもらうのですが、ほぼやり直しなしだったのは、これまでLayの実家、OEMファミリーだけです。

▶社員のLayと、シャイなお兄さん

ただ、お兄さんはじめOEMファミリーの大人たちはシャイで作業の様子を写真に撮らせてくれません。

本当はお兄さんがはつらつと作業している様子をたくさん記録したいのですが。

なんとか了承してもらった、妹Layとの写真を今回はご紹介します。

ちょっとずつ信頼関係を深め、いつかは作業風景にも加わってもらえるよう、頑張ります。

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ライター

西口 三千恵/Michie Nishiguchi

2008年カンボジアに渡る。地方部の診療所の運営支援を通じ、運営資金創出のため、地元のリソースを活かしたハーブ製品製造を開始。その後小学校や診療所などの公共施設や若手農家との連携のもと、ハーブ製品製造販売に従事。2015年よりRoselle Stones Khmer Co., Ltd.を設立。代表取締役。

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