産後2ヶ月で復職するけれど、ママがハッピーになれるマレーシア

マレーシアでは結婚・ 出産後も働くのが当たり前で、仕事や育児環境を理由にした少子化とは無縁な印象を受けます。

突然ですが、私の実姉がもうすぐ第4子を出産します。

妊娠の知らせを聞いた際に嬉しくてそのことを同僚たちに言い回っていたのですが、同僚たちの反応が華人、インド系、マレー系ごとに違ったのが非常に印象的でした。

私:「私の姉が4人目を妊娠したの、凄くない?!」

中華系(2児の母):「わたしゃ無理だわ」

インド系(未婚女性):「すごいなー!兄弟がたくさんいるといいよね!」

マレー系(5児の母):「もっと生みなさい」

もちろん、人種の問題以前に個人によって結婚や出産への考え方は違いますが、マレーシアでは結婚・ 出産後も働くのが当たり前で、仕事や育児環境を理由にした少子化とは無縁な印象を受けます。

▶同僚の子どもをだっこ

今回はマレーシア流ワークライフバランスの取り方や、その生き方に私が驚き、共感したことについてお伝えします。

1. 出産直前まで働き、産後2ヶ月で復職!

私がマレーシアに来たての7ヶ月前、隣のデスクのAさんはお腹の大きな妊婦さんでした。

あと1ヶ月少しで出産予定ということで、仲良くなっても産休に入ったらしばらく会えなくなるから寂しいと伝えたら、「心配しないで、産んだらすぐ戻ってくるから。マレーシアは2ヶ月で産休が終わるのよ」と言われました。

▶女性8割のわが社。多くの女性(男性も)子育てをしなが働いている

「たった2ヶ月でどうやって復帰するの?赤ちゃんの面倒や自分の体調は大丈夫なの!?」と聞くと、「義母やベビーシッターもいるし、赤ちゃんのことはどうにかなるわ。体調は漢方を飲んで整える。

マレーシアは産後2ヶ月で復帰するのが普通よ」とのこと。

本当に驚きました。

国連開発計画によれば、産休が60日以下の国はマレーシアを含め世界に20ヶ国しかなく、他のアジア諸国と比べても短い方だとされているそうです。

マレーシアでは出産休暇として、女性従業員は連続で60日間以上の出産休暇を取得する権利があり、出産手当が支給されます。

取得できる日数、出産手当の額、その他のサポートの有無は会社により異なり、日本のように1歳までの育児休暇はありません。

また、マレーシアでは共働きが主流。

結婚、出産したら家庭に」という概念がそもそもないようです。

家計的にも女性の労働力が期待され、産後も両親の助けやべビーシッターの利用、保育園(モスクや一般の保育園)があり、多くの女性が働き続けることができる環境があると感じます。

聞くに、中華系マレーシア人の家庭では、産前・産後と禁止事項が多く、妊娠中は辛い物、カニやエビ、南国の果物などは食べるなと言われているそうです。

甲殻類は毒がある、南国の果物はおなかを冷やすからだとか。

産後直後は毛穴が開いて毒素が入りやすいからという理由で産1ヶ月は髪の毛も洗ってはいけないそうです。

友人の中華系女性は産後3ヶ月間、甲殻類だけでなく、魚類はいっさい口にしていませんでした。

さて、前述のAさんですが、産後早くもスラリとした体形に戻り、10cmはあろうかというヒールを毎日履いて復帰当日からバリバリと仕事をしています。

そのパワーに私も毎日圧倒されています。

2. たくましく働き、堂々と休む

少し前に、同僚たちと1泊2日でマラッカに行ってきました。

その時2児の母・Bさんも参加したことにびっくりしました。

しかもBさん、子どもは置いて旦那さんとふたりで参加。

3歳と1歳の赤ちゃんは同居するお母さんに見てもらっているとのこと。

たまにお母さんに見てもらい、夫婦ふたりで旅行に出かけるのだとか

「それ、理想だわー!」と思わず叫んでしまいましたが、彼女いわくマレーシアではわりと普通のライフスタイルなのだとか?

▶マラッカ旅行には5人のママさん・パパさんが参加。お子さんたちは家でお留守番!

子どもの面倒は親だけでなく、ベビーシッターを利用するのも一般的

同僚Cさんは住み込みのシッターを雇っています。

彼女に「同じ家にシッターさんと住むってどう?」と聞いてみたところ、「え、普通。私も小さい頃からシッターと暮らしていたし」との答えが。

日本との環境の違いを、彼女の言葉から実感しました。

ベビーシッターは、近所の人や友人、親戚などの紹介で見つけます。

1ヶ月で2~3万円ぐらいと聞いたことがありますが、子どもの年齢や、お願いする仕事の範囲にもよるでしょう。

インドネシア人やフィリピン人のシッターを雇っていることが多く、子どもの世話を任せている家もあります。

いつも「超」がつくほどエネルギッシュで、マシンガントークの同僚Dさんは社内のムードメーカー的存在。

いつもご飯会など企画してくれて、私が「二人も小さな子がいるのに遅くなったら大変じゃない?」と聞くと、「急な用事には参加できないけれど、あらかじめ予定が分かっていれば旦那さんやお母さん、シッターと時間を調整するから飲み会でも旅行でも参加するよ!!」とのことでした。

日本では「子どもを産んだら自分の時間は1秒もないと思え」と諸先輩方から教わってきただけに、マレーシア流ワークライフバランスにはとても感心しています。

3.どこに行っても子ども!子ども!子ども!

マレーシア全体の合計特殊出生率は2.0人(2014年統計)とありますが、これは年々減少傾向にあるそうです。

個々人によって異なりますが、民族ごとに考えの違いもあるようで、

・中華系は1~2人(子どもの教育に注力したい)

・インド系は2~3人(兄弟、姉妹がいたほうが良い)

・マレー系は5~6人(子どもたちが将来親の面倒をみるから多いほうがいい)

と大まかに違いがあると言えます。

▶週末のショッピングモールはいつも家族連れで賑やか。家族・子ども向けの催し物も多い

(出典:SCA Svenska Cellulosa Aktiebolaget on Flickr)

マレーシアでは、どこに行っても子どもが多い印象を受けます。

ショッピングモールは家族連れで溢れ、どの施設にも必ずと言って良いほどキッズルーム(有料の室内遊び場)があります。

街中のホーカーでも高級レストランでも分け隔てなく、子ども用のイスがさっと出てきて、「小さい子どもお断り」と言われることもほぼ無く、人々が子どもに対して嫌そうな顔をすることもありません。

▶どんなレストランでも、子ども用イスがサッと出てきます

最後に

先日、地元紙に載っていたニュースをご紹介します。

『マレーシアのタクシー運転手協会

2016年2月からクアラルンプールやスランゴール州で、妊婦の無料送迎サービスを開始した。

24時間体制で、50人のドライバーが妊婦を最寄りの公立病院まで送迎する。

公営住宅や過疎地に住む低所得世帯を主な対象としているが、緊急事態であれば所得の多寡は問わないという』

マレーシアでは仕事だけでなく出産・子育てもアリだな!

と本気で思う今日この頃です。

次回はマレーシアの「スーパーマーケットを行く!」をお届けします。

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ライター

日野 恵美/Megumi Hino

1987年5月25日生まれ。東京都出身。神田外語大学韓国語学科卒業後、物流商社にて4年間勤務。ラーメンからミサイルまで扱う幅広さと、世界とつながる商業輸送という分野が好きで国際輸送のプロフェッショナルになるべく、2015年に来馬。好きな言葉は「Think globaly,Act localy」。

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