(今のところ)最高に楽チン!バングラデシュでの子育て事情

日本の比じゃない「人手」の多さが最高のアドバンテージ
アーメッド弥央

こんにちは、アーメッド弥央です。

息子を出産直後、今から約1年くらい前の記事で、バングラデシュでの出産・育児事情について紹介しました。ただこの時は、妊娠期間中はバングラデシュで過ごしていたものの、バングラデシュでの子育ては未経験だったので、育児事情については推測で書いていました。

2017年12月現在、今年5月にバングラデシュに帰国してから約7ヶ月が経ち、自分たちの育児スタイルもだいぶ定着してきました。今回は自分の体験をもとに、バングラデシュでの子育てについて改めて紹介したいと思います。

日本の比じゃない「人手」の多さが最高のアドバンテージ

アーメッド弥央

夫の誕生日会で家族みんなで祝っている時

以前の記事でも書きましたが、バングラデシュで子育てをするにあたり、一番助かっているのは多くの人手があることです。

私は現在、夫の実家で、夫や息子以外に、義理の母、義理の弟、メイドさんと一緒に生活しています。その他、叔父やいとこ、姪や甥など、いろんな親戚が頻繁に家に泊まりに来ており、大人数が家にいることが多く、いつでも誰かが息子の面倒を見てくれます。私や夫が仕事に行っているあいだはもちろん、在宅時でも自分の具合が悪い時や単に疲れを感じている時は、息子の面倒をお願いできる人がたくさんいます。日本でよく耳にするワンオペ育児とはかけ離れた環境です。

息子はまだミルク中心ですが、離乳食も、指示さえすればメイドさんが作ってくれて、私の外出中は食べさせておいてくれます。ミルク用のお湯の準備やミルクボトルの洗浄、あと紙おむつと併用している布オムツの洗浄もメイドさんの仕事です。

夫が家族やメイドさんに遠慮なく何でもお願いしているので、当初自分の気持ちのどこかにあった「母親だから子どもは自分で世話をするべき」という、自分で自分の首を締めるような思い込みはいつの間にか消え、どちらかというと「家族みんなで育てる」というマインドに変わってきました。よく義母が息子に対して「アマデル バブー(私 「たち」 の赤ちゃん)」 と言うのですが、まさにこの言葉がバングラデシュでの子育てを表しているかのようで、私も大好きです。

以前、一緒に働いている夫と私で数日間の海外出張に出ることになった時には、息子も同行させて現地でベビーシッターを手配しました。しかし、義理の母が、「今度から出張に行く時は、息子は置いて行きなさい」と言ってくれて、出張期間中息子はバングラの自宅に置いていったりしたこともありました。親無しで数日間も大丈夫かなという不安をよそに、元気に過ごしていてくれたようで本当に安心しました。

このように、非常に協力的な家族のおかげで、夫とふたりで外食したり、夫の誕生日には息子を家族に預けて外泊したりと、夫婦の時間も取れるようになりました。子育てや仕事、自分の時間や夫との時間のバランスも取れ、育児の悩みというのがほとんどなく、これまで過ごせています。

人手が充実しているということだけでなく、バングラデシュ人はほぼ全員と言っていいほど子ども好きなことが、子育てしやすい理由でもある気がします。以前シンガポールのチャンギ空港の入国審査待ちで息子を空きスペースで歩かせていた時、たいていの人は素通りする中、息子に話しかけてくれていたのはバングラデシュ人ばかりでした。バングラデシュでは大家族が多く、家族や親戚間のつながりがとても強いため、昔から自然と周りに小さな子どもがいる環境に慣れているのかもしれません。

家の中だけでなく、外でも子どもはウェルカム

アーメッド弥央

ITカンファレンスで夫が登壇中に、ご機嫌の息子

子どもの面倒を見てくれる人が多いという話は、家の中に限らず、外出先でも同様です。息子を連れて外食した際、頼めば食事中は暇な店員さんが息子の相手をしてくれます。バングラデシュの飲食店は、店の規模やお客さんの数に対して、なんでこんなに従業員が多いの!? と驚くほど従業員が溢れていて、暇している従業員さんの比率も高めです(笑)。

他にも、普通では考えられないようなところに子どもを連れて行っても問題ありません。例えば、オフィス。夫が経営する会社ということもあり、家にばかり息子を預けると息子も退屈かと思い、たまにオフィスに連れて行くのですが、さすが子ども好きなバングラデシュ人。みんなウェルカムです。バングラデシュではtea boyと呼ばれるお茶汲み係兼雑用の従業員がいて、主に彼が息子の面倒を見てくれます。

ITカンファレンスというかなりパブリックなビジネスの場所にも連れて行ったことがありますが、そこでも他の参加者の方々が息子をとても可愛がってくれました。

反対に子育てで不便なところ、見習いたくないところ

アーメッド弥央

初めて息子がバングラデシュに降り立った時。空港で義母などから熱烈歓迎を受けている様子

このように、家族のサポートの手厚さや赤ちゃん好きな人々のマインドという面では、バングラデシュでの子育ては不自由しませんが、日本など先進国に比べると不便な点はいくつかあります。

まず、売っているベビーフードの種類がとても少ないこと。そもそもベビー用品の品揃えは全体的に多くはないのですが、その中でもベビーフードの種類が少なすぎて困っています。日本で子育てをしていた頃は、西松屋や赤ちゃん本舗などで、主食からおかず、お菓子類まで販売されているコーナーがとても広く、数えきれないほどの品数が揃っていました。、しかし、こちらは赤ちゃん用品店でも大人の背丈くらいの棚ふたつ分くらいしか売っておらず、しかもどれも海外メーカーのもので、正直日本のものよりおいしくなさそう......。家で作るか、日本に帰国した際にベビーフードを大量購入するなどして、なんとか凌いでいます。

また、道路状態が悪かったり車の運転が荒くて危なかったりするので、ベビーカーでちょっと近所を散歩するということはできません。そのため、日本にいた時よりも息子が家の中にいる時間が長くなってしまい、これは良くないことだと感じています。

更に、インフラ面の不便さではなく、バングラデシュの文化で子どもには継承したくない点もあります。それは例えば、椅子から離れる時に椅子を元の位置に戻すことや、食事が済んだら食器をキッチンまで戻すといったような、日本では幼少時からしつけとして叩き込まれている所作ができないバングラデシュ人が多くいることです。「椅子を元の位置に戻す」や「食器をキッチンまで下げる」といった行為は、メイドさんの仕事とみなされているため、わざわざ自分では行わないという感覚なのです。バングラデシュに住んでいるぶんには良いかもしれませんが、海外に出た際には好まれない行為だと思うので、息子には見習って欲しくないことです。

我が家のこれからの子育て

アーメッド弥央

2017年3月に義父の実家の田舎を訪れた際の写真。写っている人たちはみんな親戚!日本の血が混じった赤ちゃんに興味津々

最後に、これから我が家ではどのように子育てをしていくのかについて書きたいと思います。これまでバングラデシュでの育児の良さを語ってきましたが、学校に入る年齢になったら、「バングラで子育てをしたくない」というのが正直な感想です。というのも、バングラデシュの主たる教育は日本と似ていて、知識詰め込み型で、テストの点数や学歴至上主義なところがあるためです。

息子が将来どんなことをしたいのか、自分のやりたいことが明確になった時に、彼の選択肢ができるだけ広くあって欲しいという願いがあります。その土台として、異なる人や文化に対する理解をもったり、世界規模で視野を広げておいて欲しいと思います。そのため、彼には幼い頃から世界のいろんな面を見せられるように、それに適した教育をしていきたいと考えています。

どこの国の教育が最適なのか、まだまだリサーチ途中ですが、これからは「子どもへの教育」を一番のプライオリティーに、家族で住む国を変えていくようなスタイルを取っていきたいと思っています。今のところ、バングラデシュでのビジネスが落ち着いたら、またシンガポールに住む可能性が高いです。幼少の頃にシンガポールのような多民族文化の中で育て、、小学生くらいになったら、自分で考える力を重視する教育がある北欧に移ってもいいかな......とか。まだまだ手探りなプランなので、これから夫婦でじっくり考えていきたいと思っています。

Ambassadorのプロフィール

アーメッド弥央

アーメッド弥央

1988年生まれ、北海道出身。異文化と触れ合い新しい世界をみることが好きで、アイスランドの留学や世界約35ヶ国への旅、また東京で国際交流を目的としたNPO「Japanize」を友人と運営した経験あり。東京、シンガポールでの勤務を経て、2016年1月にバングラデシュに移住。バングラデシュ人の夫が経営するスタートアップHishabにて、ボイスユーザインターフェースのERPを新興国マーケットに展開中。

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