SEからのラーメン屋立ち上げストーリー〜シンガポールで働く田尻剛章さん

わからないからこそわかるまでやる!わかったらそれが大きな武器になります。

やりたいことがあったら、何でも好きなようにやればいい

シンガポール、カンボジアと2カ国で働かれていますが、学生時代から海外に興味があったのでしょうか?

学生時は海外に一度も行ったことがなく、興味すら持っていませんでした。

大学卒業後はとにかく大手企業会社に入ろうと思い、SEとして就職。そんな私が海外に興味を持ったきっかけは、日本で働いている時に住んでいた家の1階に住んでいたバックパッカーとの出会いでした。

その方は50歳くらいなのに見た目は30代で、ヒラヤマを登ったとか、世界のこんな場所を周ってきたなんてことをいつも楽しそうに話しているんです。

その経験を聞いているうちに、「自分の世界って小さいな。今しかできないことをしてみよう!」そう思って3年目に仕事を辞め、1年間の世界一周の旅に出ました。

当時の上司には、「せっかく良い会社に入って安定した生活があるのに、本当にそれで良いのか? もう1度考えて直してみろ」と言われましたね。

でも、今振り返ってもこの決断に後悔はありません。

世界を周ってみて、どんな気付きがありましたか?

「やりたいことがあったら、何でも好きなようにやればいい」と思いました。日本で働いていると、会社の制約の中で仕事をする価値観しか持てなかったのですが、海外だとみんな自由に働いているんです。

たとえば自分で屋台を買って、好きなものを売って生活の糧にしている。こういう働き方もありなんだと、目から鱗が落ちる思いでした。

シンガポールでの1年間の修行後、カンボジアへ

世界一周後は、お金を貯めるために一度日本に戻りました。自分でお店を持ちたいと思って海外求人を眺めていたところ、たまたまシンガポールでの飲食立ち上げポジションを見つけて。

すぐに応募してそこで働くことになったのですが、わからないことだらけで上司に色々とアドバイスをもらいながら必死に働きました。その経験がカンボジアでの店舗立ち上げにも活きましたね。

カンボジアで事業をしたいと思い始めたのは、シンガポールで働いてちょうど半年が経った頃。

ラーメン屋を立ち上げる国を探す中で、一番やっていけそうと思った国がカンボジアだったのです。1年後、カンボジアへと移住しました。

なぜカンボジアならやっていけそうと思ったのでしょうか?

まだ競争相手が少ないというのも理由のひとつですが、それ以上に、タイでラーメンが流行っていたからです。

カンボジアの文化やオシャレ、食べ物などなんでもそうですが、タイで流行ったものが遅れて入ってきます。

だから、タイでラーメンが流行っていたので次は必ずカンボジアに来る。そう思って進出を決意しました。

立ち上げで大事なのは、PDCAサイクルをたくさん回していくこと

カンボジアに飛び込み、どのようにして事業を始められたのでしょうか?

日本人コミュニティーを探して、そこから情報をもらいながら進めていきました。家の探し方や会社登記や仕入れまで、さまざまなことを教えてもらいましたね。

他にも、日本食レストランで隣の席になった日本人の方と仲良くなって、現地を案内してもらいながら情報を教えてもらったり。

偶然が重なってここまで来ることができたと思うのですが、行動したからこそこういった偶然が起きたのだと思います。

シンガポールとカンボジアでの店舗立ち上げを経験されていますが、立ち上げにあたって重要なこととは?

日本人は完璧を求めがちですが、考えていても進まないことはあるので、ある程度のものができたら始めることです。

そしてとにかくPDCAのサイクルを早めることです。やってみたらしっかりと結果を分析して、また仮説を立てて、すぐに行動に移す。

わからないからこそわかるまでやる! わかったらそれが大きな武器になりますからね。

カンボジアでの事業失敗から学んだこと

なぜカンボジアの店を閉めることになったのでしょうか?

資金不足のためです。資金、人員ともにまだまだ十分に整っていないにも関わらず、展開を急ぎ過ぎてしまいました。

計画が甘かったせいもあり、予定していた成長を大きく下回る結果となってしまったのです。海外にいると、新たに資金を調達することが特に難しいと痛感しました。

この経験から学ばれたことを教えて下さい

カンボジアでの事業経験から学んだことは、ローカルのマーケットに食い込むには、我々外国人では圧倒的に情報が不足していることを、常に頭に置いておくことが重要だということです。もちろんマーケティングだけに限らず、他の面でもやはり劣勢な立場に立っています。

そのため、信用できる現地パートナーを見つけるのは必須。そして、主役は我々でなく現地の仲間たちだという気持ちを持ちながら、彼らの協力の元、日本人としての強みを活かして働くことが大事なのではないでしょうか。

事業撤退という決断をされていますが、カンボジアで挑戦されたことに後悔はありますか?

自分で決めたことです。後悔はありません。後悔しても意味ないですからね。でも、もちろん反省すべきことはたくさんあります。

同じ失敗を繰り返さないためにも大いに反省して、次の行動の糧にしないといけません。次どうするか、が大事です!

そして反省は頭の中だけじゃなく、ちゃんと書き残していますよ。人間、簡単に忘れてしまいますから(笑)。

修行をする場所をシンガポールのこの店にしたきっかけは?

シンガポールでビジネスをすることに興味があったからです。偶然、日本に帰国してすぐ前職のボスからシンガポールでの仕事のオファーをいただき、「シンガポールでビジネスをするチャンスだ」と思い飛びつきました。

ラーメン作りや店舗経営をもういちど一から学びつつ、再起をはかるための準備をしています。

やりたいことはまだまだたくさんあるのですが、前回の反省を活かして、まずはしっかりとシンガポールに基盤を作ることに専念したいと思います。

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プロフィール

田尻 剛章/YOSHIAKI TAJIRI

カンボジア初、ファストフード・ラーメンを広めるべくTHE RAMEN KIOSKを立ち上げた「海外食アントレプレナー」。日本の味を活かしつつもその土地固有の食文化を融合させ、現地人に受け入れられる食事を提供する。

2011年 世界一周旅行。旅行中、東南アジアに魅せられ、東南アジアでのビジネス立上げを決意。

2013年 シンガポールに渡り飲食店立ち上げに従事。

2014年 その後、単身でカンボジアに渡り独立。現地人向けファストフード・ラーメンTHE RAMEN KIOSKを立ち上げる。

2016年 the ramen kioskの売却・閉店。再挑戦するため再度シンガポールに渡り修行中。

ライター

濱田 真里/Mari Hamada

ABROADERS 代表

海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を6年間以上続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『週刊アブローダーズ』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。

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週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。

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