シンガポールに住んでみえてきた、女性が働きやすい2つの理由

シンガポールに移ってからあっという間に半年が経ちました。今回はシンガポールと日本の労働環境の違いについてお伝えします。

シンガポリアンたちが残業をしないのは、なぜだ!?

▶遠くに見えるシンガポールの住宅。

現在、日系の法律事務所で現地採用として働くErikoです。

シンガポールに移ってからあっという間に半年が経ちました!

以前東京で働いていた時と同じ職種のため、仕事内容は大きくは変わりませんが、やはり労働環境は日本と違うなと感じます。今回はシンガポールと日本の労働環境の違いについてお伝えします。

いきなり給料のお話になりますが、シンガポールは一定額以上(月額2,500シンガポールドル)の給与をもらっていれば、残業代支給の義務がありません。

これはオフィスワークに限られますが、シンガポール雇用法で決められています。それもあって、定時以降にオフィスで残業をするシンガポリアンはあまりいません。

定時にオフィスを退社すると(特に金曜日は)、周りの飲食店やバーはどこもすでにアフター5を楽しむOLやサラリーマンたちで賑わっています。またシンガポールはランナーが多いのですが、たくさんの人たちが早い時間からジョギングしているのをよく見かけます。

日本では残業代ゼロの法案に対してかなりの反対意見が出ていましたが、確かに今の日本で残業を減らすことは難しいと思います。しかし、残業が少なければ女性を含む多くの人たちにとって働きやすい環境になるはずです。

シンガポールで女性が働きやすい2つの理由

▶HDBでしか見られない洗濯物の干し方

シンガポールは働いている女性の割合が高く、男女の賃金格差も小さいのですが(日本は先進国の中で順位が低いですね)、同僚や友人から話を聞いていると、シンガポール政府は働きやすい環境を目指してさまざまな政策をとっているようです。

まず1点目はHDBの制度です。

HDBはシンガポール政府が提供する公団住宅で、国民の8割以上がHDBに住んでいるといわれています。

ちなみに駐在員が多く暮らすコンドミニアムは相当高いです。それに比べてHDBは安く提供されています。

とは言っても、日本のような1DKの賃貸の部屋はHDBにはないので、私のような一人身の場合は一部屋を借りてバス・キッチンを共有することになります。現在は、オーナーであるシンガポールの老夫婦と一緒に住んでいます。

このHDBですが、購入すると政府から補助金が出るのです。しかも、自分の両親もしくは結婚した子供が2キロ圏内に住んでいる場所でHDBを購入すれば、政府から出る補助金がさらに増えます。

私のオーナーの息子もすぐ近くに住んでいます。また、平日家に帰ると、ほぼ毎日孫が家にいてオーナーが面倒を見ていますし、娘夫婦も息子夫婦もよく夕食を食べに来ます(しかも来るのがやたらと早い)。

日本であれば、一度結婚したら実家で頻繁にご飯を食べる人はいないと思いますが、シンガポールでは一般的なようで最初は驚きました。家族が近くに住んでいれば、何かあっても協力できるし共働きもしやすいだろうなと思います。

2点目は、メイドの存在です。シンガポールに来た当初は、駐在員がメイドを雇うのだと思っていましたが、一般家庭でも多くのメイドが働いています。休みの日には、電車の中で子ども連れのお母さんとお父さん、メイドの組み合わせを見かけることが時々あります。

この間、大人数でチリクラブを食べに行ったのですが、その中に子どもふたりを連れた母親がいて、一緒に来ていたメイドが小さい方の子どもにご飯をあげていました。

彼女たちは外国から来ているため住み込みタイプが多く、フィリピンやインドネシア出身の女性が多いようです。そういえば、2013年12月に『イロイロ ぬくもりの記憶』(第66回カンヌ国際映画祭カメラドール受賞)というシンガポール映画が日本でも公開されました。

この映画は、イロイロというフィリピンのある都市から来たメイドが住み込みとしてシンガポールの一般的な中国系家族の下で働くストーリーなのですが、シンガポール人の生活ぶりがなんとなく分かるのではないかと思います。

ご興味ある方はぜひ!

シンガポールの女性進出によるメリット・デメリット

シンガポリアンの女性たちが働きやすくなった背景のひとつにメイドの存在があるわけですが、ホワイトカラーの間では割と男女平等を実現させている反面、それ以外の職種を見ると、シンガポリアンと出稼ぎ外国人(または途上国からの移民)との間で労働市場の棲み分けを強く実感します。

これはシンガポールだけではなく、移民の多いアメリカを含め他の国でもそういう問題を抱えているのだと思います。

シンガポールのワークライフバランスを見ていて私が気付いた点は以上です。

日本も、もっと本当の意味で男女平等に働きやすくなる日が来るのでしょうか?

ライター

Eriko

2009年6月に大学卒業後、都内の法律事務所にて弁護士秘書として勤務。2014年5月よりシンガポールで現地採用として日系法律事務所で勤務。趣味は旅行とミニシアター系映画鑑賞。将来の夢は映画の字幕翻訳!

2015-05-16-1431738338-789227-abroaders2015051609.41.07.png

週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。

HP: 週刊ABROADERS

Facebook:ABROADERS