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原発事故からの復興の課題を知るには

2014年11月24日 00時15分 JST | 更新 2014年11月24日 00時15分 JST

福島県浜通り地域の町(福島県では全ての町で「まち」と呼びます)や村の復興の度合いを取り上げるには、現在の避難区域に繋がる変遷を知る必要があります。

福島第一原子力発電所事故より3年8ヶ月が経過した現在において、旧避難区域であった地域と現避難区域では、復興の進み具合がまったく違います。

また福島県の浜通り地方に詳しくない方にとって双葉郡全体が未だに「避難区域」と誤解されている方もいます。

避難区域の変遷について触れます。

(各市町村の避難区域再編の詳細等は経済産業web「避難指示等について」)を参照願います。

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html

・平成23年3月12日に福島第一原子力発電所を起点に半径20km圏内が退避指示16日に半径20km~30kmついて屋内退避指示。

・同年4月11月に「緊急時避難準備区域」と「計画的避難区域」が新たに設定。「現在」の避難区域へと繋がる。(同心円避難区域+汚染実態にそった避難区域「浪江町、葛尾村、飯館村、南相馬市(一部)、川俣町(一部)」が避難区域に設定)

 (1)緊急時避難準備区域

   屋内退避指示区域に居住していた者が自主避難を推奨された地域

   教育機関が(高校、中学校、小学校、幼稚園、保育所)休校

   特に、子供、妊婦、要介護者、入院患者等は入域を制限

 (2)計画的避難区域:設定日より概ね1ヶ月以内に避難を推奨された地域

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(平成23年4月22日、「報道発表計画的避難区域、緊急時避難準備区域の設定」経済産業省webより抜粋)

・同年4月21日福島第一原子力発電所から20km圏内は「警戒区域」が設定。

 (1)警戒区域

   緊急事態応急対策に従事する者以外の者に対して、市町村長が一時的な

   立入りを認める場合を除き、当該区域への立入りを禁止し、又は当該区域

   からの退去を命ずることが出来る区域

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(平成23年9月30日 「地図 緊急時避難準備区域解除前」経済産業省webより抜粋)

・同年9月30日「緊急時避難準備区域」を含む全5市町村(広野町、楢葉町、川内村、田村市、南相馬市)が解除。

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(平成23年9月30日「地図 緊急時避難準備区域解除後」経済産業省webより抜粋)

・平成24年3月30日「警戒区域及び避難指示区域等の見直しについて」が原子力災害対策本部より指示。これにより各市町村の避難区域の再編(「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」)が進められ警戒区域は解除へ。

 (1)帰還困難区域

  5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らない

  おそれのある、現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域(一

  時的な立ち入りにおいてもスクリーニングや放射線量管理、防護措置の

  徹底が義務付けられる)

 (2)居住制限区域

  年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく

  線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域(一時的な

  立入りの際には、スクリーニングや線量管理など放射線リスクに由来す

  る防護措置を原則不要とする。)

 (3)避難指示解除準備区域

  年間積算線量20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認

  された地域(一時的な立入りの際には、スクリーニングや線量管理など

  放射線リスクに由来する防護措置を原則不要とする。)

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(平成26年10月1日時点 「避難指示区域の概念図」経済産業省webより抜粋)

現在において「警戒区域」という設定区域はありません。3つの「避難区域」に再編されています。

いずれにおいても住民の宿泊は許されていません。

各自治体と民間企業の努力により放射線モニタリングと除染、そしてインフラの復旧が行なわれ避難区域が縮小されています。

特に旧「緊急時避難準備区域」に設定されていた自治体と旧「避難区域」であった自治体を理解していただきたいと思います。

平成26年1月21日常磐自動車道が富岡町にある富岡IC(居住制限区域)まで開通しました。

平成26年9月15日避難区域を縦断する「国道6号線」が解除され、南相馬市では南(いわき市方面)からの物流が回復に至っています。

現在平成26年11月「避難指示解除準備区域」に指定されている楢葉町にある「竜田(たつた)駅」までJR常磐線が復旧しています。

交通の解除、復旧に伴い「一般の方々」も避難区域となっている双葉郡の状況を伺い知ることが出来ます。

注(帰還困難区域については国道6号線に限ります(車での通行のみ、降車できません))

復興の課題を拾い上げ解決に向けて働きかけるには、現在の状況に至った変遷を知ることが重要と言えます。

例えば現在も避難区域に設定されている地域では「避難の長期化による町民村民へのケア」、「除染の進捗状況」、基本インフラ復旧(水道、電気、道路等)等が課題にあげられ、避難区域が解除された地域では住民帰還に関わる課題(原子力事故により失われた町の機能回復(病院、スーパー、地域産業、農業、等々)、帰還選択による課題(帰還された方々と帰還を考えている方々とのコミュニティ形成の問題)などが上げられます。

皆様が福島県浜通りに実際に訪れた時、今回ご紹介した避難区域が制度上の仕切りであることを実感されます。

それは帰還困難区域の境界以外は物理的に入域防止措置がとられていないからです。

これは現地の復興を早めるための手段でもあります。

そしてそれ故に、多くの車や人が行き交う風景に、避難区域に自分が入域していることすら分からない地域があります。(代表的地域は楢葉町、南相馬市小高地区、浪江町(北東部)、川俣町(東部))

「知る」ことで浮かびあがる課題があり地域差があります。

浜通り地域で生活を送る方々が「復興の遅れ」を訴えるのは「変遷を知っている事」や「地域事情に明るい事」が上げられます。

福島県浜通りの復興に携わる企業や個人の方々、そして中央の政治を動かす方々は、表面化しにくい問題にまで目がいき渡るよう、「知る」ということを「継続」していくことが必要です。

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