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変貌を遂げた労働環境 人材を集められなくなる福島第一原発

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3月11日、震災から丸5年を迎え各メディアが現在の福島第一原発の状況を伝えています。

発電所入口からTVレポーターが防護服や防護マスクをせずに中継する姿は全国へと届けられました。

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「発電所構内法面のフェーシング、土を削りモルタルを吹き付けている」

発電所構内は、汚染水が増える原因となっている地下水の増加を減少させるためフェーシングと呼ばれる施工がなされました。

これは土を削り、モルタルないしアスファルトで表土を覆うものです。

敷地空間放射線量は激減し、また放射性物質を含む粉じんを抑え込むことになりました。

結果、原子炉建屋周辺などを除き、構内9割に及ぶ範囲が防護服、マスク不要となりました。

一言で言えば、労働環境が劇的に改善されたということです。

発電所入口付近でTV中継が行える姿は、一般社会のイメージを超える進展が現場にあったことを伝えます

この状況は過酷な放射線環境の中、働かれた方々にとっては喜ばしい反面、給与的においては厳しいものとなっていくことを表しています。

福島第一原発の仕事は未経験者でも働ける、そして未経験者でも高給与という側面がありました。

これは一重に過度に放射線を浴びる現場環境だったからこそ、放射線を過度に浴びる、もしくは内部被ばくを防ぐための防護措置(全面マスクといった物)が、身体負担となるため危険手当が相当量含まれて成り立っていたものです。
被ばく量に関わらず、放射線を浴びるから多額の危険手当が支払われていたものではありません。

放射線防護措置が不要になるほど改善が進む、それは危険手当が減るということです。これまでと同じ仕事をしても手当が減る訳ですから、給与は本来の水準へと戻っていきます。

原子力産業に馴染みが無い方からすれば、現在の構内線量は高すぎると思うと思います。ですが、原子力業界の常識と一般常識は異なります。放射線作業従事者としての被ばく防護管理がなされます。内部被ばくをする恐れがなくなり、マスクが不要になる。合わせて防護服も不要になれば、放射線外部被ばくを健康影響が考えられない範疇で抑えることで安全を担保します。

現在一か月あたりの積算線量は0.8mSv程度に抑えられています。これは他の原子力発電所で働く際の被ばくと大差ない所まできています。

原発事故後、原子力に対するイメージは一変し、また新規で働く方の割合が増えた福島第一原発では働く方も同様に、福島第一原発で働く=危険というイメージがついています。危険だから高給与を担保せよという声も多いのも事実です。

ですが実情は危険ではなくなりました。危険だからこそ出せていた高給与は今後望めなく、人材確保はお金で持って釣るようなことは今後出来なくなってきます。

危険だからではなく廃炉現場が持つ、社会貢献的意味合いに重きを置き、国家プロジェクトに関わる技術者だから高給与で確保するといった考えが必要になってきます。

それが導入されなければ、危険手当が少ない発注に変わっていくため、意義に対して低給与で働く場所として確立してしまいます。

それは近未来的に確実に訪れる問題です。

廃炉現場はこれからも数千人が働く場所です、いかに働く方を確保していくかは重要な案件になります。

社会が求める廃炉に必要な人材は、一般産業と同じように意義と特別な技術・知識を有しているからこそ、高給与を保障する。それが優秀な人材が集まる基本と言う当たり前のことを、廃炉現場に新しい考えとして導入していく必要があります。

今も廃炉現場で働く方は誤解され、そこで働く人は行先なく、いきついた人達だと思われ続けています。そして実際に廃炉を担うだけの優秀な人材が集まらない、負のスパイラルが続いています。

今必要なことは、廃炉の現場が急速に改善していることを社会が共有し、福島第一原発へのイメージを正すことです。

私達、廃炉を取り巻く社会側の人間達が、廃炉現場の携わる方々に対して抱いているイメージを一新しなければ、廃炉を担う方々の給与面は悪くなる一方であり、思いあり、技術ある方々の福島第一原発離れは止まることはありません。

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