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「鎌倉に子どもの貧困なんてあるんですか?」という話

2015年11月30日 15時35分 JST | 更新 2016年11月29日 19時12分 JST

私が代表を務めるインクルージョンネットかながわでは、先月から"Spaceぷらっと"という「子どもの学習支援+居場所+みんなでご飯」をコンセプトにした新しい事業をスタートさせました。

これは、独立行政法人福祉医療機構さんから「鎌倉・逗子地域における子どもの学習支援事業」ということで助成を受け、鎌倉では当法人事務所で、逗子では不登校・ひきこもりの支援をしてきた地元団体NPO法人遊悠楽舎でそれぞれ実施しております。

鎌倉開催では、私たちが鎌倉市から委託を受けて運営している生活困窮者自立相談支援事業と連動しながら市の担当者さんからも応援してもらって実施をしています。

こんな話をするとよく聞かれるのが、この質問。

「鎌倉に子どもの貧困なんてあるんですか?」

市民の方からも、市外の方からも聞かれます。

鎌倉といえば古都で海も山もあり、文化にも自然にも溢れて、都心から遠くても首都圏住みたい街ランキングに入る人気の街。比較的所得階層が高く、暮らしに困っている方はいらっしゃらないように見えます。

しかし、実際はどうでしょうか?

◯低所得世帯の子どもたちの規模は1500名規模

まず、基本的な統計から見てみましょう。

低所得のひとり親世帯の親御さんが受給できる児童扶養手当の受給者数ですが、平成25年には713名いらっしゃいます。周辺の逗子市、葉山町のデータにしてみるとこんな感じです。

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(元の数値は神奈川県福祉統計です)

平成10年と25年を比べると、鎌倉市で1.57倍、逗子市で2.01倍、葉山町で1.87倍に受給者数が増加しています。

続いて、就学援助を受けられる要保護・準要保護世帯です。

要保護児童数というのは生活保護受給世帯で教育扶助を受給している児童生徒の数、準要保護児童というのは生活保護は受給していないけれどれに準ずる程度に困窮していると市町村教育委員会が認めて就学援助等の扶助を受けている児童生徒数です。

鎌倉市では、平成20年で要保護児童が36名、準要保護児童が1090名居ます。

つまり、生活保護、あるいはそれに準ずる程度に困窮している児童生徒が合計1126名いることになります。就学前の乳幼児や高校生も合わせると困窮状態にある子どもはさらに増えますから、人口約17万人の鎌倉市内で1300人とか、あるいは1500人とか、かなりまとまった規模でいることになります。

なお、準要保護児童生徒数は着実に増加傾向にあり、平成14年と平成20年を比較してみると、鎌倉市で1.48倍、逗子市で2.11倍、葉山町で3.14倍に増加しています。

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◯なぜ子どもの貧困は見えないのか?

1500人程度の規模でいるこの子どもたちはなぜ姿が見えないのでしょうか?

一つは、生活に困っているとはなかなか言えない、そう見られてはいけないような地域の空気があるのではないかと思っています。

私たちの相談室には実際に困窮されている子育て世帯の方がいらしていますが、パッと見ていかにも貧しそう、という方はまずおられません。「可哀想な困窮世帯の人」なんて本人たちはみられたくないでしょうし、そんな風に見えたら就職・就労にも差し障ります。子どもたちもいじめの対象になりかねません。

また子どもに携わる仕事の方によく聞かれるのが、「食事にも困っているのにスマートフォンは持っていたり、何かおかしいのではないか?」と言ったような質問です。でも、現代社会で携帯電話がなければ就職もできないので、生活保護受給者でも就職活動用に携帯電話を持つように福祉事務所から指導される時代です。また、スマホの一つもなければ、友人との関係を維持するのも難しく孤立してしまいます。今や仕事や人間関係を維持するにはスマートフォン位持っていなければならないのです。

こう考えてみると、社会の中で周りから違和感を持たれずに人間関係を維持して生活していくには外見やコミュニケーションツールから整えなければならず、そのために食費をも削らなければならないと言う方が実情にあっているのではないかと思います。

◯どうやって困窮世帯の子どもたちに支援を届けていくのか?

このように姿が見えない以上、困窮世帯の子どもたちに支援を届けていこうと思っても、難しくなります。

例えば、今年度からスタートした生活困窮者自立支援制度で、自治体によっては子どもの学習支援が行われています。たくさんの子どもたちが来ている自治体もありますが、少なからぬ自治体で子どもたちが来ない、という悩みを抱えているようです。

この場に来るためにはかなりのハードルが存在するのではないかと思われます。

まずは、この支援を必要としている子どもが誰なのかが周りの大人から見て見えにくいこと、

さらに、支援を必要としている子どもたちを学習支援につなげる仲介になる人が要りそうだ、

ということです。

支援のメニューを用意しても、なかなかそこにつなげていくことは簡単ではなさそうです。

冒頭で紹介したSpaceぷらっとでは、その場に繋いでくれるのは、民生委員さんや学校の先生などですが、まだまだそれほど参加者が来ていないのが現状です。

まずは、地域の中で「困ってるよ」というSOSが出やすく、それをキャッチしやすい地域をどう作っていくのか、ということも大事かな、と思っているところです。

※鎌倉でSOSを出しやすい街を作るにはどうしたらいいのか、そんなことを考えるシンポジウムを開催します。鎌倉の方はもちろん、うちの地域でも子どもの貧困って見えにくいよね、という方はぜひお越しください。

日時:2015年12月12日(土)14:00-16:30

第1部 子ども若者の貧困とインクルージョンネットかながわの取り組み報告

    報告者:一般社団法人インクルージョンネットかながわ代表理事 鈴木晶子

第2部 パネルディスカッション:

子ども若者と共に暮らす地域づくり〜SOSの出しやすい街を目指して

パネラー:滝田衛(七里ヶ丘子ども若者支援研究所)

     早川仁美(地域のお茶の間研究所さろんどて代表)

     明石紀久男(インクル相談室鎌倉主任相談員/NPO法人遊悠楽舎代表)

コーディネーター:秋山美紀(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス准教授)

会場:鎌倉市立御成小学校体育館

後援:鎌倉市

お申し込みはフェイスブックで参加を表明いただくか、

下記までお名前、ご所属、ご連絡先を添えてご連絡ください。

申込先:一般社団法人インクルージョンネットかながわ

   電話: 0467-46-2119

   FAX:0467-47-9290

   メール: incl@inclusion-net.jp

Facebookイベントページ https://www.facebook.com/events/1653466548256200/

※本シンポジウムは、独立行政法人福祉医療機構助成事業の一環です。