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話題の海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」~作中の残虐な暴力は現実世界でも起きている~

2015年07月01日 23時57分 JST | 更新 2016年06月28日 18時12分 JST

海外ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」は、世界170カ国で放送され、今年8月、日本でもいよいよ第5章が始まる。中世ヨーロッパを彷彿とさせる架空の王国を舞台に7つの名家が熾烈な覇権争いを繰り広げるドラマで、生々しい暴力シーンが各国で物議を醸している。しかし、ドラマの中の残虐行為は、昔の話でも架空の出来事でもない。今も実際に行われていることを、みなさんはご存じだろうか。

【共通点:その1】 命が軽視されている。

物語は、領主エダード・スタークが、脱走兵を処刑し命を奪うシーンから始まる。ドラマの中で安全が保障された人物は一人もいない。エダードも後に独裁王によって斬首されてしまう。

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処刑の心構えをするエダード・スターク ©HBO/Sky Atlantic

処刑は、現実にも行われている。その方法はさまざまで、致死薬の投与、絞首、銃殺から斬首もある。2014年、世界の死刑執行数は減ったものの、死刑判決は3割近くも増えた。内紛で治安が悪化しているナイジェリアとエジプトで大量判決が出たためだ。

【共通点:その2】 尊厳が守られていない。

ドラマの中の拷問シーンは、事実に基づいて制作されたのではないかと思うほど、リアルに描かれている。第2章では登場人物シオン・グレイジョイが拷問されるが、このシーンを見て身震いをしなかった人はいないだろう。

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生きたまま捕虜の皮を剥ぐ拷問を伝統とするボルトン家 ©HBO/Sky Atlantic

過去5年、国家機関による拷問や虐待が確認された国は141カ国にのぼる。実際に、シオンが受けた爪はぎはナイジェリアで、模擬処刑はメキシコで、裸にして性器をくくりつけた糸で引っ張るという行為はフィリピンでも行われている。

【共通点:その3】 女性や少女が性暴力にさらされている。

ゲーム・オブ・スローンズがとりわけ批判を受けたのは、女性への性暴力が頻繁に出てくることだ。ドラマでは、主役の女性たちが、無理やり結婚させられたり、性奴隷として売られたり、強かんされたりする。

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暴君王と結婚させられるスターク家の娘・サンサ ©HBO/Sky Atlantic

現実世界でも、女性や少女の権利が守られているとは言い難い。近年、激化する紛争下で多くの人がさまざまな性暴力にさらされている。

「13歳のときでした。ある男に結婚させられそうになって、家を出ました。でも、家族が差し向けた追っ手に捕まり、その男がいる部屋に足と腕を縛られ監禁されました。男はいきなり私に殴りかかってきました」

――ソマリアの少女の証言(ソマリアでは、障がいをもつ女性や少女たちが年の離れた男性や暴力を振う男性と結婚させられている。)

被害は紛争地にとどまらない。

例えば、年端もいかない少女が結婚を強要されるケースは世界中で見られる。正確な被害規模は明らかではないが、18歳以下で結婚している女性の数は約7億人とされている。中には、法律で性暴力を助長させている国さえある。アルジェリアやチュニジアでは、被害者が18歳以下の場合、その者と結婚をすれば、男は強かんの罪を免れることができるのだ。

【共通点:その4】 監視され、プライバシーが守られていない。

王都キングス・ランディングで、スパイの監視を逃れることはできない。ドラマでは、覇権争いを操ろうとする策略家たちが、諜報員を使って情報をかき集めている。

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スパイ元締めの一人・リトルフィンガー ©HBO/Sky Atlantic

現実の情報機関が活用するのは諜報員だけではない。オンラインやモバイル上のコミュニケーションを監視するシステムもある。イギリスの情報機関GCHQが利用しているドリーミースマーフもその1つだ。このデバイスは電源が切れている携帯を起動させ、盗聴器として使うことができる。

【共通点:その5】 市民が紛争下で狙われる。

ゲーム・オブ・スローンズでは、戦場で殺傷能力の高い爆発物が使用され一般市民が命を落としたり、子どもが拉致されて兵士に仕立て上げられたりする。

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子ども兵士で構成される軍の隊長 ©HBO/Sky Atlantic

2014年は、紛争下で武器を持たない市民にとって、悲惨な年であった。子ども兵士の徴用、国際法で禁止されている兵器の使用など、少なくとも18カ国が戦時国際法に違反し、多大な犠牲を出した。紛争が続くシリアでは、今年3月にも政府軍が有毒な塩素ガスを使用し、一家全員が殺害されている。うち3人は幼い子どもであった。

現実世界で行われている人権侵害を、何としても止めなければいけない。

(アムネスティ・インターナショナル日本)

★★★ 7月4日(土) トークイベント開催! ★★★

フィリピンでは、一般市民が警察や軍に違法に逮捕、拷問される事件が頻発しています。時には命を奪われることも。残された家族は支え合い、正義を実現するために闘い続けています。当日は現地で活動してきたジャーナリスト・工藤律子さんをお招きし、被害者「家族」をテーマにお話しいただきます。現実の人権侵害を解決する第一歩は、まず1人ひとりが問題に関心をもち、事実を知ることです。是非、足を運んでください! フィリピンの〝おふくろの味″もご用意しています。

▽ 聞いて、食べて、考える♪人権のこと 『家族を取り戻したい』~闘うフィリピンのお母さんたち~

■ 日時:2015年7月4日(土)14:00~17:00

■ 場所:アムネスティ日本 東京事務所(東京都千代田区神田小川町2-12-14)

■ お申し込み・詳細はこちら

http://www.amnesty.or.jp/get-involved/event/2015/0704_5365.html

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