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97日間の拷問の末に・・・ イランの少年死刑囚の実態

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17歳の少年が、犯してもいない罪で逮捕された。2メートル×0.5メートルの小さな監房に閉じ込められ、尋問という名の拷問を受けた。目隠しされて、手と足を縛られた上に何時間も吊るされた。全身を殴られ体中が青黒い痣だらけになり、まともに歩くこともできなくなった。数日間だけの話ではない。自白するまで97日もの間、この拷問は続いた。

「取調官は、父や母、兄弟も逮捕するぞと繰り返し言ってきました。私のことをその場で殺すとも。夜寝ようとしても、ドアをずっと叩いて、いろんな物を使って騒がしい音を立てて寝させてくれませんでした。私は狂気と正気を行き来していました。」

目隠ししたまま見てもいない供述書に拇印を押したところで、やっと拷問から開放された。これは、つい数年前にイランで起きた事件である。

2011年7月17日、西アーザルバーイジャーン州で、イランのイスラム革命防衛隊と、敵対グループであるクルドのクルディスタン自由生活党(ぺジャーク・PJAK)との銃撃戦が起きた。その直後に、当時17歳のサマン・ナシームは逮捕された。

反政府活動を行い革命防衛隊のメンバーを死亡させたとして、神への敵意と地球を堕落させた罪で起訴された。そして、2012年1月、裁判所はサマンに死刑判決を下した。

サマンは逮捕後、情報省の収容施設へ送られ、家族や弁護人とも会うこともできなかった。家族は逮捕について知らされず、初めて知ったのはテレビで息子が自白させられている姿だった。

裁判では、サマンは自白を撤回し、自白は拷問によるもので、証拠能力がないと主張した。だが主張は退けられ、それどころか裁判長までもがサマンを脅した。圧力をかけ、弁護人はいなくなってしまった。

2012年8月、最高裁は未成年者の犯罪であることを理由に死刑判決を覆し、ケースを高裁へ差し戻した。しかし、2013年4月に高裁は死刑判決を下し、ついに最高裁は2013年12月にこの死刑判決を維持した。サマンの死刑執行は2015年2月19日に予定されていたが、国際社会からの圧力もあり、延期されている。

彼だけではない。イランでは、取調べにおいて拷問が日常的になされている。刑務所の状況はひどいものだ。

ハサン・レザイーは、16歳で殺人の罪で逮捕され、起訴された。殺人を自白したとされているが、この自白は拷問と虐待によって引き出されたものだった。警察は自白させるために怒鳴り、棒で殴り、ベッドに縛り付けたうえに鞭やパイプでも殴りつけたという。自白するまでの2カ月間、家族や弁護人と面会することは許されなかった。しかし裁判所はこの自白のみで死刑判決を下した。

サマンやハサンのような子は他に何人もいる。当時17歳のハミド・アフマディ、モハメド・ファダイも、同じように殺人の罪で逮捕、拷問により自白し再審請求中である。アムネスティが把握しているだけで、犯行時未成年の死刑囚は49人にもなる。

少年犯罪には、その育成環境が大きく影響している。少年を取り巻く社会的環境が厳しければ、犯罪に走る者もいる。しかし、更生する可能性は残されており将来の可能性が開かれている。

イランでは、子どもの発達や育った環境の影響に関する理解が、裁く側に十分ないまま、慎重に決断すべきである死刑判決を次々に下している。特に、裁判で重要な要素となる責任能力の有無の判断は不十分な理解で行われている。

罪を犯した当時に心神喪失状態であれば責任能力が問われないが、イランではこの責任能力を、精神的な成熟度としばしば混同している。裁判で、「人を殺すことは悪いと知っているか」といった簡単な質問をして、少年が知っていると答えただけで、裁判官は成熟していると判断したケースもあった。

未成年者に対して死刑を科すことは、イランも批准している国際人権条約の自由権規約や子どもの権利条約に反する。2013年イスラム刑法の91条は、未成年者が犯行時に未成熟であれば死刑に代わる刑を科すよう定めている。

イランは、ただちに未成年者への死刑を止めるべきである。

(アムネスティ・インターナショナル日本)

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アムネスティ日本では、子どもの権利条約で禁止されている未成年者への死刑をやめるように、イラン司法省に求める署名を行っています。ぜひ、この署名にご協力ください。

▽ 署名:未成年者への死刑をやめるようイラン政府へ要請してください!
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/iran_201602.html

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