Huffpost Japan
ブログ

ハフポストの言論空間を作るブロガーより、新しい視点とリアルタイムの分析をお届けします

アムネスティ日本 Headshot

トルコを覆い尽くす粛清の嵐―軍事クーデター未遂と非常事態宣言

投稿日: 更新:
印刷

トルコで7月15日に起きた軍によるクーデター未遂事件。

クーデターは未遂に終わったが、265人余りが犠牲となった。そして、直後から始まったエルドアン政権による大規模な粛清が拡大している。

アムネスティが現地に派遣した調査員らは、クーデターに関与したとして拘束された人たちが激しい拷問を受けているという信頼できる情報を入手した。中には拘束中に強かんされたという報告もある。

■ 6万人以上が粛清

未遂事件が起きた翌週20日の夜、エルドアン大統領は少なくとも3カ月間の非常事態を宣言、翌日には欧州人権条約で保障されている権利を制限すると表明した。さらに、クーデターの試みに関与した者への処罰として死刑復活の可能性に言及している。

未遂事件から2週間も経たないうちに、兵士や民間人ら1万人以上が拘束され、公務員、裁判官、警察、研究者や教員ら6万人以上が解雇や停職などの処分を受けた。

23日に、政府は非常事態宣言下での最初の指令を出し、起訴なしで身柄を拘束できる期間を平時の4日間から30日と大幅に延長した。さらにテレビ、ラジオ局も放送免許を取り消され、ジャーナリストも標的にされている。

■ 拷問と性的虐待

アムネスティはクーデター未遂事件の直後から調査団をトルコに送り、複数の弁護士や医者、拘禁場所で働いている個人から、逮捕された人たちの状況を聞いた。

こうした聞き取りから、多くの人がスポーツセンターの中など非公式の場所で拘束されていることが判明した。例えば、少なくとも3人の裁判官は、裁判所の廊下で拘束され続けているようだ。

逮捕された人たちが緊張を伴う姿勢を長時間強制されたり、食事や水を数日にわたって与えられなかったり、殴るなどの暴力や性的虐待を受けたりしている、という情報も、複数確認された。

アンカラ警察本部のスポーツセンターで働いているある証言者は、逮捕された人がひどい傷を負っているにもかかわらず殴られ続け、ついには気を失った様子を目撃したと語った。その場にいた医者は拷問を止めて治療するどころか、「死なせてやれ。我々のところに来たときにはもう死んでいたと言えばいいさ」と話していたという。

この証言者によれば、650~800人ほどの男性兵士がこのスポーツセンターに収容されているが、数百人が拷問によって負傷しているのが見てとれたという。ランクが高い将校ほど、ひどい扱いを受けているようだ。

■ 外部との接触を断たれる

アムネスティ調査員はアンカラとイスタンブールで、クーデター未遂事件で拘束された人たちの弁護士10人以上に、依頼人の幽閉状況について話を聞いた。依頼人の多くは軍の下士官だが、中には裁判官や検察官、警察官、公務員もいる。いずれにせよ、依頼人が置かれた状況はほぼ同じだった。

ほとんどが容疑も告げられないまま4日以上拘束され、その間は外部との接触を完全に断たれていた。弁護士と会うことが許されたのは、裁判所への移送または検察での取り調べの直前だった。

アンカラで拘束された高級将校の親戚によれば、当初、家族は将校と携帯電話で連絡が取れていたが、携帯が押収され、7月16日を最後に連絡が取れなくなったという。

現在はどこで拘束されているのか、どういう状態なのかがまったく分からず、当局に何度問い合わせても情報を得られないという。このような状況は、国際法上の犯罪である「強制失踪」と言える。

弁護士らはまた、異口同音に、依頼人が何の容疑で拘束されたのかまったく情報がないため、弁護を準備することが非常に難しいと話してくれた。

--------------------------------

以上は短期間でアムネスティが得た証言のほんの一例だ。エルドアン大統領はクーデターが未遂に終わったことを「民主主義の勝利」と主張しているが、この間に政府が進めている粛清は明らかに法の支配と人権を危機に晒している。

非常事態下であることを理由に、政府が基本的人権を何でも制限できるわけではない。エルドアン大統領がやるべきことは、まずは事件によって殺された人たちの状況を調べ、加害者を特定し、適正な手続きに基づいて公正な裁判にかけることである。

とりわけ拷問は、国際法上、絶対的に禁止されている。アムネスティは現在、欧州拷問等防止委員会(CPT)が緊急にトルコを訪問し、今回のクーデター未遂事件に関与したとして拘束された人たちの拘禁状況を監視するよう求めている。

CPTは独立した機関として、特定な目的で拘禁施設を訪問できる権限を持っている。トルコは欧州評議会(EC)のメンバー国として、CPTからの要請があれば協力しなければならない。

(アムネスティ・インターナショナル日本)

**************************************************************

▽ アムネスティ・インターナショナル日本 公式WEBサイト
http://www.amnesty.or.jp/

▽ アムネスティ・インターナショナル 公式Facebook
https://www.facebook.com/amnesty.japan

▽ アムネスティの資料を請求する
※人権に関するさまざまな話題を取り上げた情報誌をお届けします。
https://www.amnesty.or.jp/request/

▽メールマガジンを読む(毎週木曜日・無料配信)
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/stay-informed/mail_form.html

**************************************************************