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捕鯨論争に巻き込まれた小さな漁師町の実像 映画「おクジラさま」9月公開

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世界的な捕鯨論争に巻き込まれた小さな漁師町を描いたドキュメンタリー映画が9月、東京・渋谷のユーロスペースで公開される。タイトルは「おクジラさま ふたつの正義の物語」。アート作品のコレクター夫妻を描いた映画でロングランを記録した佐々木芽生監督が、クラウドファンディングで資金を調達するなどしながら、6年の歳月をかけて完成させた。

舞台は、紀伊半島南端に近い和歌山県太地町。小さな漁師町だったが、2009年に伝統的な「追い込み漁」の様子を批判的に描いたアメリカの映画「ザ・コーブ」が公開され、翌2010年にアカデミー賞を受賞するという流れの中で議論が沸騰し、反捕鯨運動の活動家たちから集中的な非難を浴びるようになる。佐々木監督はその渦中の2010年秋から取材を開始。「捕鯨を守りたい日本人vs.それを許さない外国人」という単純な図式ではなく、多種多様な意見をとらえながら、自分と相いれない他者との共存は可能なのかを探る。

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400年前から捕鯨を営んできた太地町(写真左)。日の出とともに出港するイルカ漁の船団(写真右、いずれもA-portのサイトより)

2015年、制作費の一部を賄うために朝日新聞社のクラウドファンディングサイトA-portで支援を募集。賛否両論あるテーマだけに大きな話題となり、朝日新聞や産経新聞をはじめ、各種メディアに取り上げられた。目標額は1500万円だったが、最終的には1824人から計2325万円が集まった(クラウドファンディング実施時のプロジェクトページはこちら。支援期間は終了)。映画は2016年秋に完成。

海外では「A WHALE OF A TALE」のタイトルで既に上映されており、釜山国際映画祭コンペティション部門にも正式招待されたという。

佐々木監督は「問題は、捕鯨やイルカ漁に賛成か、反対かではないのです。なぜ動物を巡って私達は対立し、憎み合うのか。今世界で起きていること、みなさんの人生に起きていること、どうすれば私たちは分かり合えるのか。そのヒントをこの映画から見つけて貰えれば嬉しい」とコメントしている。

日本ではユーロスペースを皮切りに、2017年9月から全国で順次公開される予定。現代美術家の山口晃さんが書き下ろしたポスタービジュアルの下絵なども発表された。公開時期にあわせ、書籍版の「おクジラさま」を刊行する準備も進んでいるという。映画の公式サイトは http://okujirasama.com/

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(C)「おクジラさま」プロジェクトチーム