金沢のシャッター街に新名所を作ろう! アート+食のカフェ、地元学生が運営

アートの名所として知られる金沢21世紀美術館の近くに、幻想的なデジタルアートを楽しみながら、金沢の食文化や地ビールなどを味わえるお店がある。

アートの名所として知られる金沢21世紀美術館の近くに、幻想的なデジタルアートを楽しみながら、金沢の食文化や地ビールなどを味わえるお店がある。金沢工業大学の学生たちが運営する「DK art café」。

地方創生をテーマとする授業の一環として、昨年から実験的に始めた店舗だ。学生たちは今、「新しい金沢の名所にしたい」と営業を本格化させるため、朝日新聞社のクラウドファンディングサイトA-portで支援を募っている。

「DK art café」があるのは、金沢市の竪町商店街の一角。21世紀美術館から歩いて数分のところだ。

店内に入ると、プロジェクターから白い壁に映し出された「デジタル掛け軸」(DK)と呼ばれる映像が、万華鏡のように刻々と変化していく。約100万種類の映像があり、ゆっくりと変化していくため、同じ映像を見るには約10年かかるという。

映像を手がけたのは、石川県在住の長谷川章氏。ギリシャのパルテノン神殿やスウェーデンのノーベル賞授賞式会場、伊勢神宮や東京都庁など、国内外でデジタル掛け軸のライブを開催してきたアーティストだ。インスタグラムなどSNSを通じて存在を知り、海外から訪れる観光客もいる。

長谷川章氏の作品(DK art café提供)

開店は2016年5月。地方創生を研究テーマとする松林賢司教授の研究室の学生らが、竪町商店街を盛り上げようと実験的にスタートした。竪町商店街は平成初期と比較すると、通行量が半分近くに落ち込んでいるといい、商店街側の思惑とも一致した。店舗のデザイン、店を知ってもらうためのプロモーションなどの運営は、現在36人の学生で分担している。

メニューは地元の企業に協力してもらいながら開発。加賀野菜を使ったジェラート、石川県でよく食べられている「とり野菜みそ」を使ったオリジナルのカレー、伝統食の「かぶら寿司」、地ビール、地酒など、地元の味を豊富に取り揃えている。

DK art caféのメニュー

プロモーションやお店のサイトのシステムを担当している澤田翔吾さん(18)=環境・建築学部建築デザイン学科1年=は高校生のころから町おこしに関心があり、住んでいた福井県越前市の商店街がシャッター街になってしまっているのをどうにかしたいと考えていた。

大学でも自分のやりたいことがやれるとDK art caféに参加。

「自分が管理しているインスタを見てきたという人がいると、直接影響していることがやれていてうれしい。買い物帰りの人がカフェに寄ったり、カフェに来た人が商店街で買い物をするようになってほしい」

吉田颯季さん(20)=建築デザイン学科2年=は店舗のデザインを担当。「最初は友達に誘われて、何もわからないところに引き連れてこられました(笑) でも、場所が与えられて、実際に自分たちの手で空間をつくりあげていくのは、すごくやりがいがある」と話す。

(写真左)店の入り口付近。金沢工業大の学生らが考案したF.B.S.(Flexible Boarding System、平板構造システム)で棚が組み立てられている(写真右)店内の壁に映し出されたデジタル掛け軸

店では存在を知ってもらうため、地元のシンガーソングライターのライブ、ゲームの「人狼」、羽咋市の猟師によるイノシシ鍋など様々なイベントを企画している。月3回程度の開催を続けるうちに常連客も増え、イベントで店を使いたいという依頼や県外からアートを勉強している学生らも来るようになってきたという。

プロジェクトリーダーを務める山田陽樹さん(21)=情報フロンティア学部経営情報学科4年=は「商店街を盛り上げる交流の場であるとともに、観光客が予定を立てるときに、『1度行ってみたい』と思うような金沢の名所にしたい。クラウドファンディングで集めた資金で、本格的な営業につなげていきたい」と意気込む。

今回のクラウドファンディングでは、まず1年間の営業継続を目指すため、デジタル設備の買い取り費用、店を知ってもらうためのイベント開催費・宣伝広告費などを集めることを計画している。詳細は、https://a-port.asahi.com/projects/dkartcafe/

運営スタッフを務める金沢工業大の学生たち。左から澤田翔吾さん、鷲見祥麻さん、山田陽樹さん

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