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音楽の喜びを世界の子どもたちへ 若きオーケストラの伝道師たちの挑戦に力を-

2015年09月12日 19時57分 JST | 更新 2016年09月08日 18時12分 JST

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私たちは、あたりまえのように学校で音楽教育を受けてきた。パートに分かれて合唱したり、ピアニカやリコーダーなどの楽器を演奏したり、習い事や部活で本格的に楽器演奏を学んだり......。歌声や楽器の音色を、誰かと合わせることの代えがたい喜びを、私たちは当然のように知っている。

子どもたちに音楽との出会いを

しかし、世界には音楽教育を受けられない子どもがたくさんいる。楽譜を読むどころか、楽器に触れたことすらない子どももいる。そんな子どもたちに音楽の楽しさを伝えたいと、奮闘する若者たちを紹介したい。途上国の子どもたちにオーケストラの生演奏を伝えるため、楽器を手に集まった「ワールドシップオーケストラ」。キャプテンの野口彰英さん(26)とその仲間たちだ。

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出会ったその日に音合わせ

8月のある休日。午後、都内のスタジオに、10~30代の若者たち約20人が集まった。バイオリンやチェロ、フルート、サックス......。学生時代、吹奏楽部などで楽器の演奏を経験したことがある人がほとんどで、自前の楽器を持参している。学生もいれば社会人もいる。

9月8~14日、フィリピンに赴くメンバーだ。現地では歴史あるプロオーケストラ「マニラ交響楽団」や現地の合唱団、オーケストラの子どもたちと一緒にステージをつくりあげる。合唱で参加するメンバーも数人いる。フェイスブックなどを通じてワールドシップの趣旨に共感し、手を上げた。毎回、参加できるメンバーが違うため、演奏できる楽器に合わせて、現地の子どもたちと盛り上がれそうな曲を選ぶという。

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この日が初めての音合わせ。パートごとの練習を経て、音を合わせた。スターウォーズのテーマなどのジョン・ウイリアムズの映画音楽を演奏。20人の小所帯だが、フレッシュで熱のこもった演奏で、スタジオ中が大きなハーモニーに包まれた。「子どもたちに直に訴える、インパクトを残せる演奏ができそうな予感がします」と野口さん。

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参加者のフィリピンへの旅費は基本的に自己負担。それでも多くの若者が野口さんの思いに共感し、参加する。誰かと音楽を演奏することの楽しさを知っているからだ。音を合わせる喜びを味わってきたからこそ、いまだその喜びを知らない子どもたちに伝えたい――。演奏からは、そんな思いが伝わる。

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合唱で参加する予定のフリーカメラマン・成田麻珠(あさみ)さん(23)は、「所属する合唱団に誘いがあり、今回初めて参加しました。同世代の若者が行っている活動なので、すごく刺激になります。言葉は通じなくても音楽は世界共通。教えてあげるというより、まずは自分たちから楽しむことが大事だと思っています」と語る。

エル・システマとの出会い

野口さんは夢や目標を見失い、高校を中退。無気力に過ごしていたある日、テレビで南米ベネズエラの教育プログラム「エル・システマ」のことを知った。子どもたちに楽器を無償で貸し、音楽を通じて社会性を身につけさせることで、貧困にあえぐ子どもたちを犯罪や薬物などから救うシステムで、実際に成果が出ているほか、優れた音楽家も輩出している。

野口さんにとって、エル・システマの存在は衝撃だった。「こんな活動ができたらいいな」と、人生の目標になった。

大検を受けて大学に進学し、1カ月間フィリピンに留学。音楽教育の機会がない子どもたちのためにできることはないかと学生団体を立ち上げ、日本で集めたリコーダーやピアニカを現地に寄贈。その後、楽器だけではなく、指導者やカリキュラムが必要と気づき、大学3年の頃、再びフィリピンへ。1年間フィリピン大学に留学し、放課後や週末、子どもたちに楽器を教える活動に取り組んだ。

その手のナイフを楽器に

野口さんがフィリピンで音楽を教えていた時、ナイフをズボンに忍ばせて教室に入ってきた男の子がいたという。部活動も習い事もない子どもたちが暴力や犯罪に走る前に、その手にナイフではなく、楽器を持たせてあげたい――。野口さんはそう考えている。

野口さんは大学卒業前、オーケストラの言葉の意味すらわからないフィリピンの子どもたちにオーケストラを聴かせようと、大学卒業前にオーケストラを結成。3年間で5回の演奏ツアーを主宰した。そして昨秋、NPO法人「ワールドシップ」を立ち上げた。

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クラウドファンディング挑戦中

ワールドシップオーケストラは、取り組みを日本国内に広く伝えるため、ツアーを国内3都市で行い、その様子を記録したドキュメンタリー映像(プロモーションビデオ)をつくるため、クラウドファンディングで資金を集めている。目標125万円で、残り約10日と調達期限が迫る。「私達の取り組みを目で、耳で、心で感じてもらいたい。応援をお願いします」と野口さんは話す。

東京・名古屋・宝塚での演奏会にご招待、小学生以下は無料!

ツアーは10/24(土)東京、10/3(土)名古屋、9/20(日)宝塚の3都市で演奏会を開き、それぞれ観客参加型の内容にする予定。「クラシックは静粛に聴くもの」。そんな常識を覆す、参加型の仕掛けが魅力だ。大人同伴の小学生以下の子どもは無料で参加できる。

3千円以上の支援者は、希望した都市の演奏会に招待されるほか、金額に応じて、「演奏中に打楽器の大事な1発を叩く権利」や「プロモーションビデオの完成披露パーティーにご招待」、「あなたのリクエスト曲を演奏します」といった魅力的なリターンを用意している。「ワールドシップオーケストラを指揮できる」、「演奏会中、プロポーズなど大切な人のためのサプライズができる」といったプレミアムな特典もある。

あなたも彼らの活動を応援し、ともに音楽の喜びを感じてみませんか。詳しくはクラウドファンディングサイト「A-port」へ。