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「病院がプラネタリウム」で生きる力を 星空見上げ、宇宙を思う

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■無数の星屑に命の活力


入院生活が長い患者にも空に輝く星を見せたい。

今はベッドから目に入るのは天井ばかりでも、見上げれば宇宙につながる星空が頭上にあると気づかされる。

命をみつめるとき、宇宙にも気持ちを向けることがいい。それが患者の生きる力の源になるという。

空気を入れて膨らませたドーム型のテント。患者や医師10数人が入る小さな空間に、星空がプロジェクターで映し出されると、「うわぁ」と声が一斉にあがった。映し出された無数の星屑は、永久(とわ)の広がりをみせる。

2015年12月末、埼玉県立循環器・呼吸器病センターで催された1セッション20分の「即席プラネタリウム」。全5セッションで約50人が次々に訪れた。

映像を制御するパソコンの前に、主催の「星空工房アルリシャ」代表、高橋真理子さん=写真=がいた。

高橋さんは、北海道大学理学部や名古屋大学院宇宙理学専攻でオーロラの研究をしてきた。現在、日本大学芸術学部など大学の非常勤講師もしている。星空や宇宙を見上げると、心にわいてくるあたたかい気持ちを思い出させたいと「宙先案内人」を名乗る。

一千億個の星と一千億個の銀河の果てしない世界。「その中のたった一つが私たちの太陽です」。

今、目の中に飛び込んでくる星の光は、3万年前の光だという。「この時空の中で、今こうしてここにいるのは奇跡なのです」と高橋さんは静かに観客に語りかける。

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■命を扱う病院と星は実は近い


観客からさまざまな声が漏れる。

「広い宇宙空間の中で、私たちのいる場所を教えてくれる。自分自身の中に入ってくる時間が感じられ、自分を見つめ直す機会になる」
「人を見る視線が多角的になった」

患者の堀越茂男さん(63)は「何万光年と聞いてもピンとこない広すぎて大きすぎる世界だけれど、病院から離れた別世界をみた感じでした」と笑顔で話した。

看護師の柳洋子さん(46)は「星を見ようという意識で空を見上げたことはなかった。命を扱う病院と星が実は近いということがわかりました」。

副病院長の柳沢勉さん(57)は「生きていくのは大変なことだが、我々は大きな自然に抱かれていることを感じさせられた。日常のこまごまとしたのにとらわれず、大きな宇宙の中で広い気持ちになりました」。

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■星をみることは生命をみること


このプラネタリウムの話を聞きつけ、東京から2時間あまりのところに位置する同病院にかけつけた著名人もいる。
NY在住のミュージシャンの矢野顕子さんだ。天体や宇宙に造詣が深い。特に木星が好きだという。

矢野さんは「宇宙を見上げるというのは、生きる歓びを確認し、培うもの。それは自分が生きていることの感謝につながっている」と話す。

「宇宙というのは遠いものではない。太陽が出て日がくれ、月がのぼり、水が循環する。その中で会社に通ったりする自分がいて。自分が生きていることにつながっている」

元看護師の女性は「星を見ることは生命を見ることと同じ」と感じたという。「高橋さんのプラネタリウムは、次元を超えて過去と未来を行き来する。広い宇宙空間の中で今自分がここにいることに感謝する気持ちになる」と話していた。

■星空を見上げる記憶は人間の根源


高橋さんは「古代から人は星を見上げてきた。

星空を見上げた記憶は心の中に自然とよみがえるようなのです。だから『わっ』という声があがる。星を見上げることは人間の根源的な問いだと思う」と話している。

高橋さんの移動プラネタリウムのプロジェクト「移動式プラネタリウムで、全国各地の入院中の子どもたちに"星空"を届けたい!」は現在クラウドファンディングA-portで支援を集めている。支援受付はあと十数日だ。

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 朝日新聞の記事 http://www.asahi.com/articles/ASHDQ4PXTHDQUZOB00D.html
 

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