象の絶滅危機訴える「うんこペーパー」、元動物園職員がフン闘

「まずは象牙を消費するアジア国の一員として、知ってもらいたいんです。象が象牙のために殺されている現実を」

中村亜矢子さん

キャベツくらいの大きさの象の一個のうんこを動物園からもらっては喜ぶ。宇都宮動物園の飼育職員だった中村亜矢子さん(32)は、象が象牙のために殺されている現状を食い止めるために、象のうんこに含まれる草をすいて紙を作って象の現状を知ってもらう活動をしている。

「まずは象牙を消費するアジア国の一員として、知ってもらいたいんです。象が象牙のために殺されている現実を」と話す。

もともと好きだった動物はオオカミ。小学校の時から動物園で働きたくて、オオカミのいる動物園を探し就職口を決めた。ある時、集客のためにと、動物園の上司のすすめで象のフンで紙をすく技術を学ぶことになった。象が絶滅の危機にあることは頭の隅にあったが、紙作り以外に自分が取り組めることがあるとは思えなかった。

そんな時、象の頭がえぐられて死んでいる写真を見る。むごい殺され方をしている状況を見て、いてもたってもいられなくなったという。「これを知らせないで、フンの紙の活動をしているのはおかしいなと思った」。

動物園で学んだ象のフンで紙をすく技術を使って、「まだ象の密猟あるの」「象牙って抜け落ちるんじゃないの」という言葉が漏れる日本人の常識に訴えかけていくことにした。

象のフンを何度も水で洗い、草を取り出す。干すと草のいいにおいだ。自然界では、このフンが植物を育てる苗床となり、森を豊かにする。

日本よりも象のことについて知らないし見たこともない人が現地には多い。「そんな現地の人にも生きている象の価値を知ってもらいたい」と語る。

「象のうんこペーパーはふざけているようだけど、象の現実を知ってもらうためだけのツールにしかすぎません」と中村さんは訴える。

中村さんがA-portで「アフリカゾウの"ウンコ"で紙を作り、芸術に活用! 密猟から象を救いたい!!」というプロジェクトで現状を知ってもらうために、アフリカに渡航しウンコの紙を制作する資金を集めている。

特典例 8千円で象のUNKO PAPERポストカード 9月30日まで

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