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「不法投棄なんとかしたい」通算1000台の自転車を引き上げた寺の住職

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サルベージ......。辞書を開くと「海難救助」「沈没した船を引き上げる作業」とある。埼玉県草加市にあるFSCサルベージ協会は、川に捨てられた自転車を引き上げる活動を行う環境ボランティア団体だ。会長を務めるのは草加市で浄土真宗の寺を営む住職の七里順量さん(52歳)。

なぜ、サルベージという名前にしたのだろう。七里さんは「吊り上げるものは小さくても気持ちは大きく」と命名の由来を教えてくれた。

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自転車引き上げ用のフックを手にする七里さん。

七里さんは長崎県のお寺の長男として生まれ、家業を継ぐため仏教系の学校に進む。若い頃から独立心、開拓精神にあふれ、一時はブラジルでの開教活動にも興味を持ったほど。実家のお寺は弟さんが後を継ぎ、33歳で上京。人口が増える都市圏にお寺が増えない現状を打開しようと、都市部にお寺を増やす都市開教事業を用いて草加の地に居を構えた。

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川の中から不法投棄された自転車を引き上げる学生たち。

行政とのタイアップ、地域住民や学生など活動の輪は確実に広がっている

町を歩くと汚れた川が目に付いた。自宅前を流れる伝右川には無数の捨てられた自転車があり「何とかしなくては」。これがサルベージ活動を始めたきっかけだ。当時在籍していた青年会議所の社会開発委員会で川の浄化活動を提案し着手。約1年をかけて市役所との折衝を続け、2001年より市と協働で河川での自転車引き上げサルベージ活動がスタートした。より本格的な活動にしようと、2003年にサルベージ協会を設立した。

作業はロープの先につけた鉄製のフックを自転車に引っかけ人力で引き上げるという、いたってシンプルなものだ。作業をしていると地域住民から声をかけてもらえるなど、関心の広がりを実感しているという。

現在では市内の様々な団体に声をかけ一緒に活動。草加市内にある獨協大学の環境・国際団体Decoも協力団体のひとつ。Decoは1998年に設立された環境問題、国際協力に関する活動に取り組む団体で、今やサルベージ活動になくてはならない団体となっている。学生たちも「川をきれいにできる上に、近隣住民の方からも感謝される、非常にやりがいのあるものです」と話す。

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一日の作業で引き上げられた自転車。サルベージ活動はまだまだ続く

人間が本来持っているはずの「良心」を取り戻したい

七里さんは学生たちの成長が楽しみだと話す。「地元の子はもちろん、そうでない子も一生懸命活動している。そういう姿を見て何も感じないのは人としてどうなのか」と憤りを見せる。

自転車の不法投棄をはじめ、社会での様々な事件などもすべて自己中心的なものの考え方に原因があるとする七里さん。年間6~8回の活動で昨年は50台以上の自転車やミニバイクを引き上げた。だいぶ前に捨てられ痛みが激しい自転車がある一方、捨てられて間もない自転車も後を絶たないのが現状だ。

「草加、八潮、三郷の3市で合同サルベージ大会をやったことがあってね。たくさん引き上げたのに喜べない。逆に数は少ないけど"やったー、優勝だー"と。あの時は面白かったなあ」と七里さん。間もなく通算引き上げ台数が1000台に達するそうだ。行政や警察、学校、団体、地域住民と確実に活動の輪が広がっている。

しかし、根底にある「自己中心的な考え方」を変えていくのは至難の業だ。それでも活動を続けていくことによって人間の心に訴えかけ続けねばならないと話す。夢は"道頓堀でサルベージ"なのだとか。人間がもつ「良心」に訴えかけていく七里さんの活動は続く。

七里さんや獨協大学の学生らが中心となって行う「AQUA SOCIAL FES!!2015 中川流域クリーンプロジェクトは9月26日(土)に開催します。あなたも自転車サルベージ活動に参加しませんか?詳細は公式サイト(http://aquafes.jp/projects/161/)をご覧ください。

(取材・執筆:埼玉新聞社 天野仁裕)

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