「大学を卒業するまで地元の川にほとんど行かなかった」そんな若者が長良川を守るようになった なぜ?

2015年08月25日 01時55分 JST

世界食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産登録を目指している清流・長良川。清らかな川の恵みは鮎を育み、人々の暮らしや、長良川鵜飼などに代表される歴史や文化ととても深く結びついています。長良川漁業協同組合の浅野彰吾さんは、多くの人に長良川に関心を深めてもらおうと、長良川の伝統漁法や環境について考えるセミナーやワークショップの企画を提案しています。

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長良川漁業協同組合の浅野さん

川漁に触れ、清流のありがたみを知る

岐阜市出身の浅野さんはもともとIT関連志望だったそう。しかし、親交のあった同組合長から、若い世代の活躍を期待され、事務局に就職しました。

鮎の孵化事業に携わる過程で、川漁師と触れ合いながら、少しずつ長良川に対する価値観が変わっていきました。「生まれて初めて体験した川漁はとても感動しました」と振り返ります。この時は伝統的な「瀬張り網漁」という漁法を使い、数十匹もの鮎を捕獲したんだそう。「大学を卒業するまで、長良川は身近にありながらに行く機会はほとんどありませんでした」と苦笑いを見せながら、「古くから受け継がれている漁法技術の素晴らしさ、漁具の精巧さをはじめ、多種多様な生物が生存していることの大切さ、きれいな川を維持していくことの重要さを強く感じるようになりました」と話します。

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「瀬張り網漁」は、川床に白いシートをはり、川を横切るようにロープを仕掛けて準備をします。ここを泳いできた鮎が、この仕掛けに驚き、動きを静止したところに、手投げ網を投下し捕獲するしくみ。

川の伝統を守るための2つの課題。どうやって解決する?

現在、長良川の最年少漁師としても修業を重ねている浅野さん。いま一番の気がかりは、「組合員が高齢化していて、伝統漁法が途絶えてしまうことと、鮎が元気に育つような清流を守っていくこと」と言います。この2つの課題を解決するために、同組合では伝統漁法や環境について考えるワークショップなどの企画を県や市など行政に働きかけています。

2014年は、岐阜市などを中心に毎年開かれている参加型イベント「長良川温泉泊覧会(長良川おんぱく)」に初めて参加し、手投げ網のワークショップを開きました。ほとんどが初心者でしたが、参加者は伝統漁法を体験しながら、自ら獲った長良川の魚も食べるなど、清流を身近に感じる機会となりました。

2015年は多くの市民が長良川に関心を持ってもらうために、自治体とも連携を深め、環境について考えるきっかけづくりを模索しています。キーワードは「自然」「歴史」「文化」「食」。川で遊んだり、洪水や治水を学んだり、長良川の伝統漁法や生息する生き物について触れたり、鮎を食べるなど、長良川を存分に体験できるイベントの運営に携わっています。

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ASF長良川クリーン作戦では、毎回鮎の放流を行っている。

生きている鮎に触れて興味を深めてほしい

将来を担う若者たちに、長良川をもっと身近に感じてもらいたいと、長良川漁業協同組合では、浅野さんが中心となり、トヨタのハイブリッドカー「AQUA」が全国各地で展開する環境保全活動「AQUA SOCIAL FES!!長良川クリーン作戦」に参加し、毎回、鮎の放流活動に協力しています。「スーパーで売られている切り身の魚ではなく、生きている魚に触れ、五感で感じながら興味を深めてほしい」という願いを込めています。参加している学生たちの楽しそうな表情を眺めながら、毎回、確かな手ごたえを感じています。

長良川漁業協同組合が協力する「AQUA SOCIAL FES!! 長良川クリーン作戦」の第2回は10月3日(土)に岐阜市の長良川河畔で開催します。参加希望の方は、「AQUA SOCIAL FES!!」公式サイトの申し込みフォームから必要事項を記入の上、ご応募ください。

(監修:岐阜新聞社広告局)

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