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社会人3年目の私が、恐る恐る上司に「生理」について話してみた

2017年02月21日 20時12分 JST | 更新 2017年02月22日 17時30分 JST

またしてもやってきた「あの日」

in bed woman pain

きた。

きてしまった。

木曜の朝、午前6時10分。

激痛とともに目覚める朝。

なんでこんな日に?と考える間も無く冷や汗が止まらなくなる。救いのEVE(愛用の痛み止め薬)が近くにないことに愕然とする。

私の子宮には、13歳の頃からプロボクサーが住んでいる。彼は月に1度訪れる練習をここぞとばかりに楽しみにしている。こういうデリケートなことを書くのはどうしてもためらいがある。恥ずかしさもある。だから、このボクサーを「サム」と名付けてみる。

「あの日」がくると、サムは子宮に向かって猛烈なパンチをはじき出す。叫びたくなるような激痛に耐えながら、這うようにして取りに行った薬を飲んで、サムの練習が少し落ち着くのをじっと待つ。

彼によるパンチの痛みは、本当に仲のいい人以外には共有してこなかった。彼の鉄拳はあまりにもハードで、私が会社を休むこともしばしば。大好きな人からの誘いを断ることも、テストの途中で保健室に駆け込んだことも、行きたかったライブを断念したこともある。あまりの痛みに検査も受けたが、異常はみられなかった。

今日も午前休をとり、真っ青な顔で会社に行った。理由は、体調不良。なんと便利な言葉だろう。サムの存在をこれで誰にもばれなくて済むのだ。上司にもどうしても知られたくない気持ちから、生理休暇ではなくて有給休暇として申請した。

薬の効き目が少しずつ出てきて、サムも休憩モードに入る。会社に着くと、上司(男性)が心配そうな顔で近づいてくる。

「大丈夫?」

「...。はい」。

「病院に行った?」

「行ってません。そんなに私の顔はヘンですか?(笑)」

会話はここで終了。上司のことをどんなに信頼していても、サムのことを話せなかった。苦し紛れに冗談で隠すしかなかった。本当のことが言えないことで、上司を裏切っているような感覚になり、同時に自分を裏切っているような感覚に陥った。

サムのことを知らない世界

boxer

こういう風に悩んでいるうちに、ふと気付いた。生理や生理痛で悩んでいる女性はごまんといる。(ちなみに今更だが、サムのパンチとは生理痛のことだ。もちろん、羨ましいことに悩まない女性もいる)。しかし、この苦痛を言葉にしている女性はその中でどれくらいいるのだろうか。いろんな話をオープンに話してきた自分でさえ、サムのことは上司には言えなかった。

恥ずかしいのも大きな理由の一つだが、やはり仕事を犠牲にしたくなかった。サムの存在を伝えただけで、仕事を任せられなくなってしまうのではないかという恐怖。月に1度の練習だから、我慢すればいい。ただただ過ぎ去るのを待てばいい。なかったことにすればいい。

サムをこの世から消していたのは、まぎれもない自分だった。上司がサムのパンチの痛さを理解しないのは、上司のせいだけではない。言葉で誠意をもって伝えようとしなかった自分もそこにいた。

上司と一緒に生理に向き合う

talk

上司である編集長の竹下隆一郎と部下の私

私はついに自分を悩ませ続けた「サムのハードな練習」について、上司に話すことにした。医師ではない上司に相談できることは、あくまで働きやすい環境を求めることだった。月に1度訪れるサムの練習と、私ができる最低限の対処法について話した。

理解し難いことだったと思う。そんな相談を部下からされたのも初めてだっただろう。(私も初めてだ!)結果、サムの練習が始まって仕事が困難になる時は、リモートワーク(自宅作業)でもいい、休んでもいい、(人の少ない)隣の部屋でできるだけリラックスして仕事をしてもいい、と働き方の選択肢をもらった。

上司との面談で、サムのパンチが緩和されるわけではない。私が痛みに耐えなければいけない時間は、きっとこれからも続くだろう。何度も言うように、上司は医師ではないし、魔法使いでもない。しかし、サムとともに今後約40年間生きていかなければいけない私の人生は大きく変わると信じている。

月に1度訪れる、働くことへの苦痛が少しやわらぐだけで、気持ちがずいぶん軽くなったからだ。何より、一生懸命理解しようとする上司の姿勢が嬉しかった。上司のブログでも書いてあるように、「知らなかった自分を恥じる」とさえ、伝えてくれた。サムと私の孤独な戦いに、大きな協力者を得られた瞬間だった。

きっと世の中そんな上司だけではないし、女性の上司でも全く理解を示さない人もいるだろう。そういう時は、近くの信頼できる同僚や先輩に話せたらいい。私がサムについて上司に話したことで、ある女性の同僚が共感してくれ、こっそり生理痛で苦しんでいることを伝えてくれるようになった。お腹は痛くなくても、頭痛が止まらない。そんな時は、彼女に毛布やホッカイロ、必要な時は鎮痛剤を渡すようにしている。勇気を振り絞って、話してみてもいいかのかもしれない。あなたが最高に働きやすい環境にいることが会社として大切なのだから。

日本人と生理、そして痛み

女性の健康管理アプリ「Clue」とNGO「国際女性健康連盟(International Women's Health Coalition)の共同調査によると、世界の中で日本はダントツで「生理について話しにくい国」だという。

この調査は、約9万人、190カ国の女性を対象にした2015年の数字だ。「女性のクラスメート、同僚に生理について話せるか」という質問に対しては、76%だけが「はい」と答えた(カタール、ロシアに次いで下から3番目)。「男性のクラスメート、同僚に生理について話せるか」という質問に対しては、たったの12%だった。(190カ国中最下位)。

また、ロート製薬が行った「20代~50代の男女800人に聞く日本人の痛み実態調査(2011年)」では、約8割の人が「日本人は痛みを我慢する国民性」と回答。「痛みを我慢することに弊害が伴う」ことについて、認知度はわずか2割だった。生理痛の項目では、痛みの対処法として「鎮痛剤を服用する」(56.3%)がトップ、ついで多かったのが「我慢する」(52.8%)だった。

男女平等社会が叫ばれている中、約半分の人間が生理に関する悩みを押し殺して働き続ける社会を想像したくない。無理やり話すことはしたくないが、職場の上司に話すだけでも、自分の人生が少し楽になったような気がした。大げさと言われるかもしれない。しかし、自分にとっては人生をひっくり返すような出来事だった。

オープンに話すことで、世界は変わる?

talk with boss

ハフィントンポストでは、「女性のカラダ」について、もっとオープンに話せる社会を目指して、新しいプロジェクト「Ladies Be Open」を立ち上げました。

まだまだ女性のカラダにまつわる話は、生理以外でもタブーが多い。PMS、セックス、妊娠、出産...。話したくない人や聞きたくない人も多い一方で、話さないことによる弊害もたくさんある。特にカラダの痛みは、もしかしたら病気のサインかもしれない。それを我慢し続けることは、後々後悔する結果になるかもしれない。

できる範囲でオープンになって、解決策をみんなで考えられるような社会であって欲しいと思う。何度も言うように、社会の半分が我慢し続けることは、きっとどこか無理があるはずだ。だから、私に今できることは最大限に痛みを緩和して働きやすく、生きやすくすること。その一歩として、上司にサムのことを話したのだ。

上司はこのあと、どう反応した?→上司のブログはこちら

ladiesbeopen

ハフィントンポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、新しいプロジェクト『Ladies Be Open』を立ち上げました。女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違うからこそ、一人ひとりの声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。

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