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ノルウェーの「失敗してもいい」文化、新しい北欧デザインとは?

2014年10月23日 23時00分 JST | 更新 2014年12月23日 19時12分 JST

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熱気に包まれるイノベーション会場。クラウドファウンディングでは、新しい音楽アプリの魅力を語り、若者たちが支援を募る(Photo: Asaki Abumi)

北欧ノルウェーの首都オスロで欧州最大のイノベーション会議が開催されました。このイベントは「オスロ・イノベーション・ウィーク」と呼ばれ、2005年にスタートして今回で9回目を迎えます。オスロ市や産業革新活動をサポートするイノベーション・ノルウェーの支援のもと、10月13~17日の開催中に約6千人の来場者が訪れ、40以上のトークショーやワークショップなどのイベントが行われました。

会場にはノルウェー企業のほかに、欧州を中心とした企業家、投資家、デザイナーなどが集合。「我が社でも革命を起こしていきたい」、「新しいビジネスをスタートしたい」と活気に燃える各界の関係者が集まり、互いにインスピレーションを与え合い、人脈を広げる場所としても好評を集めています。

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イノベーション・ノルウェー代表のトローセット氏の熱い言葉に耳を傾ける聴衆。手前に座っているのはノルウェーのデザイン建築の情報発信地となっているDogA代表のテプフェルス氏(Photo: Asaki Abumi)

「ノルウェーはつまらない。革新的なことをするには物足りない。だからスウェーデンに負ける」

「これはメディアがノルウェーについて頻繁に使用する記事タイトルです。私たちはこの誤解に満ちた見出しをなくしたいと思っています」と語るのは、イノベーション・ノルウェー代表のアニータ・クローン・トローセット氏。

■夢を持つ、失敗してもいい文化を広める

「イノーべーションとは、何か新しいことをゼロから創り出すこと。パッションと勇気とミッションをもって、物事を改善して、前進させていくこと。周囲の意見は気にせず、何度も挑戦して、何度も失敗してほしい」と、トローセット氏は「失敗してもいいんだよ」という文化をもっと浸透させていきたいと語る。

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毎年発表される今年の「オスロ・イノベーション賞」を受賞したのは、ノルウェーの建築業界を代表する設計デザイン事務所のスノーヘッタ。世界中で「芸術品のようだ」と絶賛されているノルウェーの新紙幣デザイン(裏面)でも現在話題を集めています。他にも活躍が目覚しい女性企業家や学校などが表彰されました(Photo: Asaki Abumi)

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オスロ観光局が中心となった旅行業界向けのセミナーでは、オスロを音楽の街としてどうマーケティングしていくか、SNSをどう利用していくかなどの話し合いがもたれました。意外なことに、ノルウェーがインスピレーションの舞台となったディズニー映画『アナと雪の女王』のブームに関する話はゼロ。総合情報雑誌『モノクル』最新号ではオスロがビジネスやカルチャーの中心地であり、企業家やデザイナーが着目する街として特集されており、公式HPに掲載されている動画は見ごたえあり(Photo: Asaki Abumi)

■デザイン業界で大きな革新を

今年度のイベントの大きなテーマのひとつが「デザイン」。ノルウェーではかつては日曜日の教会のミサでコーヒーやワッフルを近所の人と楽しむという交流の時間がありましたが、今ではその文化は廃退しつつあります。市民が再び集まり交流できるような新しいデザイン・建築開発、そして健常者だけではなく幅広い人々のニーズに応えることのできるデザインが今強く求められているのでしょう。

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問題解決に役立つ「インクルーシブ・デザイン」に関するワークショップ。各グループに共通の課題が与えられ、どのようなデザイン開発ができるか発表しあう(Photo: Asaki Abumi)

■北欧デザインに変化?

「北欧デザインといえば、外見美が賞賛されるプロダクトデザインがこれまで注目を集めていましたが、今はユーザーフォーカスのデザイン分野がノルウェーでは延びてきています。想像しにくいかもしれませんが、医療分野ではデザイナーが中心となることで、乳がんと診断されるまでの結果が届くまでの待ち時間を12週間から48時間に減少させることができた例もあります」。ノルウェーのデザイン業界でも大きなイノベーションが起きていると語るのはノルウェーデザイン建築センターDogA代表のパトリック・テプフェルス氏です。

日本で北欧デザインというと名作家具やインテリアが注目されがちですが、「ユーザーフォーカス重視の目にはみえにくい北欧デザイン」は今後も調べていくと面白そうな発見がありそうだと感じました。