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大気汚染が深刻化するオスロは「車のない、自転車の街」になれるか?

2015年10月11日 22時03分 JST | 更新 2016年10月11日 18時12分 JST

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東京と比較すると、乗り物が多いという印象はないオスロ。だが、大気汚染問題が深刻化している Photo:Asaki Abumi

北欧といえば、デンマークをはじめとして自転車乗りのために道路が整備された、自転車先進国という一面がある。デンマークやスウェーデンと比較すると、ノルウェーの首都オスロは、自転車のための道路整備はまだまだ遅れているという印象はぬぐえない。

オスロって、空気が汚いの?


ここ数年の間、自動車数の増加が原因で、オスロの大気汚染の問題が深刻化している。ノルウェーに観光にきたことのある日本人ならば、ここで「え?オスロって空気が汚いの?」と思うのではないだろうか。東京人口の約1348万人に比べて、オスロの人口は約64万人。自然へすぐにアクセスできるオスロは、まだまだ人や乗り物の密度には余裕があるように感じがちだ。

「オスロの空気は汚いと思うか?」と、オスロ市民に聞いてみると、恐らく大半の人が、「汚い、特に冬。原因は車」と即答する。

老人や子どもの健康状態が悪化


市環境局 気候・環境部の特別コンサルタントであるリーネ・トゥヴェイテン氏に現状を伺った。「大気汚染物質である粒子状物質と、二酸化窒素の増加が、オスロ市の課題です。原因は、自動車からの温室効果ガスの排出。市民の健康状態に悪影響を及ぼしていることは、明らかです。肺の病気、心血管疾患をはじめとして、特に健康的な大人よりも影響を受けやすい、老人や子どもが被害をうけています」と説明する。

自転車の街にしようと、あせる政治家


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統一地方選挙当日、自転車乗りをアピールしようと、選挙会場に自転車で現れたオスロ市長のファビアン・スタン氏 Photo:Asaki Abumi

車の増加による大気汚染と、対応策としての自転車と公共交通機関の整備改善は、現在オスロの政治家の間で最優先課題として議論されている。政治家が、「自転車に乗って通学・通勤しよう!」とメディアを通して訴える光景は日常化しており、日本人からすると不思議に写る。

車は控えよう、カーフリーデー


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カーフリーデーでは自転車を積極的にすすめるシートカバーが無料配布 Photo:Asaki Abumi

9月22日は、欧州各地でモビリティウィークの一環として、「カーフリーデー」が開催された。自動車を使わずに1日を過ごし、サステイナブルな交通手段の利用について考えようという実験的な試みで、各地でさまざまな取り組みがおこなわれる。オスロ中心地では、道路の規制はおこなわれなかったが、市環境局が市民へ訴えるキャンペーンが催された。特に対象とされていたのは、オスロ郊外から高速道路を利用して、オスロ中心地へと出勤してくる車乗りだ。

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電気自動車を除いて、ディーゼル車には車を控えるように促すステッカーが貼られた Photo:Asaki Abumi

政治家の間で議論。もっと道路?もっと自転車?


この高速道路の存在は今政治家の間で議論の的となっている。道路の整備にさらなる予算を費やすか、それとも、その予算を自転車道や公共交通機関の整備充実にあてるか?問題を深刻視するレベルは政党によって差があり、2年後の国政選挙でも大きな影響を与えるとみられる。

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9月18日には、オスロ中心地で通常は駐車場として使用されているスペースを、緑、野菜や果物、自転車で溢れた公園スペースとして利用しようという試みがなされた Photo:Asaki Abumi

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普段は車が並ぶだけの殺風景な通りが、人がおしゃべりをする憩いの場所に Photo:Asaki Abumi

オスロ中心地から、車がなくなる?


9月に統一地方選挙で異例の勝利を収めた緑の環境党(MDG)は、2017年までにオスロ中心地から個人所有の車を排除することを優先課題として訴えている。しかし、ビジネスを営む経営陣などからは「あまりにも過激すぎる」と不満の声もあがる。

緑の環境党ほどまでではないが、オスロ市をもっと自転車の街にするべきというのは、自由党(V)、左派社会党(SV)をはじめとして、大半の政党が同意している。

Yahoo!JAPAN

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車よりも、緑がある首都に? Photo:Asaki Abumi

そんな話題がノルウェーを駆け巡る中、10月初頭、ノルウェー国民の間で衝撃が走った。欧州自由貿易連合司法裁判所が、ノルウェーの中でオスロが突出して大気汚染が目立ち、EU における大気汚染対策関連法制度の空気質指針の基準を超えていると、最終的な審判をくだしたのだ。この結果は、大気汚染問題に真剣に取り組んでいなかった政界の現状を示し、「恥ずかしい」とコメントしたノルウェーの政治家が後を絶たなかった。

大気汚染がひどい日は、一部の子どもたちは外出することができない。この事態を解決するために、ノルウェーの政治家は大きなかじ取りを迫られている。

Photo&Text:Asaki Abumi

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