台風26号。伊豆大島から届いた島人のメッセージ

人は自然の猛威には勝てませんが、備えることはできます。国にできる防災と、一人ひとりにできる防災はそれぞれ異なり、地域の特性によっても適した防災方法は異なります。ご自身が住まう地域の防災情報をご確認のうえ、災害に備えていただけたらと思います。

16日に発生した台風26号の被害から2日が経ちました。18日正午時点、伊豆大島で亡くなられた方は23人、行方不明の方が26人。二次災害も懸念されるなか、現在も警視、消防、自衛隊による捜索が行われています。

弊社のように小さなメディアでは島に駆けつけることができないため、私自身も基本情報は大手メディアから探しています。人は「分からない」ことがあると不安になりますが「知る」ことで少し安心できるため、「正確な情報」の重要性を改めて感じます。

ただ、大手メディアや個人のSNS投稿を見るとやはりまだ「誰かの責任を問う言葉」や「悲しみ、怒り、憤りなどの感情をあおる言葉」は多く、それが被災された方、伊豆大島に暮らす方、縁のある方にとって辛く響く言葉であることを理解いただきたく、まず主要メディアで原稿を書かれる記者やライターにご配慮いただき、次にその言葉を「拡散」「シェア」する個人の情報発信者にもご配慮いただけますよう重ねてお願いいたします。

昨日の記事を読まれた伊豆大島の方からメッセージをいただきました。島を想うひとりの意見として、ご本人の許可を得て、以下に記します。(島は狭いコミュニティになりますのでご迷惑がかからないよう匿名にてご紹介いたします)

「今回の災害は人災ではありません。どうか、町長はじめとする立場ある人たちを責めないでほしい。報道を見るたび、心を傷めていました。子どもの頃から、大島は火山島だから水はすべて海へ流れ出ると教えられ三原山が崩れるなんて想像もしませんでした。それに、大島の中心にあるのだから、どこから崩れるかなんて誰にもわかるはずがないんです。島で生きる人の思いも知らずに、テレビで堂々と責任を問う人たちに言いたい。これ以上、島の人たちを傷つけないでと」

現在、政府は「特別警報」の発表方法を含め防災情報の伝え方を見直す方針を固めており、17日のフジテレビの番組では菅官房長官が「対応が盤石だったかどうか、検証する必要がある。特に特別警報は、誰が見ても出してもおかしくなかった、との思いもしなくもない」と仰られています。

何かの「課題」を「解決」「改善」するためには「原因」を探さなくてはなりません。加えて、そもそも「伊豆大島」がどういう島であるのかという「本質」も知らなければ本当の原因にはたどり着けず、根本的な解決や改善には至りません。

日本の離島エリアは気候も風土も異なる有人島が約420島あり、島に暮らす人数も、集落の構成も、家々の構造ももさまざまにあります。伊豆大島のような火山島もあれば、宮古島のような隆起珊瑚の島もあります。そのため、国として全有人島の風土にあった「防災」の方針を立てるとしたら、島の数だけ多種多様にある「島の本質」を見極めることが重要です。

ネット上にあふれる言葉をたどると、島を知っている人と、島を知らない人で意見は異なるように見受けられます。日本はそもそも6852島からなる島国であり、人のコミュニティの数だけ異なる歴史・文化・風土があります。島について考える際にはまず、そのことを念頭に入れていただけたら幸いです。

現在、台風27号が発生しております。進路によっては台風24号により60棟が全壊の被害に遭われ、復旧作業中の与論島がある奄美群島方面へ向かう可能性もあります。

人は自然の猛威には勝てませんが、備えることはできます。国にできる防災と、一人ひとりにできる防災はそれぞれ異なり、地域の特性によっても適した防災方法は異なります。ご自身が住まう地域の防災情報をご確認のうえ、災害に備えていただけたらと思います。

(※こちらの記事は2013年10月18日の「離島経済新聞」より転載しました)

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