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島から社会を考える。「日本にとっての島」

2013年09月06日 00時20分 JST | 更新 2013年11月05日 19時12分 JST

日本という国は、世界で7番目に広い「本州」という島をはじめ、6,852島でできた島国です。そのうち本土5島(北海道・本州・四国・九州・沖縄本島)をのぞく6,847島が日本の「離島」と呼ばれており、私たち離島経済新聞社では6,847島のうち人が暮らしている約430島の有人島の情報を集めています。

・・・という島の基本情報を前置きに、

まずは私の「ふるさと」の話をしたいと思います。

私の地元は島でいうと「九州」になり、最寄りの海まで80kmの盆地地帯。大分県日田(ひた)市という土地で生まれ育ちました。人口は7万人ほど。よくある地方都市ですが、実家は山間エリアにあって中学校の校区は山手線の内側相当の広さで、シカやイノシシもいて、同級生は77人でした(少し前に母親に中学校は最近は全校で50人くらいになっていると聞いて身近な過疎を実感しました)。

いわゆる田舎だから、人も物も少ない。遊び場は家の前にあった水路、田んぼ、ご近所の家、山、川など。海水がないだけで島ともそう変わらないかもしれない土地が私にとってのふるさとで、当時の自分にとって、たとえば東京は「遠い世界」であり、本やテレビや誰かに聞く話(今ならSNS)の世界でした。

■本土を「国(くに)」と呼ぶ島

さて、話を島に戻しましょう。

離島経済新聞社の取材ではじめて東京の島を訪れた時、島に暮らす方々が本土のことを「国(くに)」と呼んでいたことに驚いた記憶があります。その時は確か、出張などで本土に行くことを「国に行ってくる」とおっしゃっていたのですが、「国」と言えど同じ東京都だし、車のナンバーも「品川」・・・。

地元にいた頃の自分にとって東京は確かに「遠い世界」でしたが、自分の地元も国の一部とは認識していたように思うので、島人にとって島と国が違うとしたら・・・と、島人さんの「国」発言以来「?」が脳内をぐるぐる旋回。うーむ・・・それなら逆に、島人さんに「国」と呼ばれたりする日本国にとって島々はどんな存在なのか?

『季刊リトケイ 00号(創刊準備号)』内の記事を引用すると、日本にとっての「島」を役割は「日本の周囲の海域から大陸棚の面積を決める上で、重要な役割を果たしています。自国の沿岸から周囲200海里(約370km)の範囲内にある海は「排他的経済水域(EEZ)」と呼ばれ、その沿岸国に魚などの水産資源や鉱物資源などを確保・探索・開発する権利が認められています。日本の全EEZのうち島の存在によって確保される面積は約半分。国土では世界第61位なのに対して、EEZの面積では日本は、ニュージーランド、カナダに次ぐ世界第6位なのです(参考:海上保安レポート)」(公益財団法人 日本離島センター談)ということ。

国土こそ広くない日本も、海の面積では世界6位。島があるおかげで海の資源を確保できていると考えれば、国にとって島は非常に重要です。ちなみに人が暮らしていなくても国連海洋法条約上ではEEZそのものは変わりませんが、人が定住していることは、海の治安を守ることや、島々に残る伝統や文化や価値観などを守るために重要と国は認識しています。

とすると「国にとっての島」は広い意味で「資源」と捉えられるのですが、さて、そうすると島に暮らしている人たちは、自分の島を「資源」と捉えているだろうか?という疑問も浮上。

魚は穫れるし野菜も育つので、資源といえば資源。でも、おそらく私にとっての地元と同じく、「ふるさと」「家」「自分にとって身近な世界」と捉えている方のほうが多いように感じます。

■国にとっての島、島にとっての島は異なるから

そう考えていくと、私が九州の地元を「ふるさと」と捉えながら「国」とも捉えられていたのは、田舎といっても大体の本土と陸続きであり、たとえば自分が暮らす島以外、周囲数百キロに誰も暮らしていない孤島とはそれなりに状況が違っていたからかもしれません。

島の人が本土を「国」と表現することに悪意は感じられません(ちなみに本土を国と呼ぶのもすべての島ではありません)。詳細は島によって異なりますが、かつて島々が国の中央からの「島流し」先であったことや、沖縄が琉球王朝、小笠原諸島がアメリカだったりと日本でない時代があったことなどから、自然と生まれたのではないかと考えられます。

つまるところ、島々にはいろいろあります。

そこで私は、少なくとも「島」を題材に語るときには島をどのように捉えているかを注意したいと思っています。最近は特に、テレビ、雑誌、インターネットなど数々のメディアで「島」が取り上げられているのを見かけますが、多くは「島」の意味が国にとっての「資源」、本土に暮らしている人にとっての「癒しの場」「旅先」だったりします。

でも、知っていてほしいのは人が暮らしている島は、どんなに小さくても誰かの「ふるさと」であること。それだけは皆さんに知ってほしいと願います。

(※2013年9月5日の「離島経済新聞」より転載しました)