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義務教育なのに? 公立中学校の家計負担は平均年48万円!

義務教育でありながら、家庭に重くのしかかる家計負担と言えます。

2018年01月16日 11時57分 JST | 更新 2018年01月16日 11時57分 JST

年が明け、お子さんの進学・進級にかかる経費のことを考えると、重い気分になることも増える時節ではないでしょうか。

■ 公立中学の家計負担は総額年間平均48万円!

文部科学省の平成28年度「子どもの学習費調査」で、公立中学校に在籍する各家庭は、制服代・教材費・修学旅行費、部活動費・給食費・補助学習のための学習塾費等に、総額年間約48万円を支出している実情が明らかになりました。

義務教育でありながら、家庭に重くのしかかる家計負担と言えます。

■ 入学時だけでも平均5万9,524円の家計負担

11月末に公正取引委員会が「保護者が入学に当たって準備する品目の中で、制服の購入に係る費用は比較的高額である」と指摘しました。「その販売価格は、近年、上昇傾向にある」状況を踏まえ、公立中学校の制服取引において、独占禁止法又は競争政策上問題となるおそれのある取引慣行等の有無を明らかにするため実施した「公立中学校の制服取引の実勢調査結果」によると「制服一式以外の指定品目も含めた入学の際に必要な費用は平均5万9,524円」となっています。

■ リサイクルしようにも・・・

同調査では、経済的に厳しい家庭や、兄弟姉妹が多く制服の購入費用が高負担になる家庭等が制服等のリサイクルを利用している実態から、リサイクル状況も調査しています。

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注:PTA等でリサイクルの取組みを行っている学校数の割合であり、生徒総数に対するリサイクル利用数ではない

少しでも家計負担を減らそうと、制服や体操服のリサイクルを考えても、名前が刺繍で入れてあり、新たに購入せざるを得ないことがあります。

そもそも、制服や体操着等になんで刺繍の名前をいれる必要があるのでしょうか???

私自身、年末、子どもが卒業して着なくなった体操着を思い切って捨てました。当時、ジャージ上・ジャージパンツ・ハーフパンツ・Tシャツで、総額1万6000円は超えていたと記憶しています。ほとんど痛んでおらず、十分に使えるのでリサイクルに出したいと思ったのですが、胸のところなど、非常に目立つところに刺繍で名前が入っているため難しいだろうな・・と判断しました。

制服等のリサイクルを手掛ける事業者の中には、刺繍をほどいてから販売するという取組みをされているところもありますが、無償で提供するPTAが行うには人手の問題等なかなか難しいところです。

また、子どもに普段着として着れば?と勧めると「なんで名前をつけて歩かなくちゃいけないの?」と言われました。返す言葉がみつかりません。確かに保護者の方からも、「小学生では、名札は学校外では外して通学する時代」。「ジャージで部活動にも行くのだから、個人情報の点からも考えるべき」との声を聴きます。

■ そもそも、なぜ制服があるのか?

学校が制服を指定する理由はなんでしょう。

公正取引委員会の同調査に記載されています。

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理由の③以外は、学校側の教育・指導上の「都合」と言えるのではないでしょうか。

どの理由も、生徒の外見ではなく、内面への教育・指導のしかた次第で達成できるものでは?と感じます。学校側の都合ならば、学校が公費で支給するのが筋だとも思います。

また、学校が制服を指定する理由の是非はともかく、保護者が必ず購入しなければならないものならば、様々な家庭環境を想定して、リサイクルを活用する観点にも重きを置いて考えていくべきではないでしょうか。家庭の経済状況が苦しくても、そのことで疎外感を感じることが、子ども自身にも家庭にもないような配慮をもって「すべての子どもに教育を提供する」のが義務教育として当然だと思います。

文京区教育委員会に、リサイクルや個人情報の観点から、学校は名前を刺繍することについて見直す必要があるのではないかと尋ねたところ、「公正取引委員会の調査報告書に基づき、学校には検討するよう伝えているので合わせて考えてもらっていく」とのことです。しかしながら、学校は、長く続いている慣例を変えるのが苦手なのが通例ですから、教育委員会の主導的な役割も求めていきたいと思います。

■ たかが刺繍、されど刺繍

最新の調査で、日本の子どもの7人に1人が相対的貧困の状態にあるのはよく知られていますが、子どもの貧困問題は、どの自治体にとっても最重要課題です。

子ども達が日常で一番長い時間を過ごす学校。それだけに、我が子にも他の子と同じように身の回りを整えてあげたい、と思うのが親心でしょう。

家計負担の重さに苦しんでいる保護者の姿を見て、子ども自身が悩み、親に迷惑をかけている罪悪感を抱くことさえあるかと思います。

■ やれることからスタートする

だいじな考え方だと思います。制服や体操着の指定をやめたり、値段を下げたりすることはすぐにはできないかもしれません。でも、「刺繍をやめる」という選択はすぐにでもできるのではないでしょうか。

  • リサイクルを推進するために名前の刺繍をやめる
  • 校章の私費購入を支給に変える(全員が全く同じものを付けるなら一括購入して配布するほうが手間もコストもかかりません)
  • 上履きや体育館シューズ、水着、スクールバッグ等の指定をやめる(市販品のほうが安価です)

どれも、やり方の工夫や決断次第で大きな行政コストがかかるわけではなく、むしろ、トータルコストを下げる取組みです。市場に商品として出回っておらず、手に入れにくかった時代ならいざ知らず、今は似たようなデザインや高機能の市販品がより安価で買える時代です。

また、例えば仮に、「体育館シューズの指定をやめて市販品にすると、外履きとの区別がつかず指導しにくい」という課題が上がるならば、「靴ヒモの色だけ赤に統一する」等の工夫だって可能なはずです。

■ あらためて「学校指定品」の意義を問い直すべき時代

そもそもこれらの品目まで一律に指定している理由は何なのか? 制服同様「秩序維持や指導上」の理由なのか? いったい誰にどんなメリットがあるのか? やめたら誰にどんなデメリットが生じるのか? 学校の判断に委ねるのではなく、保護者や一般からも広く意見を募り、一度あらためて意義を問い直す必要があると思います。何より生徒自身の声も聞くべきです。

その上で、もし、「教員の負担が増大する」等のデメリットが予想されるケースがあるとしたら、「それは本当に教員がやるべき仕事なのか?」を「教員の働き方改革」の中で検討すべきだと思います。

文京区立小中学校では「学校支援地域本部事業」を推進しており、地域の方々がボランティアで学校を支援する制度で、多くの自治体でも推進されています。地域住民の支援によって教員の負担を軽減し、教員本来の職務に注力してもらうことが主な目的です。このような制度を利用するのも一手でしょう。(教員の働き方改革については、あらためて別の機会に書きます)

憲法26条2項では「義務教育は、これを無償とする」とうたわれています。

その義務教育を担う公立中学校にもかかわらず、年間総額平均48万円もの家計負担を強いられている日本の現状をみなさんはどうお感じになりますか?

4月からの新年度に向けて、当事者である子どもたち自身の思いを汲み上げやすい学校環境の整備を進め、学校指定品について、さらに検討してもらえるように要望していきます。

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文京区議会議員 海津敦子 公式ブログ