トランプ大統領の誕生により日本で戦争は起きるのか

海の向こうの国のリーダーを決める選挙への関心が、日本の国会議員を決める選挙よりも多い。

以下、ブログより転載

https://poteblo.themedia.jp/posts/1732711?categoryIds=408930

2016年11月8日、世界中の頭の良い人たちの予想を裏切ってドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏に勝利した夜。「トランプ」と検索した人は7月のピーク時に「参院選」と検索した人の5倍に上りました。

これはすなわち、トランプのことを知りたい!と思っている人が参院選について知りたい!と思っている人の5倍いるということ...。

海の向こうの国のリーダーを決める選挙への関心が、日本の国会議員を決める選挙よりも多い...。そんな「トランプ現象」の中、日本で急上昇ワードとしてランクインしたのが「トランプ 日本 影響」というワードだったことを皆さんはご存知でしょうか?

そんな自分たちの国以上に盛り上がりを見せたアメリカ大統領選挙ですが、海の向こう側の国の選挙が日本にどんな影響をもたらすのか、よくわかりませんよね。それは自分たちに影響のない「さざ波」なのか、それとも自分たちの生活を大きく揺るがす「巨大波」なのか...。ということで今回は、「トランプ氏が大統領になったら日本にどんな影響が訪れるのか」をテーマとし、中でも「戦争が起きるのか」についてお話したいと思います。

題して「トランプ大統領の誕生により日本で戦争は起こるのか。」

わっしょい!

そもそも、戦争ってなに?

戦争、その定義は人によって立場や見解がバラバラで、全人類共通の見解をつくろうとすれば日が暮れてしまいます。そこで辞書を紐解いてみますとズバリ!戦争とは、国家が自己の意志を貫徹するため他の国家との間で行う武力闘争、と定義されています。(三省堂『大辞林 第三版』)。これ、平たく言うと、武力を使って自国の主張を相手国に押し付けるということ。ただでさえ自分の主張を押し付けてくる人ってうっとうしいのに、それを武力を使って行ってくるなんて...最悪ですね。

戦争ってどうしたら起きるの?

では、そんな「戦争」はどのようにして起こるのでしょうか。

戦争は基本的に主張の押し付け合いからはじまる「人間の対立」によって起きるものであり、そこには政治的な意図や思惑があります。その発生の過程にはいろんな要因が組み合わさっているので、戦争が起きる原因を一般化するのはとても難しいですが、ざっくり言えば2つの原因があるといわれています。

1つ目は国益のため、他国を攻めるということ。2つ目は他国の攻撃から自国を守るためです。1つ目の国益とは、資源の独占や土地の拡大があります。日本もかつて資源を求めて中国や東南アジアの国々に攻めにいったことは歴史の授業で聞いたことありますよね。2つ目はたとえば、中国が尖閣沖での挑発行為や北朝鮮のミサイル発射などがあります。「中国 尖閣諸島」や「北朝鮮ミサイル」などのワードは新聞やテレビでしばしば見かけますよね。

今後日本で起こりうる戦争は2つ目のほうで、特に北朝鮮からのミサイル発射や中国からの侵略戦争が想定されます。では、なぜこの二国は戦争を仕掛けてこなかったのでしょうか。それは「日本の後ろにアメリカがいるから」なんです。

普段の授業中でやんちゃな生徒も、参観日に親に後ろから監視されていたらはしゃげないですよね。つまり、北朝鮮や中国からすると、「日本との喧嘩」は「日本とアメリカとの喧嘩」を意味するのです。アメリカはアジア太平洋地域における最も重要な抑止力(暴走をSTOPさせる役割)としての存在なんです。

トランプ氏の"アノ発言"で日本でも戦争が起きる!?

「日本に駐留している米軍の費用は、日本が100%持つべきだ。もしそれを拒否するならば、米軍は日本からすべて引き上げる」

トランプ氏は選挙戦の最中、このように公言しました。さらに2015年末にも「誰かが日本を攻撃したら、我々はすぐに駆けつけ、第三次世界大戦を始めなければいけないんだろう?我々が攻撃されても日本は助けない。フェアじゃないだろ?これでいいのか?」と日本が米軍の駐留経費を全額負担しなければ撤退させると主張しています。

発言が日本の安全保障大好き芸人界隈に激震を走らせたのは、今までアメリカの存在によって起きなかった戦争が、起きるかもしれないと思ったからなんです。在日米軍の撤退は、アジア太平洋地域のパワーバランスの崩壊を意味します。

トランプ新大統領で戦争は起きない

はい、起きません。では、なぜ起きないのでしょうか。起きないとされる理由を二つご紹介します。

①在日米軍の撤退はアメリカにとって大きな損になるから

日本にはアメリカの第七艦隊が駐留していて、そこには原子力空母が二隻含まれています。その原子力空母の母港になるのは、太平洋では海軍カレーで有名な横須賀とバーガーが有名な佐世保しかないんです。つまり、もし米軍が日本から第七艦隊を引き上げたら、彼らは太平洋に入る港を失ってしまうんです。したがって、米軍が日本から撤退することはアメリカにとって大きな損になる、という理由からとても可能性が低いという見方があります。

②マイケル・フリン氏の発言

トランプ氏の外交安全保障のアドバイザーを務めるマイケル・フリン氏は日米同盟について「今まで築き上げたものを引っ繰り返さない。より強固な関係を築きたい」と述べています。

確かに、米国政治に詳しい慶應義塾大学総合政策学部の中山俊宏教授によると、「トランプ氏がアジア太平洋地域の政策をどうしようとしているのか、よく分からない(中略)これまで訴えてきた通りなら、日本はこの地域の中での立ち位置を見直す必要があるだろうが、まったく不透明だ」と述べています。

しかし、佐々江駐米大使は「二人は日米同盟の重要性を確認し、もっと多くのことができるという認識で一致した」と述べ、安倍総理大臣とアメリカのトランプ新大統領が先の会談で日米同盟の重要性を確認したと明らかにしました。このように日米同盟に対してトランプ氏が前向きな姿勢をとっています。

以上の理由から、トランプ新大統領就任によって日本で戦争が起きる可能性は低いという見方ができます。しかし、戦争が起こる要素は非常に様々。誰も想定していなかった誰かの行動が、思わぬ結果を引き起こす可能性も否定できません。そしてトランプ新大統領が行う政治がどのように進んでいくかはまだまだ不透明なところが多く、ますます未来は不明瞭です。これからのトランプ氏やフリン氏の言動をウオッチング続けることが重要になってくるのではないでしょうか。

ここまで「トランプ大統領の誕生により日本で戦争は起こるのか。」についてザクザクっとお話してきました。90分ある大学の講義を要点だけを押さえて一回分にまとめたようなものなので、この問題を網羅しているとは言えません。ここから先はもっと詳しく知りたいという方に向けです。

トランプ氏の日米安保に関する発言一つで日本では安全保障の見直しについての議論が盛んに行われました。海を越えた政治リーダーの一言で自国の政治家や有識者を動かすってほんとすごいですよね。トランプ氏が大統領に就任して在日米軍の撤退はありませんが、今後その可能性は十分あると考えられます。(それについてより詳しく知りたい方はこちらのリンク②へ)下に添付した記事を読み比べることで、トランプ新大統領の誕生による日米安保の不透明な部分が少しずつ見えてくるのではないでしょうか。

日米安保とドナルド・トランプ新大統領の就任の関係に関してもっと詳しく知りたいという方は以下のリンクへどうぞ!

日米安保条約基礎知識

日米外交や安全保障に関する有識者4人の見解

トランプ大統領誕生による日米安保の行方について

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