フォード、燃料節約のために実際よりも大きなエンジン音を発生させるシステムの特許を取得

フォードは、あることに気付いた。

効率向上のための妙案として、エンジンのダウンサイジングとターボ化が流行となっている現在だが、実際の燃料節約量を大きく減少させている新たな問題が浮かび上がってきている。ドライバーのギアチェンジのタイミングが遅いということだ。フォードの1.0リッター「EcoBoost」エンジンを搭載する「フィエスタ」などを運転している人なら思い当たるだろう。

3気筒エンジンの調子外れなうなり声とターボブーストの上昇があって初めて、エンジンの回転が上がるのである。そこでフォードが考えた解決策は、米国特許商標庁に最近登録された特許によると、エンジンのシリンダー数が実際より多いとドライバーに錯覚させるような、疑似的エンジン音を発生させるという方法だ。

フォードは、ドライバーがタコメーターを見てというより、エンジン音を聞いてギアチェンジする傾向にあることに気付いた。しかし前述のように、ダウンサイジングされ回転速度の上昇が遅くなったエンジンが業界の主流になりつつあるので、ドライバーがギアチェンジのタイミングを計るための聴覚的手掛かりが失われてきている。こうした状況下ではダウンサイジングターボ・エンジンが最大の効率を発揮できないため、その利点が打ち消されてしまうとフォードは主張する。

そこで、シリンダーの点火と点火の間に発生する低振幅の音をドライバーに聞かせることで、シリンダーの数が実際より多いかのように思わせれば、ドライバーのギアチェンジが早まるというのがフォードの考えだ。同社の特許によると、仮想的なシリンダーの数は、シリンダーの点火と点火の間に付加される疑似音の数に応じて、2倍にも3倍にもできるという。

フォードは、この方法が2気筒と3気筒のターボ・エンジンで最も有効と見ているようだ。なお、マニュアル・トランスミッションは米国や日本の大衆車ではあまり一般的ではないので、ターゲットは欧州市場(小型のMT車がいまだに人気)とスポーツカーになると思われる。

賛否はあるだろうが、フォードが提案するこのシステムは燃料節約問題の解決策として、パワーを落としたりエンジン回転数を人為的に制限したりする方法よりも、実際の性能に対して影響が少ないことは確かだろう。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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