トヨタ、米国に設立する人工知能技術の研究所に5年間で10億ドルを投資

同社は、2020年までにドライバーがほとんど操作せずに高速道路を自動走行できるという高度な自動運転技術の開発を目指しているが、いかに自動運転車の未来を真剣に考えているかは、その莫大な投資額からも窺える。

トヨタは、米国カリフォルニア州の通称"シリコンバレー"に、人工知能技術の研究・開発の拠点となる新たな会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)」を2016年1月に設立し、今後5年間で約10億ドル(約1,232億円)を投じると発表した。同社は、2020年までにドライバーがほとんど操作せずに高速道路を自動走行できるという高度な自動運転技術の開発を目指しているが、いかに自動運転車の未来を真剣に考えているかは、その莫大な投資額からも窺える。

TRIの最高経営責任者(CEO)には、現在トヨタのExecutive Technical Advisor(重役級の技術顧問)を務めているギル・プラット氏(写真は取締役社長である豊田章男氏とプラット氏)を迎え、マサチューセッツ工科大学(MIT)やスタンフォード大学に設立した研究センターとの連携を進めるなど、研究体制を強化していくとのこと。社員数は約200人規模を予定し、プレスリリースによれば「人工知能技術を通じてビッグ・データを活用することにより、これからの社会が直面する様々な課題を解決し、将来の持続可能なモビリティ社会の実現はもとより、誰もが安心して安全・自由に、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指し、革新的な商品の企画・開発を進める」という。

もともとプラット氏は今年の夏、トヨタが5,000万ドル(約62億円)を投じてスタンフォード大学やMITと連携して行うこととなったAIの研究を強化する目的で招聘された。以前には、米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)でロボット・プロジェクトを指揮していたベテランだ。同氏は今後、こうした分野においてトヨタが業界の第一人者となるべく舵を取ることになる。この最新事業CEO就任にあたってプラット氏は、「TRIでは、事故を起こさないクルマ、誰もが移動の自由を享受できるモビリティ、高齢者の尊厳ある老後をサポートするロボットなど、人と協調できる人工知能技術の開発に取り組む。さらには、新材料探索・生産管理システムなど幅広い領域での応用に向けた技術開発を行い、社会に貢献したい」と述べている。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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