テスラCEOイーロン・マスク氏、「VWのスキャンダルは化石燃料車の限界を示した」と発言

テスラモーターズのイーロン・マスクCEOが、フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル・エンジン排ガス不正スキャンダルに対し、きっぱりと物申した。その内容とは?

テスラモーターズイーロン・マスクCEOが、フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル・エンジン排ガス不正スキャンダルに対し、きっぱりと物申した。米情報メディア『Bloomberg News』の報道によれば、マスク氏は9月24日(現地時間)、独ベルリンで開催された独連邦経済エネルギー省会議に出席した際、このスキャンダルを「明らかな悪事」としたうえで、ドイツの自動車産業界における排ガスを削減するパワートレインの技術はまだ不十分と言えるだろうと持論を展開したという。場所を考えるとかなり強気な発言だ。

マスク氏は、ドイツといえばクリーンな電気自動車の分野で多くの国々の先を行っていたとしながらも、グローバルな基盤を持つからこそ世界中の空気や海に影響する「化学物質」への取り組みに関してもっといい仕事ができたはずだと述べた。

さらには、ベルギーのメディアに対してVWの排ガス不正問題についてコメント。人々がグリーン・テクノロジーを信用できなくなる可能性について問われた同氏は、今回のスキャンダルから分かることは「ディーゼル・エンジンやガソリン・エンジンの可能性の限界が来たということ。今こそ新たなテクノロジーの時代に移り変わるときなのだ」と答えている。このコメントはビデオの前半1分12秒あたりから見ることができる。

マスク氏がこうした発言をするのはご存じのように、VWが世界各国の排ガス規制に適合させるため、試験時にディーゼル・エンジン車の排ガスを不正に操作したとのニュースが自動車業界を揺るがしているからだ。VWは排ガス規制を不正に逃れるソフトが搭載されたクルマが少なくとも1,100万台あると見積もっており、対処するための引当金として73億ドル(約8,700億円)を計上している。またスキャンダルに収拾をつけるべく、フォルクスワーゲンCEOであるマーティン・ヴィンターコルン氏が辞任しポルシェの最高経営責任者マティアス・ミューラー氏が後任に就くこととなった

米国におけるフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン車の販売台数は、今年8カ月間で約5万1,000台。これは前年と比較すると約8%少なくなっているものの、テスラの電気自動車「モデルS」の販売台数と比較すると、約3倍になるとみられている(テスラは月間販売台数や国別の販売台数を公表していないので、およその数ではあるのだが)。マスク氏の発言は、ディーゼルの売れ行きを妬んでのことではなく、VWの大失態とディーゼル技術への依存についての忌憚のないメッセージだといえるだろう。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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