フォルクスワーゲンのエンジニア、二酸化炭素排出量に関する不正行為を認める

数値が改善しているように見せかけるため、タイヤの空気圧を上げ、さらに燃料の軽油に潤滑油を混ぜていた。

ディーゼル車の排出ガス不正問題に続き、今度はフォルクスワーゲン(VW)が販売した約80万台の車両で、二酸化炭素排出量と燃料消費量の数値にも不正が行われていたことが発覚し、新たな衝撃が走っている。『ロイター』によれば、VW開発部門のエンジニアがこの不正を認めたことをドイツ紙『ビルト』が報じているという。同社のエンジニアは、マーティン・ヴィンターコルン前CEOが掲げた排出量の削減目標を達成するのは難し過ぎると感じていたが、それを「できません」とは言えなかったという。

2012年の発表で、ヴィンターコルン氏はCO2排出量を2015年までに2006年の値から30%削減する方針を打ち出していた。しかしエンジニアはそれを実現することができなかった。それでも数値が改善しているように見せ掛けるため、クルマがより少ない燃料で走るよう、タイヤの空気圧を3.5barにまで上げ、さらに燃料の軽油に潤滑油を混ぜていたという。この不正は2013年から今春に掛けて行われていたが、10月末にエンジニアが上司に明かしたことで発覚したとロイターは報じている。

このCO2に関する不正事件は、特に欧州の国々に大きな衝撃を与えている。各国の政府が排ガス規制や自動車税などの面で大いに関係するからだ。また、VWはこの件で影響を受けた顧客すべてに金銭的補償を行うことを約束した。不正が発表されたとき、同社はこの問題の対応に伴う費用を22億ドル(約2,700億円)と見積もっている。

自動車業界の重鎮ボブ・ラッツ氏は、米自動車メディア『Road & Track』の論説で次のように語っている。いわく、従業員を脅すような社風が今回の排出ガス不正問題につながっており、もしそうであれば社員にプレッシャーをかけていたのは、ヴィンターコルン前CEOよりもフェルディナンド・ピエヒ前監査役会長ではないかというのだ。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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