中国はなぜ「フェラーリ」をネットでブロックするのか?

インターネットは、自動車愛好家にとって便利なツールだが、中国の自動車ファンは、そうした恩恵を必ずしも受けられない場合があるようだ。ニュース誌TIMEのサイト『TIME.com』によると、中国は検閲によって、国内のミニブログにおける"フェラーリ"という言葉での検索を断続的にブロックしているという。

インターネットは、自動車愛好家にとって便利なツールだが、中国の自動車ファンは、そうした恩恵を必ずしも受けられない場合があるようだ。ニュース誌TIMEのサイト『TIME.com』によると、中国は検閲によって、国内のミニブログ(通常のブログより文字数を少なくする代わりに、より頻繁にアップしたいユーザーに使用されている)における"フェラーリ"という言葉での検索を断続的にブロックしているという。

その原因は、フェラーリ車ではなく、フェラーリが象徴しているものにある。フェラーリは中国において、共産党のエリートである親の特権を笠に着た裕福な子弟、中国国内で言うところの"小君主"の象徴になっているからなのだ。

初めてフェラーリという言葉が検閲を受けたのは2011年で、当時有力な政治家であった薄熙来氏の息子が、北京で赤のフェラーリに乗っていたと報じられた。フェラーリは、彼が本来所有できるようなクルマではなく、その情報が中国のソーシャルメディア上で広がったことから、当局の検閲官がフェラーリをブロックした。

2012年には、北京でやはり共産党高官の息子が黒のフェラーリで事故を起こして死亡。この事故は、国営メディアではほとんど報道されなかったが、ソーシャルネットワーク上では大きな話題となり、結果としてフェラーリがブロックされることとなった。さらに同年、シンガポールで中国人の投資家がフェラーリを運転中にタクシーとオートバイに衝突し、ドライバーを含む3人が死亡するという事故が起こり、再びブロックを受けた。

そして今年の2月13日、北京で赤のフェラーリが事故を起こし、1人が死亡、2人が負傷し、中国国営の新華社通信のサイトもこの事故について報じた。かつてと同様、ソーシャルメディアでは事故を起こした人間の身元を巡って臆測が広がったものの、今回は当局による検閲は見られなかった。今後も同様の事故が起きた場合、どうなるかは分からないが、少なくとも当局の対応に変化の兆しがあることは確かだろう。

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(2014年2月26日の「Autoblog」より転載)

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