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シー・エコノミーの到来!新たに台頭する経済圏を日本企業はどう捉えるか①

2015年09月27日 16時16分 JST | 更新 2016年09月24日 18時12分 JST

今、シー・エコノミー(SHE-economy)=女性経済圏の到来が騒がれている。

これまでの男性を中心とした経済構造に対し、女性を中心とした新たな雇用や消費によって生み出される経済構造は、シー・エコノミーと呼ばれる。新たに台頭するこの経済圏をどのように取り込んでいくのかという議論は、アメリカを中心に活発化している。日本でも「女性の活躍推進」が叫ばれる中、いかにこのシー・エコノミーの実態を理解し、新たな経済とともに歩んでいくのか、日本企業として考えなければいけない岐路にきている。

このシリーズ「シー・エコノミー(女性経済圏)の到来!新たに台頭する経済圏を日本企業はどう捉えるか」では、シー・エコノミーの実態、シー・エコノミーの成長の起点として活動する新興国の起業家たち、国内企業との連携の在り方を模索する。

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■シー・エコノミー台頭の背景

シー・エコノミーは、文化的・社会的成熟により、女性の経済参加を阻む法的・文化的要因が排除され、社会参画が推奨された結果形成される女性を中心とした労働生産・消費からなる経済構造であるとされる。

参考:The Times「Woman Power: The Rise of the Sheconomy

参考:The Huffington Post「How the 'SHEconomy' Will Reshape the Private Sector

■シー・エコノミーの影響〜大きく変わる世界の生産と消費〜

米国Intuit社が2010年に発表した「Intuit Report 2020」によると、2020年までに世界でおよそ8.7億人の女性が新たに経済活動に参加するとされ、近い将来、シー・エコノミーの労働対価は約2000兆円も増加するとされる。Booz & Company2012年発表の「Booz & Co.調査レポート「Empowering the Third Billion」によれば、女性経済圏の拡大は多くの国のGDP成長率を飛躍的に高め、特にめまぐるしい経済成長が期待される新興国の女性たちは、今後の世界経済の生産・消費の中核を担っていくとされる。

■シー・エコノミーの労働生産の特徴

世界銀行が公開するデータベースによると、世界の女性の(農業従事者を除く)約3割もが個人事業を営んでいるとされ、アフリカでこのように働く女性は6割以上に上る。これらの多くが非登録・自宅を拠点・小規模事業かつ伝統的な事業を営み、販売やサービスが主な分野である。また、2009年米国学術誌International Journal of Gender and Entrepreneurship でバブソン大学のブラッシュ教授らの共同研究として発表された調査結果によると、女性は男性に比べ、金銭的だけでない様々な価値や優先順位の下事業を興すとされる。

■シー・エコノミーの消費の特徴

ハーバードビジネスレビューに2014年掲載された「The Female Economy」によると、2014年時点で女性が購買判断を下す消費総額は全世界で20兆円とされ、2019年までには28兆円に上るとされる。

その中で、ゴールドマンサックスが2014年に発表した「Giving credit where it is due」によると、女性は収入の8割を、家族や子供などの身近な対象のために、教育やヘルスケア、栄養などの分野に消費する。これは男性の倍の数字であり、労働生産そのもの以上にいわば「将来の人材への投資」として、その社会にもたらす影響は絶大である。

■新興国の女性起業家との連携が日本企業海外シェア拡大につながる?

人口の減少に伴い縮小する日本の国内市場を見据え、多くの日本企業は新たな市場を求めて海外事業展開を目指す。その際に、シー・エコノミーをいかに取り込むかという点は、海外での競争を勝ち抜き、市場を獲得していくのに欠かせない非常に重要な視点ではないだろうか。

シー・エコノミーを生産・消費の市場として捉える上で、面白いデータを紹介したい。

ハーバードビジネスレビューの「The Female Economy」によると、女性は男性に比べ、より社会的責任(CSR)性の強い企業の商品やサービスを購入する傾向にある。

また、Forbesによると、女性の方が社会性を優先した起業・雇用をし、また自身の時間的・金銭的・社会的投資をする傾向が強い。

つまり、シー・エコノミーの生産・消費市場獲得を目指すことは、長期的に自社本来の事業の在り方を見つめ、社会全体としての共通善を見出しながら、事業を創ることにつながる。結果として、日本企業が長期的に競争力を高めていくことにつながる。

経済産業省2014年発表の「グローバル企業が直面する 企業の社会的責任の課題」は、「慈善事業」や「国際協力」としての連携ではなく、事業としての連携を成立させる必要がある点を指摘する。

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写真:望月小夜加

■国内での関心の高まり

今後、労働生産力と海外市場獲得のために、国内企業がシー・エコノミー成長の起点として活動する新興国の女性起業家たちと連携する重要性は増していく。今月9月28日に渋谷ヒカリエでの開催が予定される、アジア・アフリカ・中米で事業を興す女性経営者たちと日本大企業が今後の連携について議論する場「新興女性企業家フォーラム」では、国内大企業で働くビジネスパーソンやコンサルタント、CSR関係者らから会場定員を大幅に超える応募が殺到し申し込みが打ち切りになるなど、関心の高さが伺える。

(文:アジア女性企業家ネットワーク・一般社団法人re:terra 荘司梢)

今後このシリーズでは、シー・エコノミーの実態、シー・エコノミーの成長の起点として活動する新興国の起業家たち、国内企業との連携の在り方について模索する。