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「なければ自分で創ればいい」循環型事業にみる女性の働き方

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女性が自由に生きるための働き方は、地方と途上国の起業家から学べるのではないだろうか――。

アジア女性社会起業家ネットワーク運営のもと、2015年9月25日長野県上田市にて「新興女性企業家フォーラム」が開催された。

少子高齢化・人口減少の進む信州で、ひとりひとりが個々の力を発揮し、持続可能で豊かな社会を実現していくための、「新しい働き方」や多様な人材の在り方についてパネルディスカッションを行った。

登壇したのは、長野県副知事中島恵里さん、長野県信州新町を拠点にファッションブランド「Ka Na Ta」を営むデザイナーの加藤哲郎さん、エチオピアのファッションデザイナーのフィキルタ・アディスさん、ベトナムでコミュニティー・ツーリズムの事業を営むハー・ティ・トゥ・グエンさん、コスタリカで文化・芸術支援事業を行うレベッカ・ボラニョス・クビージョさんの5人。

モデレーターに迎えたのは、アジア女性社会起業家ネットワーク日本事務局代表で、途上国や東北で事業開発を行う一般社団法人re:terra(リテラ)代表の渡邉さやか。このイベントでは、東京などの巨大消費都市を中心に、ビジネスにおいて「拡大」と「成長」が重要視されてきたが、今後より必要性が高まっていくとされる「持続可能」な事業を営む起業家たちと議論が交わされたのでその内容を紹介したい。


社会的価値を生み出していれば、お金はついてくる

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自身で営むベトナムのコミュニティ・ツーリズム事業について語るハーさん
写真:望月小夜加

イベントでは、モデレーターの渡邉さやかが、登壇者たちに、それぞれの事業に取り組む上で何を重要視しており、また彼女たちの働き方を可能にしているのは何か聞いた。


----------途上国経済で、社会的課題解決を目的にビジネスを営む上で重要視していることは何ですか?

ハーさん:大事にするのは、どれだけ社会的価値を生み出せたかという点です。わたしは、ベトナム国内の地方に住んでいる、障がいのある方や貧困に暮らす方など、社会的マイノリティと呼ばれる方々の声になるため、コミュニティー・ツーリズム事業を行っています。

その中で目標としているのは「コミュニティの良さ伝えるプログラムとそれにより変化を起こすこと」です。具体的には、都市部に住む方たちをお客さんとし、ベトナム国内の地方の小さなコミュニティを訪ねるツアーを組みます。

ホームステイや観光、仕事体験(釣りや田んぼ仕事など、現地の人たちの仕事です)などを通して、現地の暮らしや価値観などを伝えますが、社会的マイノリティの人たちの生活も含め体験していただいています。そうすると、ただ言葉で紹介するのでは伝わらないことも伝えることができ、多くの人が共感してくれるのです。つまり、社会的マイノリティの人たちに、語弊なく、きちんとスポットライトを当て、支援を募ることができます。

きちんと価値を生み出すことができれば、お金は必ずついてくるのがわかったのです。
実際、私たちはこの事業で数々のスポンサーシップや資金調達に成功しています。


----------女性が働き方を実現する上で、何が重要だと考えますか?

レベッカさん:みなさんも社会的にたくさんの役割を持っていると思いますが、私も、母親として、パートナーとして、娘として、友人として、そして経営者としての役割を全て同時にこなさなければいけません。

簡単ではありませんが、それぞれの自分でいるためには、自分にあったタイムマネジメントをすることです。わたしは自分で事業を営むことで、自分で時間をコントロールできるようになりました。たくさんの役割をこなしながら自分の事業を営むことは簡単ではありませんが、人生に大きなやりがいをもたらしてくれます。


ないからできないと諦めるのではなく、なければ自分で創ればいいのです。

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エチオピアでファッション事業を立ち上げたフィキルタさん。ニューヨークのアフリカファッションウィー ク、パリの倫理的ファッションショーなどにも出展している。
写真:望月小夜加

フィキルタさん:レベッカさんがおっしゃったように、自分が人生で欲しいものをすべて大事にできる仕組みを自らつくることだと思います。私にとっては、母であり、妻であり、自分らしく生きることは、すべて同等に大切です。仕事も妥協したくない。しかも、自分の生まれ故郷であるエチオピアという場所でやりたかったのです。欲張りですよね。
すべて同時に実現できる仕事は存在しなかった。だから、その仕組みを自分で作ったのです。

もう一点付け加えるならば、身の回りで「資源」を発掘することも重要だと思います。ファッションブランドを立ち上げようとしていた当初、エチオピアのファッション業界はまだまだ発展途上で、多くの人は品質の高いものを生産できる状態にないことを理由に「早すぎる」と他の国に出て行った。

でも私は、自分の誇る国エチオピアがしたかった。だから、サプライチェーンやデザイナーたちを自分で育てるという選択をしてきたのです。ないからできないと諦めるのではなく、なければ自分で創ればいいのです。

社会が求める女性の役割に自分を当てはめるのではなく、 自分のままでもいられる環境を創っていくことが大切なのです。

加藤さん:僕は、「Ka Na Ta」という事業で東京のマーケットを確立できたおかげで、どこにでも住むことができるようになりました。それならば好きな場所で暮らしたいと思い、長野県信州新町に移住し、限界集落信級村で暮らしています。今は湧き水の音を聞きながら暮らしています。

何が言いたいのかというと、つまり、女性は、社会が求める女性の役割に自分を当てはめるのではなく、 自分のままでもいられる環境を創っていくことが大切なのではないでしょうか。

(文:アジア女性社会起業家・一般社団法人re:terra 荘司梢)

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(左上から)加藤哲郎さん、長野県副知事中島恵里さん、エチオピアのフィキルタさん、ベトナムのハーさん、上田市長母袋創一さん、(左下から)ACRE岡田基幸さん、コスタリカのレベッカさん、一般社団法人re:terraの渡邉さやか
写真:望月小夜加

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