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「プレミアムフライデー、3人に1人が参加」 自画自賛広告に疑念。『早く帰らなくてもOK』になぜかすり替わってる

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6月30日に、経産省が経団連などと連携して推進する消費喚起策「プレミアムフライデー」の5回目を迎える。

間近に迫った6月27日、読売新聞の朝刊に「プレミアムフライデー 定着の兆し」との見出しで、経産省が設立したプレミアムフライデー推進協議会の全面広告が掲載された。

しかし、この広告では、当初の目的をさりげなくすり替え、政策の失敗を認めようとしない意図を感じる。

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広告には同協議会が実施したプレミアムフライデーに関する意識調査の結果が新聞記事風のレイアウトで記されており、紙面には「3人に1人が"プレ金"に参加」という小見出しが記載されている。

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いまだにネット上では「早く帰れない」という声が多く集まるなか、本当に3人に1人がプレミアムフライデーを実現できているのだろうか?激しく違和感を感じた。

そこで、意識調査の内容を調べた上で、広告を掲載したプレミアムフライデー推進協議会に、取り組みの現状についてメール取材した。

■「3人に1人が"プレ金"に参加」。参加ってどういうこと?

プレミアムフライデーは、月末の金曜日午後3時を目安に、早めに仕事を切り上げるよう企業に呼びかけ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらうという消費喚起策。2017年2月24日から全国的に実施されている。

読売新聞内の広告で掲載された意識調査は、全国(47都道府県)の20〜50代有職者を対象に実施されたもの。有効回答数は2,015人で、調査はインターネットアンケートを通じて実施された。アンケート調査の結果はプレミアムフライデーの公式サイトにも公開されている

広告内に記載されている「3人に1人が"プレ金"に参加」という見出しは、一見すると、「3人に1人が、いつもより早上がりまたは午後3時退社をした」と回答しているようにもみえる。

しかし、これは、必ずしも「早上がりができた」「午後3時に退社できた」と回答した数ではない。この割合は、「いつもより早く帰ったかどうかに関わらず、普段の週末にはできない過ごし方ができましたか?」という質問に対して、「過ごすことができた」と回答した割合を元にして出している数字(35.5%)だ。

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紙面広告を拡大したもの

広告内の冒頭にも、「特に注目したいのは、この質問が『いつもより早く帰れたかどうか』を条件とするものではないこと」と注意書きともとれる内容が記載されている。

では、月末金曜日、仕事を早く終えることができた人の割合はどれくらいなのか。プレミアムフライデー推進協議会に「調査では午後3時に退社できたかどうかという質問はしていないのか」と問い合わせたところ、以下のような回答があった。

プレミアムフライデーは、生活における「豊かさ」「幸せ」につながる充実感や満足感を感じることが出来る体験や時間創出を目的に実施されたものであり、今回の調査は、当初の「豊かさ(普段の週末にはできない過ごし方)」に焦点をあてての調査となります。

今回の調査では、当初の目的「午後3時退社」をした人の割合についてはアンケートをとっていないということだが、少しはぐらかされたような回答だった。

この回答と新聞広告の内容から察するに、早帰りをできたかできないかに関わらず、「普段の週末にはできない過ごし方ができた人=プレミアムフライデーに"参加"できた人」とみなされるようだ。

では、プレミアムフライデー発足当初に焦点が当てられていた「午後3時退社」という目標は、いったいどこにいってしまったのか。この呼びかけは、引き続き行なっているのだろうか?

プレミアムフライデー推進協議会に続けて質問をすると、以下のような回答があった。

働き方改革の観点から、“早帰り”を推奨しており、企業・団体の象徴的なアクションとして「15時を目安にした退社」を呼び掛けしております。15時目安で退社できる企業・団体には引き続き実施いただき、現状は難しい企業・団体、あるいは個人の方には、まずは「いつもよりちょっと早く帰る」を推奨したいと思っています。

■「働き方改革」はどこへいった?

経産省は、もともとプレミアムフライデーは消費喚起策と同時に「働き方改革」という一石二鳥の効果をもたらすものだと主張してきた

だからこそ、過重労働の改善に繋がるかという論点からプレミアムフライデーを考える人がいて、実施日にはネット上で「早く帰れるか・帰れないか」という観点からさまざまな意見が飛び交う。

しかし、同協議会の別の調査では、プレミアムフライデー実施事業は410社しかない(5月8日時点)。「7000社以上がプレミアムフライデーのロゴマークを申請」というデータもあるが、これは商品やキャンペーンにロゴを使用するなどマーケティング目的で申請した企業も含めており、社員の早帰りを認める企業という意味ではない。

同協議会の回答内容には、「働き方改革」に繋がる側面からさりげなく注目をそらし、「いつもより豊かな時間を過ごす」というコンセプトに重点を置くようになった、という印象を抱く。

プレミアムフライデーに参加した人の割合を出すための質問に、「いつもより早く帰ったかどうかに関わらず」という前置きがされていることにも、当初の目的をさりげなくすり替えようとしている意図を感じる。目的を変えるなら、批判も承知の上で、さりげなくではなく堂々と変えればいいのに。

こういった疑念が拭えないため、派手に打ち出される「プレミアムフライデー 定着の兆し」という見出しや「3人に1人が"プレ金"に参加」という文字は自画自賛にしか思えなかった。

今後もプレミアムフライデーは毎月訪れる。最後に、どのようにプレミアムフライデーを定着させていくのか聞いた。

週休2日も長い時間を要して文化として定着してきた経緯があります。プレミアムフライデーも日本が豊かになる新しい文化として定着していくよう、事務局としても時間をかけて取り組みを推進していきたいと思います。


【意識調査の概要】
・調査対象 全国(47都道府県)の20~50代有職者(有効回答数2,015人)
 ※正規の社員・職員のほか、非正規社員も含める
 ※全国の有職者(勤め人)の都道府県別の性・年代構成をベースに、サンプルを割付
・調査方法 インターネットアンケート調査
・調査主体 プレミアムフライデー推進協議会事務局
・調査期間 2017年6月15日(木)
https://premium-friday.com/doc/release20170622.pdf