ビルボードの「ユーザー参加型」年間チャートで、2014年のリアルなヒット曲が見えてくる

2014年12月12日 01時09分 JST | 更新 2015年02月09日 19時12分 JST

多様化するマーケットを反映して、CDセールスのみならず、CDのPCへの読み取り回数(=ルックアップ)、デジタルダウンロード、ラジオでのオンエア数(=エアプレイ)、ツイート数といった複数の指標を用いてヒットチャートを発表するビルボードジャパンが、2014年の年間チャート「Billboard JAPAN Hot100 Year-End 2014」を公開し、同時にユーザー参加型の"体験型"チャートをサイト上で公開している。

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当チャートは、米ビルボードが半世紀以上に渡り培ってきた計算メソッドを日本版にカスタマイズし、2008年から発表を開始している(※各指標詳細については、本文末の関連記事に詳しいので参照されたい。)。今回のアワードページでは、年間、上・下半期、四半期ごとの結果も公開されており、ユーザー自身がそれぞれ各指標での並び替えや、他の楽曲との比較など、様々な角度からチャートやグラフを生成&ソーシャル共有ができるようになっている。また、チャートとともにミュージシャンやプロデューサー、編集者、シンクタンクなど総勢20名を超える有識者が、この新サービスを実際に使用したコメントを寄せている。

■ ユーザー自身がイヤーエンドチャートを自由に分析

今年の年間チャートは、嵐「GUTS!」が制した。通例なら、ここで他にランクインした楽曲についてコメントを繋げていくところだが、このサービスを使うともっと色々なことが見えてくる。画面上にYouTubeの公式動画が各曲に配置され、興味ある楽曲を即確認、気に入ればパッケージ購入、ダウンロードが可能。また、期間を区切ることが出来るので、下半期のランキングを見てみると、嵐「GUTS!」は32位に留まり、4月28日にリリースされた当曲は、その累積ポイントが牽引してイヤーエンドチャートを制したことが分かる。その一方で、同じ下半期でもルックアップ(=PCでCDを読み込んだ回数)は下半期5位に留まり、レンタルや友人間での貸し借りはリリース後半年以上経てなお活発に行われていることも分かる。

そのまま同曲をクリックすると各週ごとの各指標の順位推移グラフが生成される。下半期の推移に限ってみれば、エアプレイとセールスは下降するものの、ツイートとルックアップは高ランクを維持し、それがHot100ランキングに影響していることが分かる。同時にチャート構成比の円グラフには、ツイートが大きな役割を果たしていることも分かる。

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楽曲比較サービスも使ってみよう。

試みに関ジャニ∞[エイト]「言ったじゃないか」を選んでみる。これは10月27日にリリースされ、セールスでは「GUTS!」を上回り1位を獲得しているが、100位から早々にチャートアウトしている。逆に「GUTS!」がロングセールスであったことがよく分かるグラフだ。そして、両曲ともにルックアップが上位をキープしていることをみると、顧客の顔も見えてくる。

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それでは、年間チャートに戻って、今年の台風の目となった『アナ雪』関連曲を同じように分析してみよう。ダウンロードも合算したセールスでは、松たか子「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」はAKB48「ラブラドール・レトリバー」、に続き2位となり、総合7位。シングルカットされていないので、ルックアップのポイントが無いながらもこのポイントであることは、いかにダウンロードでポイントを積み重ねたかがよく分かる。

そこで、他の関連楽曲と比較するために同曲をクリック、May J.とイディナ・メンゼルの曲を比較選択。3曲ともシングルカットされていないので、ルックアップは圏外で、デジタル・セールスが上位をキープしていることは同じだが、エアプレイとツイッターの推移がそれぞれ異なる。松たか子曲は両指標で高ポイントを獲得しているが、May J.はツイッターでは強いがエアプレイが苦戦、イディナはその逆であることが、週別で各指標を選択できるグラフだとよく分かる。それぞれの指標によってそれぞれの楽曲がどのような顧客層に訴求しているかも読めてくる。

このように、単なる楽曲の羅列ではなく、ユーザー自身が能動的にチャートを可変することで、推している楽曲を深く知ることが出来るのはもちろん、新しい楽曲の興味をもたらす試みとして、様々な発見があるこのサービス、ぜひ沢山の方々に触れて頂きたい。ユーザーそれぞれが多様な体験と共有が出来ることが最大の魅力だ。

■ 時代と共にチャートも変わる

新たな特典商法が次々に発明(?) されるのと反比例するように、人気楽曲指標としての機能を失っているCDシングルランキング。粘着ファンが最大瞬間風速的に大量購入、一時のランキングを賑わせるも、翌週には雲散霧消。といった具合では、一般的な音楽ユーザがCDランキングへの興味関心を失うのは道理と言えよう。販売方法の是非を問うよりも、多様化を反映した複合チャートを楽しんでほしい。いつの時代にも"ヒット曲"は有り、それを端的に表すのがヒット・チャートであるからだ。

ビルボードジャパンは来春を目標に動画閲覧数を合算する準備に入っており、その結果もまたユーザーにとって興味あるものとなることを願ってやまない。その前段として、発表されたイヤーエンドチャートをユーザー自身に実際に"体験"して頂きたい。

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