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ネットで出会った恋人に、「顔を見たら気持ちが変わった」と言われた

2015年07月24日 18時59分 JST | 更新 2016年07月22日 18時12分 JST
cakes

よく、妻と「へんぴんごっこ」をして遊びます。「へんしん」じゃなくて、「へんぴん」です。

妻には、私から一目惚れしました。でも、出会った時のイメージとは違うってこと、もちろんあるわよね。にんげんだもの。ですから妻に対して「あーもー! スキャナーの使い方くらい私に説明させなくても分かる人だと思ってた!!」とかいう時に、「イメージと違うので返品します!!」っていうクレームをつけるのです。妻の前髪を持ち上げて、おでこに実家の住所を書いて。......いや、指で、ですけどね。

牧村朝子(まきむら あさこ)

1987年生まれ。タレント、文筆家。2010年、ミス日本ファイナリスト選出をきっかけに、杉本彩が社長を務める芸能事務所「オフィス彩」に所属。2013年、フランスでの同性婚法制化とともに、かねてより婚約していたフランス人女性と結婚。現在はフランスを拠点に、各種媒体への執筆・出演を続けている。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに"レズビアンって何?"って言われること」。著書『百合のリアル』(星海社新書)、マンガ監修『同居人の美少女がレズビアンだった件』(イースト・プレス)。

Twitter:@makimuuuuuu

もちろん、ほんとにおでこに住所を書いても誰も返品を受け付けてくれません。っていうか、「イメージと違うので返品します!!」っていうのは、基本的に勝手なイメージを持った側の問題なのであって商品自体の問題ではないものね。すんごいフォトショップ詐欺でもしてない限り。

だけど人間、"イメージと違う......"って言われたら、自分に非があるみたいな気がしちゃうこともあるわね。ということで今回は、「ネットで出会った恋人に『顔を見たら気持ちが変わった』と言われた」方からのご投稿をご紹介します。

まきむぅさんのcakesでの連載、いつも見ています。


自分はレズビアンです。


ここしらばく恋愛から遠ざかっていたのですが、ひょんなことから女の子と出会い、その子と両思いになりました。


ネットで知り合った子だったので、その後お互いの顔写真を交換しあったのですが、その後彼女の態度が少し変わって、不安になり聞いてみたら顔を見たことで気持ちが変わってしまったと謝られました。


人の好みという意味でも、その人の外見を見て、気持ちが変わってしまうことは仕方のないことだと思うのですが、自分が相手のことを好きな気持ちが変わっていないせいもあってか、なんで、という思いでいっぱいです。


見た目は相手を好きになるうえで、まきむぅさんはどのくらい重要だと思いますか。そして、見た目がもしダメでも、それをはねのけることはできるでしょうか。

(一部編集の上、掲載させて頂きました)

ご投稿ありがとうございます。

ご投稿者の方はどうも「自分の見た目が相手の好みかどうか」の問題だと思っていらっしゃるみたいだけど、それ、私からしたらね、むしろお相手の方は「見た目から入る恋をしない派」だと思うのよ。

だって、そうじゃなきゃ顔写真を交換する前に両想いになんてならないでしょ?

私はバリバリの面食いですけどね、しかも好きな人の顔を見て「やだ~この人絶対クールに見えて夜は甘えてくるタイプ! イケる~!!!!」とかいって勝手な妄想をふくらませるタイプですけどね、ネットで出会うなら一言目に「写メ交換しよ♡」って言いますよ。だってそうじゃなきゃわかんないもん、相手を好きになれるかどうか。「ネットで写メ交換とか怖い」っていうんだったら、なんとしてでも会ってから気持ちを判断しますよ。

でも、ご投稿者の方もお相手の方もそれをなさらなかったのよね。お互いに顔を見ないまま、両思いになられたと。素敵じゃない。平安貴族みたいじゃない。おふたりとも、そういう恋ができる価値観の方でいらっしゃると思うのよ。人を好きになるにあたって見た目を重視しない、という。

だけど、お相手の方はこう言った。「顔を見たら気持ちが変わった」。そりゃショックよね。しかも好きな人に言われたならなおさらじゃない。このご投稿は数か月前に頂いたものなのだけれど、ご投稿者の方が少しでもショックから立ち直っていることを祈りつつ、続いて考えていきましょう。見た目から入る恋をしないはずのお相手が、なぜそんなことを言ったのか。

それは、お相手の方が「あなた」にじゃなく「イメージ」に恋していたからでしょう。

だからネットでの恋はよくない、悪い人もいるしあぶない、ちゃんとリアルな人間関係で恋をすべきだ............と、ここで話を締めくくる人もいるでしょうね。でも、私はそうしません。

だって、およそすべての恋は、「あなたが好き」じゃなくて「私があなたに持っているイメージが好き」ってことなんだもの。それは、顔を見たことがあるとかないとか、ネットだけじゃなくリアルで会ったことがあるとかないとか、そういうことに関係なく、すべての恋がそうなのよ。

だって、人間ってわかりあえないものじゃない。

私たちはそれぞれに生き、それぞれに変わりつづけている。心や体の変化は、本人にすらコントロールしきれず、それゆえに100%理解しきることは誰にもできず、自己には、他者には、常にわからないことがある。

そこで「だから恐い」と思う人は、解った気になることを選ぶでしょう。「あなたってこういう人よね」「男ってこういうのに弱いわね」「女ならきっと、みんなそうでしょう?」なんて言いながら。そういうふうに世界を見れば、そういうふうに見えてくるもの。自分にとって都合のいいように線を引き、自分の見たい世界を見ることは、とっても心地いいものです。その線の外の世界を放棄することと引き換えに。

それはたぶん、悪いことじゃないの。

悪いことだとしても必要なことなの、それぞれが自分の心を守るために。だけどそこから、私はいつもこう考えたい。「閉じ込もることの方が恐い、外はきっともっと面白い」って。自分自身に対して、好きな人に対して、ある一点でのイメージで立ち止まらずにいたいのです。感じ続けることをやめずにいたいのです。もっと解りたいのです。だって、好きだから。

こうやって「もっと知りたい」と歩き続けることを、私は愛と呼びます。「こういう人なんだって知ってる、だから好きなの」と自分にとって心地いいところで立ち止まることを、私は恋と呼びます。

もしご投稿者の方が、今でもまだ彼女のことをもっと知りたいと思うなら、その愛を大切になさったらいいんじゃないかしら。人って、自分の話を聞いてくれる人が好きなのよ。私だってこの文章をここまで読んでくださるあなたのことが大好きだもの。もともとお相手は見た目から入る恋をしない方みたいだし、彼女を知ることを続ければ、それは立派な愛に育っていくと思いますよ。それがたとえいわゆる恋愛でも、そうでなくても。

そしてそういう積み重ねがまた、人を変えていくことになるのよ――見た目も含めて、ね。心も顔も、すべては変わりゆくものです。「イメージと違った!」ってことはままあることですが、そこからまた変わりつづけていくなにもかもを、どうぞ大切に愛してくださいね。

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