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パリジェンヌがスレンダーな、ほんとうの理由

2015年07月06日 22時39分 JST | 更新 2016年07月06日 18時12分 JST
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粗食なだけで痩せられるの?

先日、パリジェンヌがスレンダーな理由という記事を読みました。

その理由は一言でいうと「粗食」にあるのではないかと思います。パリジェンヌが日常摂っている質素な食事が結果的にほどよいダイエットになっているのではないか、というのが私の推論です。


まずパリにはレストランが少ない。きちんと調べて予約をしていけばもっとあるのかもしれませんが、ただ街を歩いているだけでは探すのに苦労するくらい少ないという印象です。逆に「犬も歩けば」と思うほど多いのがパリ名物のカフェ。1杯のコーヒーやグラスワインを片手に、何時間もおしゃべりに興じているにもかかわらず、食事をしている人はほとんどみかけません。


そのわけは、とにかく外食費が高い、ということでしょう。以前パリに住んでいた友人が連れていってくれたレストランの料理は同じような東京のレストランと比べ1.5倍から2倍ほどの値段で驚きました。彼女によると、パリの一般人は記念日やお祝いを除き、普段は節約のため外食はほとんどしないとか。


(略)


料理に手間をかけたり外食に贅沢をしたりするのは特別な楽しみにとっておき、日常はできるだけ負担をかけずに仕事も生活も楽しむのがパリジェンヌ風。おまけに苦しいダイエットもせずにスレンダーなボディをキープできるのなら、まさに合理主義の国フランスらしいライフスタイルといえるでしょう。

たしかにパリジェンヌは瘦せているわけですが、ただし激瘦せというわけでもありません。

Eurostatの統計によると、欧州一のヤセ女性はルーマニアで肥満の人は8.0%、次がイタリアで9.3%、第3位はブルガリアで11.3%。そしてフランスは第4位で12.7%です。一方、イギリス女性は欧州一の肥満で、なんと23.9%が肥満です。

しかしながら、ヤセが多いはずのフランスでも日本に比べたら肥満の人ばかりであります。日本の場合2010年の時点で肥満は成人全体のたった3.5%、フランスは12.9%、イギリスは24.8%です。(http://www.noo.org.uk/NOO_about_obesity/adult_obesity/international

前述の記事ではフランス女性は外食の頻度が少なく、食べている物が質素なので瘦せているのだという指摘がありましたが、う~ん、重要な点が抜けているなと思いました。

May_Roma(めい ろま)

神奈川県生まれ。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関情報通信官などを経てロンドン在住。専門分野はITサービス管理、プロセス改善、 ITガバナンス、通信業界市場調査。シラキュース大学国際関係論修士および情報管理学修士。趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、漫画、料理。著作に『ノマドと社畜』(朝日出版社)、『日本が世界一貧しい国である件について』(祥伝社)、『日本に殺されず幸せに生きる方法』(あさ出版)、『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)。海外居住経験、職業経験に基づく深い知見をもとに、@May_Romaとして舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

Twitter:@May_Roma

食生活の質素さでいったら、肥満の欧州一のイギリスの方が勝っています。なにせ以前のコラムでご紹介したように、朝はシリアルかコーヒーかトーストだけ、昼はオフィスのデスクで残り物のパスタをタッパにつめたのをレンジでチン、夜はスーパーで買って来たお惣菜パックをチンして終わり。病院に入院すると朝食はトースト2枚にジャムとマーガリンだけ(ホントにそれだけ)。外食は高いのでしない。外で食べるのは持ち帰りのフィッシュアンドチップスに中華ぐらいです。

さらに、フランスもイギリスもイタリアも、お金がある人々はわりと外食の頻度が高い。高いけど金持ちほど肥満度は低いわけです。貧困になればなるほど肥満度が上昇します。ですから外食しないから瘦せてる、は違いますね。

「ピアプレッシャー」とは

フランスと同じく、欧州においては肥満度が低いイタリアに住んでいたのでわかりますが、問題は食べている物が質素かどうかと、外食頻度が少ないかどうかではありません。ポイントは、「ピアプレッシャー」であります。「ピアプレッシャー」とは日本語でいえば「同調圧力」ですね。周囲から「同じようにしろ」「お前はこうじゃないといけない」という風にかかる圧力。他人を観察する社会はピアプレッシャーが強いと言えます。

イタリアやフランスは同調圧力が案外強い社会です。女性の服装や髪型について周囲はあれこれいい、「あいつはこうだ」とわりと人の悪口を延々と喋っている。みんなでつるんで行事をやったり、合唱したりするのが案外大好きであります。これは、イタリアとフランスのテレビを見ているとよくわかります。芸能人や有名人が大量に登場して皆で合唱したり踊るという「村の祭り」みたいな番組が多いわけです(うん、なんだか日本みたい)。周囲のことを気にするので、髪型、服、車、バイク、にはかなり気を使います(ただし気を使うポイントは日本と違う)。美しくなければ人にあらず、という圧力があります。だからカッコイイ男女がいるわけです。

一方イギリスでは他人はどうでもいい、と思っている人が多く、服も車もバイクも髪型もあまり気を使わないのであります。男性は整髪料を使うことが「かっこわるい」とするバンカラな人が結構います。女性はビーチサンダルにスーツと言う微妙な格好で通勤し、ブリティッシュエアウェイズに乗れば寝癖がついたままの客室乗務員が怒りながら接客。オフィスでは昼には周囲をガン無視し、机でサンドイッチを作って食べている人がおり、休日はびりびりに破れたジーンズにドロドロの長靴という格好でデパートにやってくる人がいるわけです。

こういう風に人に気を使わないので、イギリス女性は肥満ばかり。イギリス男性はスレンダーなフランスやイタリア女性に走るわけです。しかし、これはイギリスにはブラックサバス(※)がいて、フランスとイタリアにはいないこととも関係がありますね。他人を気にしていたら世間をあっと言わせるようなことはできないので。日本にヤセが多いのも、食生活だけが原因なのではなく、同調圧力が強いこと関係があるのでしょう。

※世界的に有名なイギリスのヘヴィーメタルバンド

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