26歳でサイバーエージェント子会社社長になった男が考える「20代で失敗する意味」

2016年01月25日 00時02分 JST | 更新 2016年01月25日 00時18分 JST
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20代の働き方とは?サイバーエージェントのグループ子会社・渋谷クリップクリエイト社長の桑野俊一さんにインタビュー。当初から高い成果を出し、入社5年目の2014年で社長になったという桑野さん。順風に見える20代で成功体験以上に失敗を重ねてきたという彼のキャリアに迫りました。


CAグループ20代社長のキャリアとは?

サイバーエージェントといえば、大型の企業買収をすることなく、自社内で様々な新規事業を育て成長を続ける国内を代表するIT企業。創業以来60社以上の新会社や子会社を立ち上げている。

直近3年以内に設立されたグループ会社は80%近く存続しているという成功率の高さも注目に値するが、グループ会社を率いる若手経営者自身のキャリア、苦悩、そして成功にフォーカスを当ててみたい。

今回お話を伺ったのはサイバーエージェント入社6年目、《渋谷クリップクリエイト》代表の桑野さん。2014年、サイバーエージェントグループの中でもいち早く動画事業を立ち上げたが、その道程は決して平坦ではなかったという。

1年目からの成功体験、自身の成長実感の薄れ、子会社社長就任と外れるビジネスモデル、掘り続ける赤字...

苦悩の時期、複数回の事業モデルのピボットを経て、現在は成長軌道に乗った渋谷クリップクリエイトを支える桑野さんにとっての20代キャリアとは?

【Profile】

桑野俊一 Shun-ichi Kuwano (渋谷クリップクリエイト 代表取締役社長)

2010年サイバーエージェントに新卒入社。内定者時代から社長室にて恋愛シュミレーションゲームの制作に携わるもリリース直後にクローズ。入社後は様々なゲームのプロデュースに携わり、入社初年度には新人賞を受賞。その後も数十のゲームタイトルに関わり、ガールフレンド(仮)などのゲーム事業の責任者に。同社の飛躍的な業績向上に貢献。2014年7月、渋谷クリップクリエイトの設立に合わせて同社代表に就任。


順風満帆なスタート、事業と個人間の成長実感ギャップ

― 桑野さんのご経歴から伺えますか?

サイバーエージェント入社6年目の28歳です。現在は渋谷クリップクリエイト(以下渋クリ)の代表を務めています。当時はまだ少なかったプロデューサー職を希望して新卒入社してから、ゲーム事業などを担当してきました。

新卒1年目はAmebaのPCブラウザゲーム事業への配属でした。ユーザー数は右肩上がり、そしていまほど熾烈な事業環境ではなかったので、きちんと考えて行動に移せば高い成果が出るタイミングだったのだと思います。期末のグループ総会では、100人近い同期の中から新人賞をいただきました。それが最初のキャリアですね。2年目以降はリーダー、マネージャーとして、15タイトルくらいのスマホゲームに関わってきました。

― 順風満帆な、絶好のスタートを切ったキャリアですね。

能力以上の評価をもらった面も多分にあると思います(笑)。事業がどんどん伸びていたので、任される仕事の幅もあわせて大きくなっていき、4年目くらいまでは個人的にも成長実感をしっかり持てていました。

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― 渋谷クリの設立に合わせて社長に就任されるのは入社5年目。任されていた事業も好調の中、なぜ新しいチャレンジをしようと?

当時は50-80人のメンバーのマネジメントを担っていました。スマートフォンブラウザゲームを手掛ける組織だったのですが、個人的には担当しているサービスの成長と自分自身の成長がなかなかリンクしなくなってきた、成長実感を得づらくなっていたんです。

― ちょっと踊り場に来てる感覚、天井にぶち当たった感じがあったと。

そうですね。悶々としている時期が1年くらい続いていました。いま振り返ると結局はまだまだ子ども、自分本位の考えだったんだと思います。自分の成果とか自分の成長につなげたい思いが強すぎて。

そんな時に、社長の藤田が「動画事業に本腰を入れようと思う。興味がある人いる?」と、SNSに投稿したのを見つけたんです。もともとエンターテイメントや動画メディアに強い興味がありましたし、「これは手を上げるしかない」と、すぐさま私信でメッセージを送り、4日後には任せてもらえる事になりました。


イケドンの既存事業から失敗続きの新規事業へ

― 渋クリは設立当初から社外取締役に放送作家の鈴木おさむさんを迎えるなど、かなり期待されての船出だったと思います。しかし、現実はそう甘くなかったみたいですね。

もともと渋クリは、いわゆるネット上で拡散させるようなバイラル動画を企画制作する受託モデルで創業しました。しかし、半年くらいかけてもなかなか事業が軌道に乗らず、赤字を掘り続ける日々でした。

ただその原因も、ビジネスモデルや市場にあるのではなく自分自身にあったんですよね。アドバイスをもらっていたサイバーエージェント本体の役員陣が事業に対する答えを必ず持ってるんじゃないか、相談する相手が答えを出してくれるんじゃないかっていう淡い期待と甘えがあった。「藤田や鈴木おさむさんのアイデアを実行すればいい」という感覚から抜けだせずにいたんです。そこがリーダー、マネージャーと経営者の決定的な違いというか。主体性や覚悟が全く足りていなかった。一番の反省点です。

そこから、自社でYouTuberを育成する事業モデルなどを試してすぐやめたり...。2度の事業転換を経て、渋クリはクライアントへ企画提案し、ネットワーキング化した動画クリエイターの皆さんとプロモーション動画を企画制作するビジネスモデルに行き着きました。昨年夏頃には単月黒字を達成し、現在は右肩上がりで成長を続けています。

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― かなりグループ内でも期待度が高かったと思うのですが、停滞期を経て雰囲気はガラッと変わりましたか?

まさに(苦笑)。僕の勘違いかもしれませんが「腫れ物」的な見られ方をした時期もありました。でも結果が全て。停滞期に社内外からうけるネガティブな反応は当然だったと思います。

しかし2015年の秋に実施された総会でベストスタートアップ賞を頂いたのをきっかけに、渋クリへの「不安」が「期待」に大きく変わったように感じます。

子会社の役割について、社内の先輩経営者からのアドバイスで意識しているのは「弓を引ききる」こと。たとえば「成果」が的としてあった際、中途半端に引いて的の外れに当たるより、弓がはち切れるぐらいまで引いて大外れするかど真ん中打ち抜くかっていうチャレンジをすべきだと。2016年はグループ全社で「動画領域」を攻めていく年です。渋クリはそれを牽引する存在になりたいと思っています。


30代で一勝負できるスタートラインに立った

― 自分自身の成長実感という点ではいかがでしょう?

不思議なことにこの1年半自分自身の成長っていうのは1度も考えたことないんです。もうそんなことはどうでもよくなりました。会社、事業とメンバーの成長が全て。自分が経営者であるとか、経営者としての成長とか、自分自身のキャリアをどうするかというのは考えもしないです。

― 20代のうちに、メンバーレベルからリーダー、事業責任者、さらにはグループ会社社長まで経験できるのはWEB・IT業界ならではのキャリアの歩み方だと思います。

なんといってもチャレンジできる数と変化の速さが魅力だと思います。私の場合、運もあって最初は順風満帆でしたが、成功体験以上にめちゃくちゃ失敗を重ねてきました。

メンバー、リーダー、管理職、経営者、それぞれの立場で感じること、見える景色は全く違います。

私自身のキャリア云々というより、20代後半でやっと30代で一勝負できるスタートラインに立てたかなと思っています。なんだか2016年から30代になるみたいになっちゃいましたけど、私はまだ20代ですけどね(笑)

― 桑野さんのご経歴はWEB業界で働く若手にとって、とても示唆に富んでいるのではないかと思います。ありがとうございました!


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