PRESENTED BY エン・ジャパン

週末は電子工作に没頭。ウェブ業界で働く私たちが、リアルなものづくりを続ける理由

これで最後にしようって本当は毎回思ってるんですけど、それでもまたつくりたくなっちゃうんですよね(笑)
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電子工作をメインに制作活動をする謎のクリエイターラボ『Panon Public』とは!?彼らの正体はデジハリの在校生と卒業生たち。毎週日曜の夜に、プライベートでも本気でモノづくりに打ち込んでいる。情熱を枯らさず「ものづくり」に取り組む彼らの活動に迫った。

電子工作を愛する、クリエイターラボ『Panon Public』

休日、インスタレーションや電子工作に情熱を注ぐ、謎のクリエイター集団がいる。

彼らの正体は、デジタルハリウッドでWebデザインの講師をしている米倉明男先生と、その教え子たち。電子工作の授業での作品づくりをきっかけに、卒業後も『Panon Public』という名前で共に活動。メンバーたちはWeb制作やデザインを本業としている20代後半~30代前半が中心だ。1~2週間に1回の頻度で集まり、17時から遅いときには23時まで制作に打ち込む。

趣味レベルを超えた彼らの作品は注目を集めている。dotFes 2016やMaker Faire TOKYO 2016にも出展し、話題となった。

直近では、『loop(ループ)』という音で遊べる積み木のおもちゃを制作。子どもから大人まで楽しく電子工作に触れることができる。

音で遊べる積み木のおもちゃ『loop(ループ)』。カラフルな積み木を並べ替えると、カンタンに曲をつくれる不思議なシンセサイザー。

プライベートの時間で、本気でものづくり。

しかし、彼らのようにプライベートワークをすることに興味はあっても、掛かる時間やコストからハードルを感じたり、モチベーションの維持が難しいと感じる人もいるかもしれない。そんな疑問を解消できないか、Panon Publicで今回中心メンバーとなった米倉明男さん、富川蕗子さん、鎌田直美さんを取材した。

左:制作メンバーでARCHETYPに所属しているWebデザイナーの鎌田直美さん

中央:制作メンバーでSINAPに所属するデザイナーの富川蕗子さん

右:デジハリで講師を勤めながら、WebデザインやアプリUIの制作をしている米倉明男さん

普段の仕事ではできない領域に、チャレンジする

鎌田直美さん

― チームのみなさん、本業だとWebの方が多いですよね。電子工作というと、少しジャンルが違うような。活動スタートのきっかけは何だったのでしょうか?

米倉:

卒業生のほとんどはWeb関連の会社に就職しているのですが、Webだけじゃなくてリアルな空間をつかったモノづくりをやってみたい、と話をしていたんですよね。たとえば、プロジェクターで投影してみたいとか、センサーで自分たちが作ったコンテンツで遊んでもらいたいとか。

3〜4年ぐらい前から、みんなの関心がWebだけの枠に収まらなくなってきて。僕の授業の中で、インスタレーションの制作を取り入れたことをきっかけにハマったメンバーが集まって、いつのまにか活動がスタートしていました。

富川:

自然とメンバーが集まっていましたよね。私の場合は、自分自身が参加できる作品をつくってみたかったんです。Webサイトを閲覧するだけでなく、空間を活かした「リアルな体験」をつくることに興味がありました。

米倉:

プロダクトをつくって、dotFesなどのイベントに出展すると、お客さんのリアクションを目の前で見れるので楽しかったりもして。WebサイトやアプリのUIの制作もおもしろいですが、ユーザーのリアルな反応をその場でみることはできないですからね。

鎌田:

子どもに実際遊んでもらったとき、制作物をドンって叩いて「あ、壊れた・・・」みたいな想定外のことが目の前でたくさん起こるんです(笑) 遊んでくれた人が、笑顔になって帰っていくのを見れるのがこんなにもうれしいんだと知りました。

米倉明男さん

― Panon Publicの作品として「モノ」もかなり作ってきたんですか?

米倉:

じつは、今回制作した「loop」がはじめてのプロダクトなんですよ。そもそもプロダクトの設計や、レーザーカッターのことも分からなかったので、スチレンボードやダンボールで何度もモックをつくったり、四苦八苦、紆余曲折でした・・・(笑)

鎌田:

手を動かしながら学んでいって。わたしは気づいたら「はんだ付け」が特技になっちゃいました(笑)

富川:

わたしは木箱を角丸にする技術がわからなくて。 原宿にあるFabショップに通いつめて教えてもらってました。

富川蕗子さん

― 失礼かもしれませんが、はんだ付けや木材加工の技術は、本業だと活かせる機会は少なそうですね(笑)

富川:

たしかに(笑) ただ、Panon Publicで経験したことって、会社で活かせることも意外に多くて。たとえば、他のメンバーの仕事の進め方などを見ることができるので、とても勉強になるんです。

子ども向けに電子工作のワークショップも実施している。

鎌田:

仕事ではなかなか取り組めない領域に、Panon Pulbicではチャレンジしているかも。自分たちがつくりたいものを自由に発想して、子どもとかにいろいろ遊んでもらうのは、クライアントワークの仕事ではなかなかできないことなので。

電子工作やインスタレーションに触れられたことで、普段仕事で関わっているクライアントに対しても、Webに限らずIoTを含めた幅広いお話ができるようになりました。

つくった作品が『こういうことやってきました』という、ポートフォリオにもなるので、今後のキャリアの広がりにもつながると思っています。

切磋琢磨できる仲間と本気でモノづくりを楽しむ場所

活動は、デジタルハリウッド東京内にある広場で制作活動を行っている。

― プライベートワークが自身のキャリアを広げていくとはいえ、仕事との両立をしていくのは大変じゃないですか?

富川:

正直、大変なときもあります・・・。これで最後にしようって本当は毎回思ってるんですけど、それでもまたつくりたくなっちゃうんですよね(笑)出展するイベントに向けて、気心知れた仲間と一緒にやるのが楽しいです。

― 作品も趣味のレベルを超えたクオリティですよね。

米倉:

みんな本業はクリエイターなので妥協はしないですね。技術的にこれ以上は無理とか、お金的にこれ以上は出せないというところもありますが、プロとしての線引きはメンバーそれぞれにあると思いますね。

鎌田:

先生も言っていたプロ意識にも重なりますが、メンバーの大事にしていることやこだわりをお互いにリスペクトしていますね。もともと米倉先生の授業で一緒になったメンバーなので信頼関係もありますし、それぞれが得意なことを理解できているんです。そうした関係の中で、話し合いを重ねられたから、途中で空中分解せずに納得のいく作品づくりができたのかなと思います。

他の環境で働いているメンバーと一緒にモノづくりしていると、それぞれが普段の仕事のなかでどんなやり方をしているのか見えてくるのも面白いですね。 考え方や意見が違っても、その場その場で言って、判断して、作っていくっていく。Panon Publicは、自分たちが作りたいものを仲間と切磋琢磨してできる、私にとってかなり大事な場所になっています。

米倉:

たしかに"ラボ"みたいな感じですね。僕が特になにか教えているわけでもなくて、それぞれが自分が好きなもの作ってお互いに見せ合ってフィードバックし合ったり、こんなのあるよと情報共有したり。

Web・IT業界は人が流動的なので、卒業生は転職したり独立したりして所属が変わっていくけれど、Panon Publicは授業で出会ったみんなが帰ってこれる場所にしたいですし、卒業生と在校生が一緒にものづくりをできる場所にしたいですね。

授業を受けていた頃から、みんなと対話しながら一緒にモノづくりしていたので、もちろん僕が言った意見が正解ではないし、結構みんな意見言ってくれます。

鎌田:

たしかに、先生はすごくフラットです。それに、メンバーの中で、先生一番働いてますよね。

米倉:

昨日は、制作につかうワイヤーが切れて、六角レンチ買うために秋葉原まで走りましたよ。生徒たちにこき使われてるんです。

富川:

そんなことないですよ!(笑)

― (笑) 卒業しても、それぞれの環境で働く仲間が集まって、一緒に本気でモノづくりできるって、本当に素敵な関係ですね。みなさんのお話を伺うなかで、仕事とプライベートの境界線を曖昧にしていくこと。それは、人生を切り拓いていくひとつの選択肢になるのだと思いました。本日は素敵なお話をありがとうございました!

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