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「私たちにしかできない課題解決がある」DeNAのデザイナーは、職種の壁をぶち破る

「デザイン」の捉え方が多様化している昨今。これからのデザイナーの役割とはどのように変化するのだろうか。DeNAのデザイン戦略室 室長である上田龍門さんの考えに迫った。
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「デザイン」の捉え方が多様化している昨今。これからのデザイナーの役割とはどのように変化するのだろうか。約90名のクリエイターが所属しているDeNAのデザイン戦略室。その室長である上田龍門さんの考えに迫った。

DeNAデザイン戦略室 室長 上田龍門とは?

デザイナーの仕事はグラフィック制作や情報の設計だけではなくなっている。

そんな話をよく聞くようになった。Webの世界でもプロトタイピングや実装を行うなど、彼らが力を発揮する領域は広がっているといえるだろう。「デザイン」の捉え方が多様化しているなか、サービスにおけるデザイナーが担う領域はどう変化していくのか。その答えを探るべく、株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)のデザイン戦略室を訪ねた。

DeNAのデザイン戦略室に所属しているのは約90名のクリエイター。彼らを統括するのが上田龍門さんだ。上田さんのキャリアはとてもユニークである。もともと料理人をしていた彼は、21歳のときに和歌山から上京。横浜の創作和食レストランで料理人として働いていた。

料理人をずっとやっていきたいわけではなく、WEBやデザインの仕事に憧れを抱いていました。

こう話す彼がWebの世界へ踏み込んだキッカケは、友人のバンドのWebサイトを作ったこと。独学でWeb制作をしているうちに、その面白さにハマり、27歳のとき、ECサイトの運営をしている会社にバイトとして入社。バナー制作からデザイナーとしてのキャリアをスタートし、少人数のスタートアップを経て、DeNAに入社という経歴の持ち主だ。

Mobageのプラットフォーム運用、comm(現在はサービス提供終了)、ゲーム、新規事業、さまざまなセクションでの経験を経て、約90名のクリエイター組織のトップへ。そんな上田さんに「これからのサービスにおけるデザイナーに求められること」「優秀なデザイナー」について伺った。

<プロフィール>

株式会社ディー・エヌ・エー デザイン戦略室 室長/上田龍門

2012年、フロントエンドエンジニアとして中途入社。Mobageプラットフォーム運用、comm、ゲーム及び新規事業のプロモーション、ゲームのクリエイティブマネージャーを経験。現在はデザイン戦略室 室長。

「デザイン共通クリエイティブ」という横断的な組織として

DeNAデザイン戦略室 室長/上田龍門 氏

― 90名も所属されているとのことで、デザイン戦略室はかなりの大所帯ですね。歴史は深いのですか?

実は、この組織ができてからまだ3年しか経っていないんですよ。私が入社したころは、規模の大きなデザイン組織自体存在していませんでした。少し私のお話をすると、Mobageのフロントエンドエンジニアとして動きつつ、commというサービスも手掛けるようになって。それがひと段落ついたくらいのタイミングに「デザイン共通クリエイティブ」っていう横断的な組織ができたんです。それが、デザイン戦略室になったというカタチですね。

― そもそも、なぜデザイン戦略室ができたのでしょうか?

デザインに対する考え方を浸透させるためにも、デザイン戦略室というひとつの組織にする必要がありました。というのも、デザインという言葉の意味はとても抽象的ですが、DeNAという組織においてはサービスをスケールさせていくための手段です。そのために、デザイナーが企画から携わって、ターゲットにアプローチするためにはどんなデザインが有効なのか、ユーザーに積ませたい経験まで設計して、きちんとプロダクトをデザインしていく必要があります。

ほかにも、ユーザーの声を聞くためのイベントを開催したら、その会場まできちんと設計するとか。オフラインのデザインもとても重要だと思っています。そういった感覚を持たないと、より多くのユーザーに求められるサービスは作れません。

デザイナーは"何を”デザインすべきか?

― なぜ「デザイン」がより重視されるようになってきたのでしょうか。

これだけ世の中に多くのサービスがあふれているなかで、デザインにおける可能性ってすごく大きくなっていると思うんです。たとえば機能や技術での差別化がむずかしくなった時、デザインにおける差別化が求められていくかもしれません。

― そういった時、デザイナーが果たす役割はどう変化していくと思いますか?

何を解決するためのサービスか?ここを理解した上でのデザインが求められていくと思います。よりよいアウトプットに共通しているのは、企画の段階から入っているということ。デザイナー自身、「もっと早い段階からサービスの企画に携わらなきゃダメだ」と気づくタイミングがあって。そういった意味ではただ画面上に絵を落とせるだけでは、数年後通用しなくなっているかもしれません。

企画の段階から携わったり、UXを設計したり、デバイスにとらわれず、デザインの概念を自ら拡張していく。テクノロジーはどんどん進化していますし、柔軟性も重要になってくるはずです。

デザイナーはもちろん、さまざまな職種でその感覚は大切で。フロントエンドエンジニアにしても、本当に優秀な人は目的を達成しようとします。技術ありきでは考えないんですよね。どうしたらその目的が達成できるのか、それならこの技術が必要だと考える。そこから新しい技術をどんどん習得してしまいます。

― たとえば、デザイナーが領域をこえて活躍された事例などありますか?

MERYのPRもひとつの例ですね。リアルとWEBを連動させたハロウィンコーディネートを提案するキャンペーンでは、想定していた以上にLOVE数(MERY内お気に入りボタン)が集まりました。ラフォーレのショップ店員さんに着てもらい、記事で紹介したところ評判が良く、ラフォーレ館内のディスプレイも、写真を撮ってインスタにアップしてくれる人がたくさんいました。

ラフォーレ原宿館内に設置されたクリエイティブ

デザイン戦略室の山本麻友美氏が設計・デザイン

MERYとハロウィンの両方の雰囲気を感じ取ってもらえて、かつディスプレイでもポスターでも統一して使えるエレメントとして、MERYのピンクとハロウィンの紫のグラデーションをクリエイティブのベースに使うなど工夫もしました。

この事例から感じたことでもあるのですが、もうひとつ、デザイナーにとって大切な資質は「その人なりのバックグラウンド」があること。いままで触れてきた映画だったり、音楽だったり、本だったりがプラスアルファになる。私であれば「料理」がそこにあるのかもしれませんね。最終的な「言語化できない感覚的な良さ」はそういったところに滲み出るものかもしれません。

デザイナーにしかできない課題解決がある

― 最後に、上田さんが思う優秀なデザイナーについて教えて下さい。

サービスをどれだけ良いものにできるか、追求していける人だと思います。もちろん、目的を画像や絵など目に見える形に落とし込んでいくことがデザイナーにおける役割のひとつ。同時に、問題を洗い出し、解決策を出して、どういうアプローチをするか?ここを考えてからカタチにしなくてはいけません。そうすると必然的に「領域を限定しない」ということになる。「自分はデザイナーだから企画には携わりません」といった人では話にならないわけです。

最近では、デザイン戦略室のプレゼンスがDeNA社内でも高まってきています。ビジネスサイドの人たちからの理解も深まりつつあり、それはデザイナーたちが領域に関わらず活躍しているからでもあって。そんな彼らをいかに導くかが僕の仕事だと思っています。今後もプロダクトを強くしていくことにこだわり、デザイン戦略室として成功事例をどんどん増やしていきたいですね。

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