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「イクメン」なんて言葉はない方がいい?パパ社員の新しい働き方とは

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子育て・仕事・社会活動、この3つのバランスをとりながら働くというのはどういうことなのか。その実践者たちと共に「新しいパパ社員たちの働き方」を考えるセミナーに参加。その様子をお届けします。


「イクメン」を再考する


「イクメン」という言葉にどのようなイメージがあるだろう。世の中の男性たちが育児に積極的になるのはいいこと。ただ、「イクメン」という言葉には、「男性の育児参加が不自然だからこそ生まれた言葉」という捉え方もできる。どのように「イクメン」を語っていくか、どう捉えていくのか。

今回のセミナーは、ソーシャル経済ニュース「NewsPicks」と企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」を提供する株式会社ユーザベースで、CSR活動の一環として、「多様な働き方について考えていこう」という目的のもと、「多様な働き方セミナー:イクメン・イクボス」というテーマで開催された。

パネラーは2名で、1人目は鹿子木亨紀(かのこぎ みちのり)さん。資産運用会社で働くファンドマネージャーであり、父親の育児支援を行うNPO法人「Fathering Japan」でも活動。もう1人のパネラーは眞鍋裕亮(まなべ ゆうすけ)さん。ベンチャーキャピタリスト/アナリストとして働きながらこどもの貧困削減を目指すNPO法人「Living in Peace こどもプロジェクト」でも活動している。

お二人はなぜ「子育て支援」や「子どもの貧困問題」に取り組むNPO活動を行うのか。そして仕事と子育て・家族のバランスをどう考えているのか。セミナーを通じて見えてきたのは「これからの働き方」のヒントだった。


ライフ・ワーク・ソーシャル、この3つを踏まえて働く時代へ


セミナーはそれぞれの自己紹介からスタート。鹿子木亨紀さんは京都出身の42歳。6歳の男の子を育てるパパだ。資産運用会社にてファンドマネージャーとして働きつつ父親をテーマにしたNPO活動も行っている。

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鹿子木亨紀さん

私が参加している「Fathering Japan」はイクメン・イクボスをテーマにしているNPO法人です。企業向けに研修をしたり、本を出したり。参加者は全国に400人ほど。その他にも人形町で「日本橋パパの会」という会を主催しています。4年半前ぐらいに立ち上げて会員は150人ほど。近所のパパ友と一緒にいろいろ活動しているんですけど、最近では子どもにプログラミングを教えるような取り組みもしています(鹿子木さん)

続いて自己紹介をしてくれたのが眞鍋裕亮さん。現在、38歳で2歳の女の子、0歳の男の子を持つパパ。「家庭がしっかりしていないといい仕事はできない」と語る眞鍋さん。人生における優先順位としても「ライフ」、そして「ワーク」だという。

同時に「残念だけれど現代は、ライフとワークだけでは未来の社会にバリューを残していけなくなっている」とソーシャルな活動にもチカラを入れている。


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眞鍋裕亮さん

人生において「ライフ」と「ワーク」のバランスだけではなく、「ソーシャル」な活動を加えていくことがここ数年で一般的になるんじゃないかと考えています。私の場合だと、認定NPO法人Living in Peaceに参加しており、児童養護施設やそこにいる子どもたちを支援する活動をしています。Living in Peaceがユニークなのは全員が本業を持ちながら参加するプロボノ(※)であるということ。ですので、人件費もゼロですし、固定のオフィス費用もない。非常に安いコストで運営できる。またクラウドファンディングや資金レバレッジなど金融の仕組を用いたり、SkypeやSlackを利用したり、メンバーのスキマ時間を束ねてリソースを捻出していて。現役のビジネスマンや学生が社会的に連携することで効率的かつスピーディーに子どもの貧困を解消していこうという取り組みです(眞鍋さん)

(※)プロボノとはそれぞれの分野における専門家が自身の知識・スキルや経験を活かして社会貢献する活動、またその人たちを指す。


「イクメン」という言葉を無くすための活動


家族、仕事、そしてNPOの活動とそれぞれの顔を持つお二人。今回の「イクメン」というテーマにあたって、お二人の「イクメン」という言葉に対する見解が語られた。

いまの日本で「イクメン」っていう言葉があるのは「男性の育児参加が不自然だから」なのかなと思っています。よくよく考えたら父親が自分の子どもを育てるって当然のことですよね。子育てが特別な社会っておかしいだろう、と。だから願いとしてはFathering Japanの活動もそうですが「イクメン」っていう言葉がなくなればいいなと思っています(鹿子木さん)

眞鍋さんは鹿子木さんの話を受けてこう続ける。

僕自身も「イクメンになったきっかけ」みたいなことは考えたことがないんですよね。本日こういうテーマで声をかけていただいて、じつは違和感もあって。奥さんに「おれイクメンって言っていいのかな?」と確認したら「あなたは世間的に言われているイクメンだと思うよ」と言ってもらえたので「ああそうなんだ、じゃあ話してみるか」という感覚で(眞鍋さん)

話は「イクメン」というキーワードをどう扱っていくのかという部分に。眞鍋さんは「マーケティング的な要素がある」と語る。

ベンチャーキャピタリスト的な発想だと「イクメン」という言葉はマーケティング戦略ですよね。世の中に使いやすく、ニュースにしやすくしてあげる。そして定着を狙っていく。イノベーターやアーリーアダプターからマジョリティに持っていくために「イクメン」という言葉を使うというか。ですので、将来的にはもちろん消えてほしいですが、逆に今は拡散させるフェーズかもしれません。もしかしたらぼく自身ちょっとイクメンアピールが足りないのかも。イクメンという言葉を消すために「俺、イクメンこんなにやってるぜ。格好いいだろ」ぐらいやらなきゃいけないのかな、そう思うようになって前へ出るようになりました(眞鍋さん)


「イクメン」はやればやるほどハードルが上がる!?


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続いては「夫婦でどう育児と仕事を考えていくか?」という部分。特に共働き夫婦に言及。鹿子木さんが参加するFathering Japanの著書『新しいパパの働き方』のなかで言及されている「共働きママが持つ不満レベル」について紹介された。

レベル1「私も働いているのになんで育児も家事も私だけなの」
これは何もしないパパに持たれる不満かと思います(鹿子木さん)

レベル2「イクメンっていうのは育児だけ、家事は結局私だけ」
これもありがちで「休みの日に子どもを公園に連れてってイクメン面すんな」みたいなことですね(鹿子木さん)

レベル3「夜の予定を勝手に入れるのやめてよ。私はあなたの予定を聞かないと夜の予定を入れられないのに不公平だわ」
コミュニケーション取ってからやりなさいよという話ですね(鹿子木さん)

レベル4「朝の保育園の送りだけでお役御免のつもり?夕方の迎えもやってよ」
まあ朝だとポンッて預けて会社に行くだけで済むから楽なんですけど、やっぱ夜迎えに行くとなると仕事終わらせて行かなきゃいけない。パートナーがいなかったらそこから子ども連れて帰ってご飯作って食べさせて、お風呂に入れて、歯磨かせて、寝かしつけまでやらなきゃいけないわけで。そこまでちゃんとできる覚悟を持ってやらなきゃいけない(鹿子木さん)

レベル5「子どもの病気は結局私だけで対応するの?有給が減るのは私だけ?」
まあ病児保育とかそういうのもありますけど、なんだかんだ熱出しちゃった時ってママが休むことになるのが多い。共働き夫婦における「真のイクメン」ならば、ママだってどうしても会社へ行かなきゃいけないことがあるし、病児保育が手配できない時は夫もそれに対応できるフレキシビリティーが必要だろう(鹿子木さん)

こう見ると「イクメン」はやればやるほど要求レベルがどんどん上がる一方にも見える。そのなかで鹿子木さんは「子育てに聖域を設けないことが大事。共働き夫婦の場合、ママにもキャリアがあるのだからそのキャリアを尊重すること。そして自分の仕事もフレキシブルに対応できるよう努力が必要」という考え方だという。

それを受けて眞鍋さんは子育てをチーム戦に例えた。

次の担い手である子どもを大人に育てていく、その大目標のために夫婦という"チーム"でやっていくという考え方ですね。どう役割を決めるか。時間やお金などのリソースをどう配分してうまくやっていくか。サッカーで言えば個人の強み/弱みによってFWやGKなどのポジションを決めつつ、試合の流れに応じてFWがディフェンスを担いもすればGKがオーバーラップしたりもする。戦略をチームの状態と試合の流れを把握しつつ柔軟に考えていくといいのだと思います(眞鍋さん)


子ども、孫が生きていく社会を1ミリでも良い方向に


そもそもお二人は育児参加を「イクメン」という概念ではなく、自然にやるものと捉える。同時に「イクメン」を広めていく活動・プロモーションを行っているが、そのモチベーションはどこにあるのだろうか。

子育てで得られる幸福感は仕事のそれとは全く違うんですよね。そのチャンスをフルにエンジョイできないのはもったいない。そのチャンスを逃してほしくない。自分以外の人も楽しんでほしいという思いがあって。子育てをエンジョイする父親が増えれば、いろいろ副次的に良い効果がいっぱい生まれると思うので活動しています(鹿子木さん)

眞鍋さんも「育児の楽しさを広めたい」という動機があるそうだ。同時に「苦労しているママたちを助ける意味でも広めたい」と語った。続けてもうひとつ、大きな意味があるという。

自分たちが祖父母や両親から残してもらった社会を、いまより少しでも良いものにして次の世代に残すためにやっています。ベンチャーキャピタルっていう仕事は経済的な側面から、子育てとLiving in Peaceは社会的な側面から。時々「色々やってるね」と言われるけど、僕のなかでは全部リンクしているんですよね。子どもたちが、さらに子どもを生む20年後、30年後のためにどんな種を蒔けるか。いまよりも1ミリでもいい社会を作れるようにしたい。「イクメン」という言葉は旧来における社会のあり方、制度が社会に合わなくなってきて生まれたきたもので。移行にはものすごく摩擦が起きるだろうと思っています。そのなかであえて今「イクメン」を推進すべき、こっちのほうが絶対楽しいぜって言っているのは、大経営者でもなければ芸能人でもない自分のようは普通の人が軽やかに乗り越えて、モデルケースを示すことができたら、「ハードルが低くそうだから俺もやってみようかな」という人が増えてくるはずで。それが閾値を超えたぐらいから社会的な潮流として一気に変わっていく可能性があると思うんです(眞鍋さん)


二度と取り返せない、それが子どもとの大切な時間


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最後には、今回のセミナーでモデレートを担当したユーザーベース エンジニア、ホルヘさんよりユニークな問いかけが。

「もし仮に10年前の自分にアドバイスができるとしたら何をアドバイスするか」

眞鍋さんによる「10年前の自分に対するアドバイス」をご紹介したい。

別にどういう人生の選択があったってもいいと思うんですよ。結婚しようが結婚しまいが、子どもを作ろうが作るまいが、自由です。ただ、「いつかこうしたい」みたいに思っていることがあるなら「今すぐやれ」と言いますね。これはベンチャーキャピタルでも同じ。起業しようと思っているなら「今」しかない。10年前、ぼくは28歳でしたが、「これ以上楽しいことなんてない」というぐらいすごく楽しんでいたし、働いていたつもりなんです。だから子どもの話をする友人たちの価値観が実感値としては理解できなかった。でも、自分がその立場になったら「こんなに楽しいことがまだあったんだ」と(笑)28歳の自分には「結婚・育児は遊びと比較にならないぐらい楽しいぞ!って言いたいですね(眞鍋さん)

最後にセミナーのなかで鹿子木さんが言及した「子どもとの時間がどれほどかけがえのないものか」といった部分をご紹介して締めくくりたい。

仕事ってあとで頑張れば取り返しがつくかもしれないけど、子どもってもう自動的に毎年大きくなるので、たとえば1歳の時の子どもと触れ合えるのは、その時だけなんですよね。あとで取り返そうと思っても取り返せない。子どもが親を必要とする時間だってそんなに長くない。多分10歳ぐらいになったらもう友達と一緒に遊んじゃうし、親と口も聞いてくれなくなるかもしれないですよね。そうやって親を必要としてくれる時間はどんどん無くなるわけです。だから、子どもと過ごせる今この瞬間ってあとから振り返ったらすごい幸せな時間なんじゃないかなと。あとで後悔しないよう、子どもと一緒に過ごす時間はいっぱいつくってほしいです(鹿子木さん)


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