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青春をロボットに捧げる、20歳の次世代クリエイター『きゅんくん』って何者?

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ROBOT
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「きゅんくん」こと松永夏紀さんは若干20歳の新鋭クリエイター。ロボット+ファッション(ロボティクスファッション)をテーマに作品を発表してきた。さらにはモデルにまで活動は拡張。彼女が取り憑かれたロボットの魅力とは? なぜ彼女は作品をつくる? 彼女のルーツと表現したいことに迫った。

【Profile】きゅんくん|松永夏紀
1994年生まれ。ロボティクスファッションクリエイター。機械工学を学びながらファッションとして着用するロボットを制作。金属加工、電子工作、洋裁など全て自身で手がける。TOKYO DESIGNERS WEEK 2014企画展「スーパーロボット展」などで作品を発表。その他、tofubeats『Come On Honey!』『poolside』MVや『仕込み筋肉3号機 Muscle System』など動画作品にもモデルとして出演している。自身で作品発表を行いつつ、活動の幅を広げる注目のクリエイター。

鉄腕アトムが大好きでロボット開発者を志すように

― もともとロボットに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

小学校低学年の頃から鉄腕アトムがすごく好きだったんです。父が手塚治虫のファンだったので、作品がいっぱい家にあって。ん?これはなんだろう?と読み始めました。それで小学校5年生ぐらいの時、ロビを開発された高橋智隆さんというロボット研究者のことを知り、「ロボットをつくるということが仕事になるんだ」と開発者を目指そうと思いました。

― 鉄腕アトムが原点にあったんですね。どこに魅力を感じたのでしょうか?

なんだろう。「科学万歳!」だけじゃないところがおもしろいですよね。友達のロボットもいるけど、完全に奴隷みたいなロボットもいるし。そこの差は何なんだろう、みたいなところもあって。

ただ、単純に機械が凄く好きだったのかな。ラジカセを分解したりしてよく親に怒られていたので(笑)

― 小学生の女の子としてはけっこう珍しい遊びですね。

たしかにちょっと変わった遊びが好きだったのかも知れません。宇宙も大好きで、日本宇宙少年団とかに入っていたり。誰もいない図書館に友だちを連れ込んで、独自の社会というか自治区のような「場」を自分たちでつくって遊んだり。

― 自治区のような社会をつくる!?って一体どんな遊びですか?

いえいえ、そんな大したものじゃないんですけど。図書館のなかで使うことのできるオリジナルの紙幣を作成して、銀行もつくって、色々とやり取りしていくっていう遊びなんですけど...。当時、紫外線をあてると字が浮き出るペンがあって、それでオリジナルの紙幣で「透かし」も作りこんだりしていましたね。ただ、作り込み過ぎてだんだんと仲間が減っちゃった。本気になりすぎると仲間が減るというのをそこで学びました(笑)

基板って着たらカッコいい

― 電子工作も小学生の頃からやっていたのでしょうか?

robotファッションとして着用するアームロボット。

TOKYO DESIGNERS WEEK2014企画展「スーパーロボット展」にて発表(photo: 稲垣謙一)

小学生の時は「ロボット工作キット」のようなものを親が買ってくれてやっていました。中学生になると、それじゃあ満足できなくて、部品を買ってきて本で勉強しながら色々とつくるようになっていきましたね。

― ちなみに、どんなものを作っていたんですか?

子どもにありがちですけど、「人が廊下を通過したら、赤外線センサーで感知して、私の部屋にあるブザーが鳴る」というやつですね。親が部屋に来る前に知りたくて(笑)

結局、上手くいかなかったけど、その後、違う方法で同じことを試したりはしました。

― 高校も、理系が強い学校を選んで進学したのでしょうか?

じつは中高一貫教育で、なんの変哲もない女子校だったんですよ。だから中学から高校にそのままエスカレーターであがって。受験するより、その時間で好きな物をいっぱい作ろうと。

高校生になってからは被服部で服づくりをやるようになりました。今から思うと「騙された!」って感じなんですけど、全国で開催されるファッションコンクールに作品を出したいって先生に言ったら、学校単位でエントリーしないとダメで、「被服部に入らないとエントリーできない」と言われて。それで仕方なく入部して...。ただ、ジャンク品を解体して機械の部品や基板を服につけたりして、わりとアウェーなことをしていたと思います。

― その頃から「ファッション+ロボット」というコンセプトはあったんですね。最初は反骨精神から?

robot

いえいえ、純粋に基板ってかっこいいじゃないですか。かっこいいからです! 根本は自分が着たいということなんですけど、それが社会に広まっていったら面白いと思っていて。

機械を身に付ける、着るって、別に身体を隠したり、自分を機械化したりすることとも違うと思うんです。「機械」と「人間」の付き合い方を考えるきっかけになるというか。役割を与えられた機械って、その時点で「人と関わる他者」だと思うので、そういう「他者」と「自分」を合体させたいと思っているんです。ロボットを身につけることが自然な世界にしていきたい。

そこにアプローチしようと思った時、いきなり「人間の役に立つ」という機能的な側面から攻めていくのは難しいし、受け入れられないと思っているので、ファッションから攻めていく。いまは実用性の低いアート的なものに見えるかもしれませんが、将来はより実用的なものにしたいと思っています。

― 実用的なロボット...表現というより、使えるものにしたいとは意外でした。そこを目指したいと思ったきっかけはあるのでしょうか?

高校時代に、産業ロボットの展示会で車の工場で使われるアーム型のロボットとか、お菓子を箱に詰めるロボットとかを見て感動したのは、原体験としてあると思います。

プロトタイプじゃなくて、こんなにちゃんと働いている高性能なロボットが身近にあって、取引されてるんだって。当時の私にとって知らない世界でした。役に立つロボットが夢や幻じゃなくて、いま存在しているって。

たとえば、スチームパンクってジャンルがあると思うんですけど、スチームパンクっぽいファッションというのもあって。アクセサリーとして「歯車」が使われたりすることもあるんですよね。それがダメというわけじゃないんですけど、噛み合うことで役割を果たしたはずの歯車が、機能しない装飾品になっていると、歯車のことが可哀想になってしまうんです。ちゃんと部品一つひとつを役立ててあげたいし、存在意義をつくってあげたい。機能や役割を果たしていた方が美しいですよね。真剣に働く人たちがカッコいいように。

おもしろそうなことは何でもやってみたい

― 作品発表に加えて、モデルとしても映像作品に出たりもしていますよね。意識的に活動の幅を広げているのでしょうか?

いえいえ!全然そんなんじゃなくて、自然と広がってきた感じなんですよ。

もともと高校時代の同級生が写真部で、その子が私の写真を撮ってネットに上げたりして。そこからいろいろと誘っていただけるようになりました。だから、特に活動しているという気持ちもなくて...単純に面白そうなことには全部頭を突っ込んでみたいだけで(笑)

ただ、やっぱり何かしら自分が開発したり、「つくる」ことに携わっていたり、というのは楽しいと思えるポイントかもしれません。

この前も、ゲームボーイで作曲している女の子とコラボして、インタラクティブライブをやって。観客のみなさんがハッシュタグをつけてツイートすると、それがエネルギーとなって、怪物に攻撃できて。

「色」の名称を含んだツイートをすると、演者が着ているLED衣装がその色に変化するようにしたんですけど、すごく楽しかったですね。

― すごいですね!色々な方とコラボしたり、活動されたり、いろいろと刺激を受けることもあると思います。こんな人になりたい、こういう風になりたいってありますか?

もうホントにすごい方々ばかりで...その人たちのエッセンスを組み合わせた最強になれれば一番いいんですけどね(笑)それはちょっとむずかしいかな。

どうだろう。楽しい人になりたいです!仕事を仕事と思わないで、楽しめている人が一番いいと思います。仕事なんだけど、その人がやりたいことが実現できている、みたいな。

―現在、二十歳ですよね。あと1年くらいで一般的に就活して...という時期になると思います。将来はどうしたいということは考えていますか?

「作るのに困らない環境」と「作るのに困らない技術を持った自分自身」を作れれば、それでいいと思っていて。どこに行ってもいいと思っています。だから、就職とか、進学とか、コレだ!という感じでは決めていないですね。

― 「やりたいことを仕事に」というのは理想的ですし、実際にそういう人も増えていて。一方で「やりたい事がなくて悩んでいる」という若者がいたり、とりあえずは安定したいからという理由で公務員が人気だったり。

同年代っていっても、みんな考えていることが全然違うから、一括りにするのは結構難しいですけどね。でも安定志向もわかる気がするんですよ。何て言うんだろう。いきなり大きなリスクを背負っちゃうより、リスクを回避できるように保険をかけつつ、新しいことをやれるのが一番いいんじゃないかなと。そのくらいの感じでいいんじゃないかなと思います。

― 「やりたいことがないと言って悩む人」については、どう思いますか?

正直、ぜんぜん理解できないです(笑)

やりたいことが多すぎて困るっていう経験しかしていないから...やりたいことがなくて困るってどんな感じなんだろう。

― やりたことがある人に憧れがあったり、自分は空っぽなんじゃないかと思ってしまったり、そういう感じだと思います。

でも、趣味とか、仕事とか全然関係なくても、やりたいこと、興味があることってゼロじゃないですよね。それでいいんじゃないかな。単純にアニメを観るでもいいし。

今って、自分が好きな分野に対して、めちゃくちゃ夢中になって自分より上をいっている人たちがネット上で可視化されちゃうじゃないですか。だから、「自分なんて大したことない」と思ってしまいがちだけど、あまりそれは気にしなくていいかなって。

「いや、すごい人がいるもんだなぁ」くらいでいいと思います。気にしていたらキリがないです。自分なりのレベルで、自分の好きなことをやっていく。いま自分の出来ることをやっていかないと、目指すレベルには絶対到達しないですよね。それが趣味であろうと、ものづくりであろうと。

だから、あまり気にせずどんどんやった方がいいんじゃないかなと思います。もちろん自分だけの世界に甘んじすぎてもダメですけど。

robot

― 「あの人より自分はダメだ」ということと、「好きなことをやる」というのは全然違う話で、他人と比べてどうこうじゃないということですよね。「何かをつくっていきたい」という人にとってすごく大事な視点だと感じました。本日はありがとうございました!

[取材・文]白石勝也

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