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スタートアップを成功に導く「共同創業者」の役割とは?

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TechCrunchのスタートアップバトルやB Dash Campのピッチアリーナでの優勝が記憶に新しい《SmartHR》。その躍進を支えた内藤研介さんとは?代表の宮田さんと共に《SmartHR》誕生の裏側、そして内藤さんが果たした役割をうかがいました。

《SmartHR》躍進を支えた陰の立役者 内藤研介

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトルやB Dash Camp 2016 Spring in Fukuokaのピッチアリーナで立て続けに優勝をかっさらった《SmartHR》。労務の手続きを自動化するソフトウェアとしてメルカリやエウレカ、グッドパッチといったスタートアップをはじめ約800社の企業に導入されている(2016年4月現在)。

《SmartHR》といえば"かゆいところに手が届く”サービスの質やユーザビリティの高さが評価されると同時に、ピッチバトルで勝ち続ける代表 宮田昇始さんのイメージが強い。しかし、その宮田さんに話を聞いてみると「共同創業者の内藤研介がいなければ《SmartHR》は生まれなかったし、KUFUという会社は途中で沈没していました」と話してくれた。

共同創業者 内藤研介とは、一体何者なのか。

宮田さん、そして内藤さん本人のお二人に話を聞くと、シードステージのスタートアップにおけるエンジニア活躍のヒントが見えてきた。

<Profile>
株式会社KUFU 取締役/最高開発責任者(CDO)
内藤研介 Kensuke NAITO

カリフォルニア州立大学でコンピュータサイエンスを専攻。卒業後に帰国し、SIerへ入社。研究開発部門に配属となり、銀行や証券などの金融系のプロジェクトにて開発・設計などに携わる。6年ほど勤務し、宮田昇始氏とともにKUFUを設立。

「彼がいなかったら今の《SmartHR》は存在しない」と話す理由

― 宮田さんが内藤さんを高く評価するのには、どんな理由があるのでしょうか?

宮田:
内藤がいなかったら今の《SmartHR》はできなかったという点が大きいです。《SmartHR》の特徴のひとつに年金事務所やハローワークへのオンライン申請機能があるのですが、こちらは総務省が提供する電子政府の外部連携APIを内藤が見つけて、たった1人で開発してくれたからこそ実現したものです。

フツー、公的機関が出しているおカタイPDFってみんな読みたくないじゃないですか。そのAPIの資料もPDF何十枚とエクセルの仕様書みたいなやつだったんですけど、これをものすごい短期間で噛み砕き、あっという間に総務省によるシステム連携テストをパスしてくれたんです。内藤以外の人間にはできなかったんじゃないかな、と。

― 内藤さんは、大変そうだとは思わなかったんですか?

内藤:
うーん…何事もおもしろがれるタイプなんですよね。国のAPIとか、一見おカタそうなことでも(笑)。「今これを調べてTwitterでつぶやいているの、俺だけだぜ」みたいなのも愉快で。

APIの件に限れば、情報が出てないから誰かがTweetを見るだろうとは思っていましたね。ググっても出ない情報ってチャンスだと思うんです。あわよくば誰かから連絡が来たらおもしろいなぁなんて思いつつ、つぶやいていましたね。実際、APIをつくっている総務省の担当者さんとお会いしたときに「Twitterみてました」って話しかけられたのは驚きましたけど(笑)。

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KUFU 代表取締役 宮田昇始さん

宮田:
内藤はもともとSIerで働いていたんですけど、そのときに培ったキッチリした部分と、本来持っているハッカー的な部分のバランスが抜群なんですよね。

あと、何かを頼んだら絶対にタスクモレしない。2015年のTechCrunch優勝のあと、営業やら資金調達やら採用やらで、僕がメチャメチャ忙しい時期があって。更にオフィス移転まで加わってパンク寸前な時期がありました。そんな僕を見かねた内藤が「巻き取るよ」ってオフィス移転をやってくれたんです。大した引き継ぎもしていないのに、ダンドリは完璧。しかも開発とユーザーサポートをしながら。この安定感は心強いですね。

内藤:
タスクを予定どおりにこなしたり、自分の決めたリズムをキープしたりすることが心地いいんですよ。

宮田:
9時半出社なのに、毎朝8時にはいるんですよ。僕が少し遅刻すると「1分の遅刻とかしないようにしようね(^o^)」ってチャットが送られてきて。それが怖いなって思います。

内藤:
ちょっとの遅刻なら何とかなると思うんですけどね(笑)。

デモの直前にピポッド?《SmartHR》誕生秘話

― 《SmartHR》はどういうプロセスを経て生まれたんですか?

宮田:
KUFUの立ち上げ当初って自社サービスにリソースの5割、受託業務に5割を充てる目論見でした。しかし、気が付くと7割くらいのリソースを受託に注いでいたんです。それで残りの3割はサービス開発に注げるかというとそんなことはなくて、せいぜい約1割程度、残りの2割は行方不明になる。とはいえ、受託を止めたら食べられなくなってしまうわけです。正直、「このままだと会社終わるな」と思っていました。

内藤:
僕はツライとかはなかったですね。それなりに楽しかったですよ。エンジニアって何しても結果が見えやすい仕事なので、何か動いたり、問題解決できたりしたら楽しいんです。自社サービスに関しても「そのうち上手くいくだろう」って楽観視していました。

宮田:
そうだったの?僕はめちゃくちゃ焦ってたのに…!

当時はベンチャーキャピタルから資金調達をしてサービスを大きくするなんて発想すらなかったので、藁をも掴む想いで申し込んだのがOpen Network Labでした。何とか審査はクリアして、3ヶ月間リーンスタートアップ的なサービスづくりの方法をみっちりと学んで…。

内藤:
僕はOpen Network Labのときが一番焦りましたね。実は、一度サービスをピボットしているんですよ。Open Network Labの審査をクリアしたのは別のサービスだったんですけど、合格した直後くらいから成長が鈍化しちゃって。だから、それから新しいサービスを考え直すんですけど、期限は決まっているわけです。間に合わなかったらヤバイという焦りがありました。

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KUFU 取締役 内藤研介さん

宮田:
ピボットしたときに特に頭を悩ませたのが「どんな課題を解決するのか?」と「それを僕達がやる意味って何?」の2点でした。特に「どんな課題を解決するのか?」が難しく、議事録に残っているだけで126件ものヒアリングを行ないました。ヒアリングを行なっていた2ヶ月の間は、やることが決まっていないので開発は完全にストップするわけです。このときばかりは内藤が焦っているのが目に見えてわかりましたね。

そんなとき、妻が自宅で産休・育休の書類作成に四苦八苦していたんです。それを見て「これだ!」と。僕自身も闘病したときに社会保険に助けられた経験もあり、「僕たちがやる意味」をすごく感じました。内藤にも「これじゃないか?」と話したのを覚えています。

― 内藤さんの反応はどうだったんですか?

宮田:
そのときはすでに、ベンチャーキャピタルさんやメディアにプレゼンするDemo Dayが1ヶ月後に迫っていたのですが、内藤はすぐにスケジュールに引いて「どうやったらDemo Dayに間に合うのか?」「いつまでにプロトタイプつくれば充分なリアクションを得られるのか?」を導き出してくれました。

そこから一気に開発して、プロトタイプをつくって、事前登録ユーザーとして150社くらい集まって。無事優勝できて、なんとか軌道に乗り始めました。

成功の秘訣は、KUFU経営陣のバランス感覚?

― 今や飛ぶ鳥落とす勢いの《SmartHR》ですが、これまでお二人の意見がぶつかることはなかったんですか?

宮田:
意見の食い違いはありますけど、ケンカしたことはないですね。お互い自分の意見に固執しないので。

内藤:
僕は前の会社では自分の意見を持つこと自体あまりなかったんです。完全に流れに身を任せていて。でも、今はもう自分たちで考えなきゃいけないじゃないですか。当然意見の違いは出るけど、全体を俯瞰して最適解を見つけるようにしていますね。

宮田:
僕なんかはよく、外部の方からヒントを得て「これやろう!絶対イケる気がする」みたいな感じ突飛なアイディアを持ち帰ってくるんですよ。すると、内藤には「勘で話さないで、ちゃんと理由をつけて」って言われて…それから「ナゼそのアイディアが良いのか」を考えて発言するようになりました。

― お二人のバランスの良さを改めて感じています。

内藤:
スタートアップってよく「エンジニアがいないとダメ」とか言われるじゃないですか。でも、エンジニアだけじゃダメだと思っていて。エンジニアリングへの理解はあっても、事業を進められないと意味がない。でも、両方うまくできる人って、なかなかいないわけです。

僕だけだったら、たぶん守りに入っちゃうと思うんですよ。でも、成功のヒントって突飛なアイデアとか、気恥ずかしくて口に出しにくいようなことにあると思うんですよね。そういうことを言えるのは宮田の強み。だから、すごいバランスはいいと思いますね。

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宮田:
新しい技術にどんどんトライしていく役割は別の者に任せて、内藤には事業とプロダクトと開発のバランスをとる役割を担ってもらいたいと思っています。実際、最高技術責任者/CTOは佐藤という別のメンバーに任せて、内藤には最高開発責任者/CDOという役割を担ってもらっています。エンジニアが楽しく働けて、かつお客さんも喜ぶような。他の非エンジニア社長よりは、エンジニアフレンドリーな会社にしたいと思っていますよ。

― 内藤さんから見てどうですか?

内藤:
いいんじゃないですか。やっぱり、トップはエンジニアへの理解がないとどうしようもないので。

― ありがとうございます!スタートアップのシードステージにおけるエンジニア活躍のヒントが見えた気がします。今後《SmartHR》が、そしてKUFUという企業がさらに進化を遂げていくことを楽しみにしています。


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